写すだけ万葉集

藤袴  七草の一つフジバカマの話題をいくつか.1. わが家の藤袴は園芸種の白花ですが,一般的には赤みが混ざった花を咲かせます.園芸店で売られているものの多くはサワヒヨドリとの交配種が多いそうです. 2.フジバカマの学名は,二つあります.3. 「藤袴」の異名「蘭(らに)」  萩の花 尾花葛花(くずはな) 瞿麦の花 女郎花 また藤袴朝顔の花 山上憶良  宿りせし人の形見か藤袴忘られがたき香ににほひつつ 紀貫之   蝶二つ激しく翅を開閉す「万葉の園」ふじばかまの花 日野裕子 

秋の七草の一つフジバカマの話題をいくつか. 萩の花 尾花(をばな) 葛花(くずはな) 瞿麦(なでしこ)の(が)花 女郎花(をみなへし) また藤袴(ふぢはかま) 朝顔の(が)花 山上憶良 万葉集 巻八 一五三八 1. 様々なフジバカマ? わが家のフジバカマが開花…

萩は,日本人に長く愛されてきた花で,和の花と言って良いでしょう.万葉集で最も多く詠われた植物であることはよく知られています.枕草子でも絶賛されました.  我が宿(やど)の 一群(ひとむら)萩を 思ふ子に 見せずほとほと 散らしつるかも 大伴家持  真葛原 靡く(なびく)秋風 吹く毎に 阿太(阿陀)の大野の 萩が花散る 作者不詳 万葉集

海蔵寺に萩を見に行ってきました. 多く植えられているわけではありませんが,山門手前の階段の両脇にきれいに植えられていて,見応えがあります. 手前が赤花,門のすぐ横が白花. 遠景では赤花が目立ちますが,白萩に囲まれた山門はなかなかのものです. …

ヒユ科の植物たち(1) 雑草の合間に咲くハゲイトウに出逢いました.最近の品種は,小さいながら美しく咲いてくれます.万葉集に「韓藍(からあい)」として詠われ,古くは食用もしくは染料として使われていたとか.近縁のアマランサス属は種子も葉・茎も食べられているので食用説もうなずけます.恋(こ)ふる日の日(け)長くしあれば我が園の韓藍(からあゐ)の花の色に出でにけり 万葉集

鎌倉瑞泉寺の山門近くで,ケイトウに出逢いました.小さいながら,雑草に覆われた一角で,鮮やかな赤が目立っていました. ヒユ科の植物たち(1) ケイトウ ケイトウの以前の品種は「鶏頭」という名前が似合う姿でしたが--- ケイトウ 植物 - Google 検索 最…

ソクズは レンプクソウ科 ,ニワトコ属 .ニワトコは,漢字で接骨木.接骨木は生薬名にもなっていて,その時は「セッコクボク」と読むようです.茎は打撲傷やうち身に,花や葉は利尿.セイヨウニワトコ,アメリカニワトコは,熟して黒くなった実を食用に.ニワトコは,古事記・万葉集では「やまたづ」と呼ばれていました. 君が行き日(け)長くなりぬやまたづの迎へを行(ゆ)かむ待つには待たじ 軽太郎女

昨日見かけたソクズ(蒴藋).小さな花が集まっていて,よく見るとなかなか美しい花.実もなかなかかわいらしい. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/08/12/235533 レンプクソウ科 Adoxacea,ニワトコ属 Sambucusの植物で,別名クサニワト…

暑い1日.8月に入ったという実感があります.8月は,別名葉月.新緑/紅葉の月でもないのに--- と奇妙に思ったことがありますが---.新暦・旧暦の違いを知ればよいことでした.そして「木々の葉落ち月(はおちづき)」というのが有力な説だそうです.各月の異名(和風月名)の由来候補を,国立国会図書館のサイト+日本国語大辞典から抜き書きしておきます. そして,今日,新型コロナによる新規死亡者7日間平均で,第三波のピークを越えました.世界第6位です.「西欧なみ」になりました.

