神話

アポローンの恋人ヒュアキントスが変身した花の候補最右翼は Larkspurヒエンソウ.しかし,larkspur,ヒエンソウって?調べてみると--- larkspur,ヒエンソウの名称には混乱があって,また植物学的分類でも定まっていなかったようです.整理中ですが,その途中経過をメモしておきます.広義のヒエンソウ は,LarkSurとおなじで キンポウゲ科のヒエンソウ属(オオヒエンソウ属?) Delphinium と Consolida の植物の総称.そしてこの二つの属は統合されるべきかもしれません.

アポローンの恋人ヒュアキントスが変身した花は,現在のヒアシンスではないというのが定説になっています. ・「ギリシア・ローマ神話(上) トマス・ブルフィンチ,大久保博 訳 角川文庫」:現在のヒアシンスではない.アヤメ科の一種か,さもなければ,ひ…

アポローン(9)/ ヒュアキントス 「 ---私はおまえに代わって死んでやりたい! しかしそれもかなわぬことゆえ,おまえを記憶と歌との中で私といっしょに暮らせるようにしてあげよう.私の竪琴におまえを褒め讃えさせ,私の歌におまえの運命を語らせよう. そしてまたおまえ自身は,私の嘆きを記した花にしてあげよう」

アポローンがこよなく愛した美少年ヒュアキントスの物語: Hyakinthos – Wikipédia 既に本ブログで何回か取り上げていますが,改めて: オウィディウス転身物語(変身物語 Metamorphoses、メタモルポーセース)では,天才的楽人オルペウス(オルフェウス)が…

アポローン(8)/ マルシュアース アテーナーは初めて鹿の骨から笛を作り,神々の宴にいって奏でた,といわれる.笛を吹き水に映るわが姿をみて,嘲笑されるのも当然であることを知った.そのため,笛をその場に投げ捨て,誰であれ笛を拾い上げた者はきびしい罰を受けよ,と呪った.----この笛をアイアグロスの子,サキュロスのひとり,羊飼いマルシュアースがみつけ----.ついにアポローンに対し,競技で竪琴を弾くよう挑戦するに至った.アポローンは竪琴を上下逆さまにして同じ旋律を奏でた.----

「すべての古代ギリシャ・ローマの神々の中で最も広く尊敬され,影響力をもった一柱」(ブリタニカ)とされるアポローンは,予言と神託,音楽,歌と詩,弓術,癒し,疫病と病気,若者の保護など多様な役割を司るオリンポスの神. yachikusakusaki.hatenablog…

アポローン 中間まとめ 今までに取り上げた話題:▽アポローンはどのような神か? ▽アポローンが関わる有名な12の神話 ▽アポローンの誕生 ▽12の神話1  デルポイの宮殿を守るピュートーンの殺害 ▽12の神話3  ニオベーの子供たちの殺害 ▽ヒュアキントス ▽ダフネ

50年前の人類初の月への有人宇宙飛行計画の名前に採用されたアポローン(英語読み アポロ). yachikusakusaki.hatenablog.com このギリシャローマ神話で最も人気のある男神について,ギリシャローマ神話を読みながらまとめてきましたが,ここまでで既に余り…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)14 この絵には何が描かれているのでしょうか?彼女は愛と豊穣の女神であるヴィーナス.彼は戦争の神,マルスです. 寓話として読めば,愛が争いに打ち勝つというメッセージになります.もちろん,この絵には,道徳的な寓話以上のものがあります.この絵は官能的な快楽を表現しており,男性はそのあと眠ってしまっているのです.ヴィーナスの表情には静かな憤りがあり,眠っているマルスを見下ろしています. サンドロ・ボッティチェリ「ヴィーナスとマルス」

