多様な役割・意味を持ち,すべての古代ギリシャ・ローマの神々の中で最も広く尊敬され,影響力をもったPhoebus Apollon (Apollo) =ポイボス(フォエボス 光り輝く)アポローン(アポロ).
しかし,この神の恋の多くは悲劇的なものでした.しかし,単に悲劇として終わるのではなく,後に残るものは,永遠の価値を持つところが,アポローンの凄さともいえます.
ダプネー(ダフネ)はアポローンの求愛を退け,月桂樹に変身してしまいますが,永遠にアポローンを,そして詩人や勝利者を飾り続けて来ました.
コローニス(コロニス)へのこころからの愛は,彼女の不貞によって裏切られ,アポローン自身の矢で射殺してしまいます(ピンダロスが伝えるところではアルテミスに殺させた).
しかし,彼女が妊っていた赤児を救い出し,ケイローンに預けます.成長した子アスクレーピオスは,医術の神(医神)として信奉され,現代でも彼が持っていた杖は,医療・医術のシンボルマークとし用いられています.
最近テレビでも頻繁に登場していますね.
そう.あのWHOのマークが「アスクレーピオスの杖」です.
ASCLEPIUS (Asklepios) - Greek God of Medicine & Doctors
一説にはアスクレーピオスの母は,レオキッソスの娘アルシオネーではなくて,彼はテッサリアーのプレギュアースの娘コローニスの子であるという.
そしてこれによればアポローンはこの女を愛し,直ちに交わったが,彼女は父の意見に反してカイネウス兄弟イスキュスを好み,彼と交わったという.
アポローンはこれを告げた鴉(からす)を呪って,それまで白かったのを黒くし,女をば殺した.彼女が焼かれている時に火葬台より嬰児(えいじ)をひき掠(さら)って,ケンタウロスのケイローンの所に連れて行き,子供は彼の所で育てられる間に医術と狩猟の技とを教えられた.
そして彼は外科医となり,その術を非常に研鑽(けんさん)進歩させて,あるものの死を妨げたのみならず,死者をもよみがえらせた.アテーナーよりゴルゴーンの血管から流出した血を得て,左側の血管より流出せる血を人間の破滅に,右側よりのを救済に用い,これによって死者を蘇生させた.彼によって生き返ったと称される幾人かの人々を余は見出したが,これはステーシコロスがその「エリピューレー」中で言うところによれば,カパネウスにリュクールゴス,------である.
ゼウスは人間が彼より治療の術を獲得して互いに助け合いはしまいかと恐れて,彼を雷霆(らいてい ケラウノス)で撃った.
そこでこれに怒ってアポローンはゼウスのために雷霆を造ったキュクロープスらを殺した.