とてつもなく暑い1日でした.明日はもっと暑くなるとの予想. 8月に入ったという実感があります. 8月は,別名葉月. (睦月如月----等の昔の月も呼び方には「和風月名」という言葉もあるようですが,一般的かどうか? 辞書には載っていません.例えば「…

センダン(栴檀) 日朝様(鎌倉本覚寺)に,センダン(栴檀)のかなり大きな木があります.葉が美しいと眺めていますが,今の季節は青い実をつけています.栴檀の花は清少納言も「いとをかし」とし,楝(あふち/おうち:センダンの古名)色という色前としても残っています.中国語(漢字本来の意味)では,楝がセンダンを表し,栴檀はビャクシンの意味.  妹(いも)が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干(ひ)なくにも  山上憶良

いつもの散歩コースでよく通る日朝様(鎌倉本覚寺)に,センダン(栴檀)のかなり大きな木があります. 葉がとても美しいと思って眺めていますが,今の季節は青い実をつけています. この栴檀. 花が,奈良・平安の時代から「楝」あふち / おうち(古名)の…

万葉集のユリを詠んだ歌12種の多くはササユリを,東国の歌ではヤマユリを詠んでいると考えられています.平安〜江戸時代の歌題としてはあまり取り上げられず,近・現代に再び多くうたわれるようになりました. ゆあみする泉の底の小百合花二十の夏をうつくしと見ぬ 与謝野晶子  髪ながき少女(おとめ)とうまれしろ百合に額(ぬか)は伏せつつ君をこそ思へ 山川登美子  さびしさよ甕(かめ)に盛られし百合の向ふに人垣の向ふに君がゐるなり 河野裕子

15種の自生種,8種の固有種がある日本は,「ユリの王国」とも言える国. 第3回 日本はユリの王国 | BloomField - ガーデニングABC - ユリと日本 | ユリ.net https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534 yachikusakusaki.hatenablog.co…

ハマユウ1  鎌倉おんめ様(大巧寺)の小径に,ハマユウ(浜木綿)が咲いていました. 少し花が痛んではいましたが,他にはない花姿は印象的.古代から日本人の目を惹いてきた植物ですが,柿本人麻呂,清少納言は花より葉に注目していたようです.厚い根性葉が幾重にも茎を抱き,見るからに力に満ちているたくましい植物ですが,花は柔らかく優しい感じがします(山田卓三) み熊野の 浦の浜木綿百重(ももへ)なす心は思へどただに逢はぬかも 柿本人麻呂

鎌倉おんめ様(大巧寺)の小径に,ハマユウ(浜木綿)が咲いていました. 少し花が痛んではいましたが,他にはない花姿は印象的. 万葉集,枕草子にも取りあげられ,古代から目を惹いてきた(湯浅浩史)植物. 柿本人麻呂,清少納言は,花よりむしろハマユウ…

ホンカンゾウ(本萱草) 門前に植えられているところを通りかかりました.鮮やかな花です.ノカンゾウ,ヤブカンゾウとともに「わすれぐさ」として知られる植物.中国では「食するとうれいを忘れるという」(字源).山菜のノカンゾウ.もっと人気が出てもよさそうですね. それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ 山川登美子

散歩の途中,一軒のお宅の門の横に植えられた花.一輪は既に萎れていましたが,もう一輪はまだ元気に鮮やかな色彩を保っていました. PictureThisの判定は,ホンカンゾウ(本萱草). ノカンゾウの栽培種ですね. ノカンゾウ,ヤブカンゾウ,そしてこのホン…