『春(ラ・プリマベーラ)』(1478ころ・ウフィツィ), 『ビーナスの誕生』(1480代初期・同上) を描いたボッティチェリ. Primavera (painting) - Wikipedia ヴィーナスの誕生 - Wikipedia 「『ヴィーナスとマルス』(1480代,ロンドン、ナショナル・ギャ…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)13  ギリシャ神話をほとんど何も知らなかった5年前の私でも「ミロのヴィーナス」と「ヴィーナスの誕生」は知っていました.「ヴィーナスの誕生」はアプロディーテー讃歌がうたう彼女の誕生の場面を,ボッティチェリが見事に描ききった作品.この作品に連なるボッティチェリの「マルスとビーナス」は,寓話として読めば、愛が争いに打ち勝つというメッセージになりますが----

性愛と美の女神(ancient Greek goddess of sexual love and beauty)アプロディーテー. 英語名ビーナス/ヴィーナス.ラテン語名はウェヌス. このブログでも何回も取り上げ,今年夏前からは改めて整理しはじめました. https://yachikusakusaki.hatenablog…

「臥猪の床」として平安時代以降,和歌などに取り上げられたイノシシ.“恐ろしき猪のししも、「ふす猪の床」と言へば、やさしくなりぬ。”(徒然草) しかし,古代においては,タンパク源であると同時に厄介で獰猛な獣としての位置づけでした.古事記では,クヌギに登って獲物を待っていたカゴサカ(応神天皇と異腹の御子)を食い殺す場面が描かれます.“そのクヌギの根元を掘って木を倒し,木の上にいたカゴサカを食い殺してしもうた”(三浦祐介訳 口語訳古事記)

江戸時代,絵画さらには花札に「臥猪の床」として描かれた猪. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/10/08/235311 有形文化財 – 近世絵画コレクション - 千總文化研究所 / Institute for Chiso Arts and Culture もともとは平安時代以降の和…

アポローン(7)/ニオベー2 イリアスの最終章トロイア王プリアモスが,アキレウスの陣営へおもむき,息子ヘクトルの遺骸をひきとる場面.アキレウスは,遺骸に化粧を施し送り出す準備をしたあと,老王プリアモスに語りかけます.「それでこれから食事にかかろうではありませんか.髪美わしいニオベすら,食事のことは忘れなかったのだから—屋敷の中で十二人の子,六人の娘と若い盛りの六人の息子を失ったニオベですら.泣き疲れるとやはり食事のことを思った」

ギリシャ最大最古の古典とされるイリアス(ホメロス/ホメーロス). この物語の中にも,ニオベー(ニオベ)の子供たちがアポローンとアルテミス(ディアナ)に殺害される場面が描写されています. といっても,イリアスは「10年にわたるトロヤ(トロイア)攻…

アポローン(6)/ニオベー1 久しぶりのギリシャ神話.よく知られているアポローンの神話の一つ. 「 ニオベーが自慢話でレートーを怒らせたためかの女の子供たちを殺害」 よく知られたギリシャローマ神話原典で取り上げられ,また,後世の画家・彫刻家・音楽家たちの題材となっています.例えばダヴィッドの「ニオベの子供たちを矢で貫くディアナとアポロン」ニオベは,アポロンとディアナの矢から末娘を庇っています.手前には王妃の13人の子供たちが傷ついたり死んだりしています.

少しずつ読み進め,ブログに書き記すことで学習してきたギリシャ神話.今は,アポローンとアプロディーテーという二大スター?を平行して取り上げていました. しかし,新型コロナのおかげで,中断また中断(勝手にそうしただけですが),でなかなか進みませ…

アプロディーテー12  「わたしは,これから先々は神々の間で,いつまでも,また絶えず大いなる恥辱を忍ぶ身となるでしょう.死すべき身の人間の男と臥所を共にして,帯の下に子を妊ったのですから.わたしは, わが子を連れて,五年目にまたここに来ることにします.もしみだりに口外し,うるわしく花冠戴くキュテーラ女神と愛の交わりを遂げたと心愚かにも誇ったりすると,ゼウスは怒りに燃え,そなたに煙上げる雷霆を投じるでありましょう」 アフロディーテー讃歌(讃歌第五歌) 5

アフロディーテー讃歌(讃歌第五歌) 5 ホメーロスの諸神賛歌(沓掛良彦訳 筑摩書房)より アフロディーテー讃歌5歌では,他の神々にその力を発揮してきたこの女神が,みずから人間の男であるアンキーセースを恋するはめに陥り,彼の子供を宿すこと,そし…