ヒオウギとシャガ  シャガの名前の元となった漢字「射干」は,中国では和名のヒオウギ(檜扇)を意味する言葉.一方,「射干玉」は,「ぬばたま」と読み,ヒオウギの黒い実のことです.明治以降でも射干を「ひおうぎ」とルビした歌人もいます.:われを責むるごときしづかさ射干(ひあふぎ)の黒き珠美の熟れつつありて 清原令子  どちらを詠んだのか分からない歌も:射干(ひおうぎ)の花のふふまむ頃となり山ほととぎすいまだ聞こえず 斎藤茂吉

シャガとヒオウギ シャラノキ(沙羅樹 ナツツバキのこと) / サラソウジュ(沙羅双樹)同様, https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/11/234912 漢名と和名が入り交じって,混乱しかねない植物に,シャガとヒオウギがあります. シャガと聞…

ハス(蓮)1  鎌倉八幡宮のハスの花も咲き始めています.以前も取り上げた蓮について改めて整理します.「はす」は「蜂巣」の略名.英語ではlotusですが,「lotus=はす」ではありません.スイレンと似ているため以前は同じ科に分類されていましたが,系統樹上かなり離れた植物(ヤマモガシ目ハス科)とされています.万葉集では葉にたまった露の美しさが詠われています. ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む  作者不詳

鎌倉八幡宮のハスの花も咲き始めています. (といっても,夕方に見たので開花はしていませんでしたが) https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/01/235700 平家池のハス 源氏池のハス 蓮については,このブログでも何回か取り上げてきました…

合歓(ねむ)を詠った短歌1 紀郎女と大伴家持の相聞歌がよく知られています.「昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見めや戯奴(わけ)さへに見よ 紀女郎」ねぶの花と茅花を摘み,歌を添えて大伴家持に贈った歌.ネムノキは小葉が夜合わさって閉じることから,中国では合歓木と言われています.この性状を知った上での歌のやりとりです.歌の意は「此(この)合歓の花は、晝(ひる)は咲いて、夜は焦れて寝る花です。あなた許りが焦れて寝なさる訣(わけ?)ではありません。わたしまでも、矢張焦れてゐます」

合歓(ねむ)を詠んだ芭蕉の句が余りにも有名ですが--- https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/06/29/000708 合歓は,万葉集にも取り上げられている花で, (万葉集では「ねぶ」と呼ばれます) 紀郎女(きのいらつめ)と大伴家持の相聞歌がよく…

秋の花とされるツユクサ(露草)ですが--- ツユクサを詠んだ短歌について,古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)から.万葉集では,つきくさ/月草として登場.露草と呼ばれるようになつたのは平安時代ですが,近世はもとより近代においても「月草/鴨頭草」と詠まれることが圧倒的に多かったとのこと.月草のあはれ仮りなる命もてぬれてののちの人に恋ひつつ 藤原為家  をさなきを二人つれ立ち月草の磯辺をくれば雲夕焼けす 伊藤左千夫  今朝ほどはわが道の辺に霧濡れてはなださびしきつゆくさの花 高橋幸子

秋の花とされるツユクサ(露草)ですが--- わが家では早くも咲いていること,そして,昨日の流れから,今日はツユクサを詠んだ短歌について,簡単にまとめてみます. といっても,例によって,古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)の抜粋になります. 万葉集で…

ノハカタカラクサとツユクサ  昨日,安国論寺でノハカタカラクサ(野博多唐草)に出会いました.今までは全く知らなかった花でしたが,今ではどこにでも生育しているようですね.ツユクサ科の外来植物で,ツユクサとは属が異なります.ツユクサもノハカタカラクサも繁殖力が強く,世界中に広がっているようです.月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ 大伴坂上家之大娘 

昨日,安国論寺で出会った花をブログの終わりに載せさせてもらいましたが,その中の一種は,ノハカタカラクサ(野博多唐草). 今までは全く知らなかった花でしたが,今ではどこにでも生育しているようですね. 亀ヶ谷の切通でも群生しているのを見かけまし…

紫陽花を詠んだ歌  万葉集に既に歌に詠まれていたことはよく知られています.しかし,古歌には余り詠まれず,その傾向は近世まで続きます.よく取り上げられるようになつたのは近代になつてから. あじさいの八重咲く如く弥(や)つ代にいませわが背子見つつ偲はぬ  橘諸兄   まかがよふ光りのなかに紫陽花の玉のむらさきひややかに澄む 太田水穂   紫陽花のふふむ雨滴を揺りこぼす言はば言葉がすべてとならむ 河野裕子

日本で古来より生育し,また栽培されてきた紫陽花. アジサイの語源は,特定はできていませんが--- 「あじ(あぢ)」は「あつ」で集まること,「さい」は真藍(さあい)の約で青い花がかたまって咲く様子から名付けられたと思われる.(日本国語大辞典) と…

初夏の花ウツギ / 卯の花を詠んだ歌   万葉の時代から明治期に至るまで,日本の初夏の花の代表はウツギの花=卯の花だったようです.万葉集に二四も詠まれ,唱歌「夏は来ぬ」は明治から現代まで歌い継がれています.「ウツギの花が春から初夏への季節の変わり目に咲き、また白く目だつことから、暦の普及していなかったころに季節を知る重要な花であった」 五月雨もむかしに遠き山の庵通夜する人に卯の花生けぬ 与謝野晶子

初夏・五月 アジサイには早いものの,沢山の種類の花に出会うことができます. あくまでも私のイメージですが,サツキ,アヤメが古くから親しまれてきた典型的な5月の花.フジ,ハナミズキは桜が終わった4月の花ではないでしょうか. バラ園のバラも5月が見…

かきつばた(杜若・燕子花)1  実は,まだ間近にカキツバタを見たことがありません.今年こそはどこかで--とは思つていますが.「アヤメ属のなかではもっとも古くから栽培された」「日本原産」とされるカキツバタ.アヤメ(花あやめ)と異なつて,万葉集,古今集でも詠われています.杜若衣(きぬ)に摺りつけますらをの着そひ猟(かり)する月はきにけり 大伴家持  か: からころも き: 着つつなれにし つ: つましあれば は: はるばる来ぬる た: たびをしぞ思う 在原業平 

5月はアヤメ,カキツバタの季節.といっても,カキツバタを近くで見たことのない私. Iris laevigata - Wikipedia ハナショウブを中心とした菖蒲園で見ることができるのでしょうか?多くは,より華やかなハナショウブ中心のようにも思いますが--- 実はまだ菖…

庭の菖蒲(あやめ)が開花しました.私の感覚ではアヤメは初夏を代表する花.今日は「あやめ」を詠んだ歌をいくつか取り上げます. ただし,古歌では「あやめ」といえば,今のショウブをさすことがほとんど.  五月雨に水まさるらしあやめ草末葉(うれは)隠れて刈る人のなき 源実朝 //  風の音たえたる庭に光と影あつめつつそよぐ文目草(あやめ)ひとむら 宮柊二

アヤメが咲きました. 例年並みの開花日かなと思います.そして,アヤメが咲くと「もう春は終わった」と感じます. 5月は暦の上では夏.今年の立夏は5月5日. ただし,5月は「初夏であって」「夏ではない」という矛盾したイメージを持っていますが. (…

松の花は,よく見るとなかなか美しい姿をしていて,元気をもらえる花です.松が短歌によく詠われているのは知つていましたが,松の花は?万葉集にも,後の勅撰和歌集,さらには明治以降も,数は多くないものの,しっかり詠まれていました!  うす曇る空に並み立つ松の花伸び急ぐ日を我らも忙(せは)し 窪田空穂

鎌倉は今日も曇り空で,夕方からは雨. 春とは思えない寒い日が続いていますが,植物の季節の営みを乱すほどではありません.晩春の花たち,藤,つつじは続々と咲き始めています. 一方,この季節にたくさん咲いているのに見逃されている花が沢山あります. …