アプロディーテー11  「起きよ,ダルダノスの後裔(すえ)よ」「この眼で御姿を拝しましたときに,女神であられると,すぐさまわかったのでありました.あなた様の方が本当のことをおっしゃらなかったのでございます」「このわたしからも,他の神々からも災いを蒙ることはありませぬ.そなたにはトロイア人の王となる大切な息子が生まれ,その子にはアイネイアースとの名がつけられうでしょう」アフロディーテー讃歌(讃歌第五歌) 4

アフロディーテー讃歌(讃歌第五歌) 4 ホメーロスの諸神賛歌(沓掛良彦訳 筑摩書房)より アフロディーテー讃歌5歌では,他の神々にその力を発揮してきたこの女神が,みずから人間の男であるアンキーセースを恋するはめに陥り,彼の子供を宿すこと,そして…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)10  「ようこそ,尊い御方.浄福なる神々のどなたがこの家へおいでなされたのか」「わたしは神ではありません.ヘルメースはわたしをここへ連れておいでになりました.わたしはアンキーセース様の臥所に入り,正妻と呼ばれて その方のために立派な子を産むことになっている,とのこと」「今ここであなたと愛の交わりを遂げるまでは, 神々であれ人間であれ,誰一人としてわたしの邪魔はさせますまい」 アフロディーテー讃歌(讃歌第五歌)3

アフロディーテー讃歌(讃歌第五歌) 3 ホメーロスの諸神賛歌(沓掛良彦訳 筑摩書房)より アフロディーテー讃歌5歌では,他の神々にその力を発揮してきたこの女神が,みずから人間の男であるアンキーセースを恋するはめに陥り,彼の子供を宿すこと,そして…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)9 ゼウスは女神の心に,アンキーセースへの甘い憧れをかきたてた. 微笑を喜ぶアフロディーテーは,その姿を一目眼にすると,たちまち恋心を抱き,甘い憧れが狂おしくその胸をとらえた.カリス女神がアフロディーテーに浴(あ)みさせ,女神の肌に 永遠にいます神々の肌に匂う不死の香油,甘く香る神油(アムブロシア)を塗った.アンキーセースのみは牛舎に居残り,ただ一人離れて,朗々と竪琴を奏でながら,かなたこなたと歩きまわっていた. 

ホメーロス風讃歌から,アンキーセースとアプロディーテーの物語「アフロディーテー讃歌5歌」を取り上げてきましたが--- https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/07/04/235908 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/07/05/235505…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)8  アプロディーテーは,しばしば美の女神,愛の女神と称されるが,その機能の最たるものは,生殖と豊穣をもたらす力である.古典古代においては,動物の性衝動と,人間のそれとは同一のものとしてとらえられている.つまり人間の場合も,さらには神々の場合にも,恋心と性欲との両局面は区別されることなく,アプロディーテーの御業,すなわち力の顕われとして表現される.アプロディーテーへの讃歌解説/四つのギリシャ神話 逸見喜一郎・片山英男訳 岩波文庫

昨日から,アンキーセースとアプロディーテーの物語を取り上げています. このブログで引用しているギリシャローマ神話原典は,ホメーロス風讃歌第5歌アフロディーテー讃歌. 日本語訳としては,ホメーロスの諸神賛歌(沓掛良彦訳 筑摩書房)を用いましたが…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)7  アンキーセースとの恋1 ムーサよ語れ,キュプリス女神,黄金ゆたかなアフロディーテーの御業(みわざ)を, 女神は神々の心に甘い恋への憧れをかきたて, 死すべき身の人間の族(うから)も,空を飛びかう鳥をも, また陸と海とが育むあらゆる獣の類をも,その御心に従える. 生きとし生けるものはなべて,うるわしい花冠戴くキュテーラ女神の御業に心よせる. アフロディーテー讃歌(ホメーロス風讃歌第五歌)1

アプロディーテーは性愛を司る女神であると同時に,恋多き女神でもありました. the Theoi projectのサイトでは,神々との恋としてヘーパイストス,アレースを含めて7名,人間との恋として,アンキーセース,アドニス等5名の名前が挙げられています. APHROD…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)6 いきりたった野猪は,すぐさま血にそまった槍をはらいおとすと,アドニスに追いすがり,かれの股に牙を根もとまでつきさし,褐色の砂の上に息もたえだえのかれをおし倒した. 空からすでに意識をうしなって血のなかをころげまわっているアドニスを見つけると,いそいで地上に降りたち,胸をはだけ,髪をむしり,はげしくわれとわが胸を打った. オウィディウス 転身物語 巻一〇 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト4

オウィディウス 転身物語 田中秀央・前田敬作訳 人文書院 巻一〇 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト4 アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)5 「キュテラの女神がわたしの計画をたすけ,わたしの胸におつけになった炎をまもってくださるよ…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)5  「キュテラの女神がわたしの計画をたすけ,わたしの胸におつけになった炎をまもってくださるよう,せつにお願い申しあげます」 ここから黄金の林檎を三個もぎとって,それをもっていきました. 勝ったヒッポメネスは,その褒賞である妻を故郷につれて帰ったというわけです.ふたりは獅子となって,おとなしくキュベレの車を牽いています. オウィディウス 転身物語 巻一〇 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト3

オウィディウス 転身物語 田中秀央・前田敬作訳 人文書院 巻一〇 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト3 アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス) 3 オウィディウス 転身物語 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト1 木は,みをくねらせ…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス) 4 女神は,忠告すればなにか役にたつこともあろうかとおもって,アドニスよ,おまえにもこれらの動物をおそれるように言ってきかせた.『わたしは,こういう動物がいちばんきらいです』『じゃ,話してあげましょう.この古い罪の物語のふしぎさに,あなたもおどろくことでしょう.-----』とこどき接吻のために話をとぎらせながら,つぎのような話を始めた.オウィディウス 転身物語 巻一〇 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト2

オウィディウス 転身物語 田中秀央・前田敬作訳 人文書院 巻一〇 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト2 1. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/06/28/235724 「こうして,女神は,若者の美しさにまよい, ---- 天上に昇ることさえ…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス) 3  オウィディウス 転身物語 アドニスの誕生〜アドニスの転身 ダイジェスト1 木は,みをくねらせ,いくどとなく呻き声を発し,とめどもなく涙をながした. 慈悲ぶかいルキナは,産婦の苦しみをのぞいてやる呪文をとなえた. すると,たちまち木がさけて,そのさけ目から生きた赤ん坊が,いさましい産声をあげてとびだした. いまや彼の美しさは,以前にもまして輝かしかった.女神は片時もかれからはなれず,かれの行くところなら,どこへでもついていった.

アプロディーテーは性愛を司る女神であると同時に,恋多き女神でもありました. the Theoi projectのサイトでは,神々との恋としてヘーパイストス,アレースを含めて7名,人間との恋として,アンキーセース,アドニス等5名の名前が挙げられています. APHROD…

アプロディーテー(ウェヌス/ヴィーナス)2 ギリシャ神話の多くの場面で,アプロディーテーは,「ディオーネとゼウスの娘でエロースの母」として描かれています. 一方,ウラノスの性器からできた泡から生まれ,エロースを伴って登場するアプロディーテーは,ボッティチェリのヴィーナスの誕生で描かれアプロディーテー讃歌で歌われている,よく知られた女神像で,この女神の特質は,この誕生の場面抜きにしては語ることができません. 改めて,ヘーシオドス「神統記」とアプロディーテー讃歌の抜粋を掲載しておきます.

愛,美,快楽,子孫繁栄の女神アプロディーテー. 彼女の誕生については,主に二つのヴァージョンがあります. 一つはヘーシオドスが描く「ウラノス(天)の切断した性器を息子クロノスが海に投げ入れたときにできた白い泡から」とする見解. 一方,ホメーロ…

アプロディーテー(ウェヌス / ヴィーナス)1. アプロディーテーは古代ギリシャの性愛と美の女神.ヘシオドスは,ウラノス(天)の切断した性器を息子クロノスが海に投げ入れたときにできた白い泡からアプロディーテーが生まれたと書いています.ホメロスによれば,ディオーネとゼウスの娘でした.ヘパイストスと不釣合いになり,ハンサムな軍神アレスとの浮気に明け暮れることになりました(アレスとの間にハルモニア,双子の戦士フォボスとデイモス,愛の神エロスの母となりました).ブリタニカ

3回にわたって,転身物語「没薬(もつやく)になったミュラ(ミルラ)」のダイジェストを掲載してきました. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/06/22/235752 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/06/23/235718 https://yac…

没薬(もつやく)になったミュラ (ミルラ) ダイジェスト(下) 自分の向こうみずを悔い,できればこのままこっそりとひきかえしたいとも願った. ミュラは,父の胤(たね)をうけて部屋から出ていき,その呪われた胎内におそろしい胤をやどし,恥ずべき罪の子をはらんだのであった. かの女は死をおそれながらも,生きることにも倦みはてて,つぎのように祈った.『どうかわたしを別の姿に変えて,生きるとも死ぬともつかぬ状態にしてくださいませ』悔いる者の祈りにも耳をかたむけてくれる神があった.

3回にわたってお届けするダイジェスト版「没薬(もつやく)になったミュラ」(オウィディウス「転身物語」) 今日は最終回. Commiphora myrrha - Wikipedia 転身物語 田中秀央・前田敬作訳 人文書院 巻一〇 七 没薬(もつやく)になったミュラ (ミルラ) ダ…

没薬(もつやく)になったミュラ ダイジェスト(上) ミルラの変身を取り上げているギリシャ神話原典は,いくつかありますが,ミルラ(またはスミルナ)が父親に恋をし,結果として没薬の木(ミルラの木)へ変身するという点では一致しているものの,その他のストーリーは,それぞれ,かなり異なっています.例えば父親に恋するきっかけ,等.今日と明日・明後日,オウィディウス・転身物語「没薬(もつやく)になったミュラ」を,かなりはしょったダイジェスト版で3回にわたってお届けしたいと思います.

ミルラが没薬の木(ミルラの木)に変身したとする物語を取り上げているギリシャ神話原典は,いくつかありますが--- 今,日本語訳が私の手もとにあるのは,次の三編. 1. 偽アポロドーロス「ギリシャ神話(ビブリオテーケー)」 高津春繁訳 岩波文庫 2. アン…

アプロディーテーと没薬(もつやく) ギリシャ神話で,父親に恋し交わってしまったミルラ(ミュラ/スミルナ)が変身したとされる「没薬」ミルラ.アプロディーテーの神木の一つに数えられていますが,ギリシャ神話原典に物語が残されているものの,没薬を聖なる植物としたとする記述は,実は残されていないようです,なお,日本語のミイラ(木乃伊)は,ミルラが語源!

ギリシャ神話で,父親に恋し交わってしまったミルラ(ミュラ/スミルナ)が変身したとされる「没薬」. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/06/20/235530 yachikusakusaki.hatenablog.com ミルラとも. マートル(ギンバイカ)と同じように,…

アプロディーテー(ウェヌス/ ビーナス)とマートル(ギンバイカ)2.   ⇒アプロディーテーと没薬(もつやく)の木(ミルラの木) 「マートルはアプロディーテーの神木」を裏付ける神話として,マートルに変身したミルラの物語が挙げられますが.現在残っているギリシャ神話原典は,ほぼ全て「ミルラが変身した植物は「没薬(もつやく)の木(ミルラの木)」としています.

マートル(ギンバイカ)は,アプロディーテーの神木として知られ,結婚式の日、花嫁はマートルガーランドを身につけ,マートルの香りの水を浴びたとされています. PLANTS & FLOWERS OF GREEK MYTH 2 マートルとアプロディーテーについては,著名な旅行家パ…

古事記で描かれたヤマトタケルの物語では,野蒜のあと,さらに3種類の植物が登場します.いずれも歌に歌われる形で.「マツ」「シラカシ」「ヤマノイモ」です.「をはりに ただにむかへる をつのさきなる ひとつまつ(尾張の方(かた)に まっすぐに向きあう 尾津の崎なる 一つ松)」「くまがしが葉を うづにさせ その子(そのクマカシの葉を 髪飾りにせよ 倭へ向かう者たちよ)」「いながらに はひもとほろふ ところづら(その稲の茎に 絡まり這い廻る 山の芋の蔓よ)」

東征を終えたヤマトタケルは,足柄の坂の神を「ヒル(野びる)」の片割れで殺し,頂きから振り返ります. 「吾妻はや」---- 古事記 人代篇 其の三 (口語訳古事記 三浦祐介 文藝春秋) 足柄の坂本に到り,食(お)し物を口に運んでおった時に,その坂の神が…

「すぐさまその食い残しのヒルの片割れを,狙いすまして投げつけると,白い鹿の目にあたっての.鹿はころされてしもうた」匂いや味などに刺激のある植物は魔よけの力があると考えられていました.一方,匂いや味に刺激がある植物は,また滋養に富んだ野菜と考えられ,中国最古の医学書『黄帝内経』にある五菜の一つ薤は野蒜のこと.現代でも山菜愛好家に好まれるノビルですが,スイセンやタマスダレの誤食には注意.ノビル 野蒜2

植物をたどって古事記を読む ノビル 野蒜2 ノビル 野蒜1 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/04/29/235542?_ga=2.29427007.1803228887.1618937900-847026506.1533741043 ノビル - Wikipedia 古事記 人代篇 其の三 (口語訳古事記 三浦祐介…

古事記には「ノビル」が2箇所に登場します. 「それで,すぐさまその食い残しのヒルの片割れを,狙いすまして投げつけると,白い鹿の目にあたっての.鹿はころされてしもうた」「いざ子ども のびるつみに ひるつみに わがゆく道の かぐわし はなたちばなは ほつえは とりゐがらし」植物をたどって古事記を読む ノビル 野蒜 

植物をたどって古事記を読む ノビル 野蒜 古事記には「ノビル」が2箇所に登場します. 初めの場面は,ヤマトタケルが東征から帰途につく途中,足柄の坂で,坂の神が姿を変えた白鹿に向けて投げつけた「食い残しの“ヒル” 」として. 2カ所目は,ホムダワケ…

オレイアス3 女神の頭の動きにつれて,たわわにみのった田畑がゆれた.女神はあるむごい罰を考え出した.つまりファメス(飢餓,リモス)によって,エリュシクオンを苦しめてやろうと思いついたのだ.女神は自分でファメスのもとへ出かけることができないので,山の妖精たちの中から田園に住むオレアスを呼んで,次のように言われた.「おまえは,この飢餓(ファメス)にあの神を冒瀆した男の罪深い体内に入ってくれるよう命じておくれ」

一昨日からとりあげている,山や洞窟のニンフ(ニュンペー),オレイアス(Oreias 複数形はオレイアデスOreades). 昨日までに三組のオレイアスを取り上げましたが, エコー(エーコー) ドリュアスとされることも https://yachikusakusaki.hatenablog.com/…

オトレーイス. ゼウス,そしてアポローンという,ギリシャ神話でもっとも女性関係が華やかな?二人の神と結ばれ,それぞれの子をもうけたオレイアス. 彼女のことを伝えるギリシャ神話原典は,アントーニーヌス・リーベラーリス「メタモルフォーシス」のみ.そして,ここでは,彼女自身の物語はほとんど語られていません. メリテウスはゼウスと妖精オトレーイスとの間に生まれた子供であった. オトレーイスは,ゼウスが彼女と交わったことをヘーラーが憤るであろうと恐れて,この子を森に捨てた.

昨日からとりあげている,山や洞窟のニンフ(ニュンペー),オレイアス(Oreias 複数形はオレイアデスOreades). オレイアスは,木や森のニンフ,ドリュアスに属すとみなされ,山のコニファーのニンフとされています.ギリシャ神話の時代,山と木々(特に山…