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌4  うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも独しおもへば 大伴家持  穂村弘さん「前半は情景ですよね.自分の目で見たものが詠われていて,後半で自分の気持ちが詠われるんですけれど,そのコントラストが凄いんですよね」「このコントラストが現代の感覚にも通じるような気がします」 斎藤茂吉「万葉集の大部分の歌が対詠歌,この歌は,不思議にも独詠的な歌である.仏教的静観の趣でもある.これも家持の到り着いた一つの歌境であった」

NHKの番組「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選.これさえ覚えれば、あなたも短歌・俳句通!?」 で選ばれた万葉集の歌を取り上げてきました. 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選 - NHK (50首一覧は,次のサイトに掲…

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌3  世の中を憂しとやさしと思へども飛びた立ちかねつ鳥にしあらねば 山上憶良 栗木京子「貧困にあえぐ人たちに成り代わってというか、そういう人たちの立場に立って詠った,こういう厳しい世の中から逃げてしまいたいけれども,鳥のように翼があるわけではないので飛び立っていけない,そういう嘆きを詠っているわけです」 斎藤茂吉「長歌の方で,細かくいろいろと云ったから,概括的に締めくくったのだが,やはり貧乏人の言葉にして,その語気が出ている」

一昨日から, NHKの番組「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選.これさえ覚えれば、あなたも短歌・俳句通!?」 で選ばれた万葉集の歌を取り上げています. 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選 - NHK (50首一覧は,次の…

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌2  楽浪の志賀の唐崎幸くあれど大宮人の船待ちかねつ 柿本人麿  「柿本人麻呂は,宮廷歌人として,宮廷の人びとの心を詠う,それを個人的な感じで歌うところに特色があった」「全体が切実沈痛で,一点浮華の気をとどめて居らぬ.---一首全体の態度なり気魄(きはく)なりに同化せんことを努むべきである.」 

昨日から, NHKの番組「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選.これさえ覚えれば、あなたも短歌・俳句通!?」 で選ばれた万葉集の歌を取り上げています. yachikusakusaki.hatenablog.com 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句1…

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌1 熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は榜ぎ出でな 額田王  斎藤茂吉評:当夜は月明であっただろう. 月が満月でほがらかに潮も満潮でゆたかに,一首の声調大きくゆらいで,古今に稀なる秀歌として現出した.そして五句とも句割がなくて整調し,句と句との続けに,「に」,「と」,「ば」,「ぬ」等の助詞が極めて自然に使われている--- 

1200年の歴史の短歌.世界に誇る日本文学の粋を,短歌界の最高の知性が集まり,50首を選び抜く. NHKが仕掛けた「粋」な番組.実際には俳句と組み合わせた番組ですが. 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選 これさえ覚えれば、あなたも短歌…

鎌倉の桜は,この間の雨にも関わらずまだ花を楽しむことができます.現在市中で見かける桜はほどんどソメイヨシノですが,ソメイヨシノが生まれたのは明治時代ですから,それ以前の桜はソメイヨシノではないということ.短歌に詠われてきたのはほとんどがヤマザクラと思われます.一方,「山桜」と特定した短歌もあります. あしひきの山桜花一目だに君とし見てば我恋ひめやも 大伴家持  うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花 若山牧水

冬のような寒い雨が続き,桜も散ってしまったのでは? と思って出かけてみると--- 外見上は未だ立派な花を咲かせたままの桜が目につく鎌倉でした.よく見るとかなり散ってはいましたが. 後2-3日は楽しめるように思います.その後は桜吹雪も楽しめますね. …

柳 (1) 現在では「ヤナギ科ヤナギ亜科ヤナギ属の植物の総称」が「柳」の定義になっていますが,柳と聞いて思い浮かべるのは,シダレヤナギ(枝垂れ柳)でしょう.中国で,そして日本でもとても古くから利用されていたことが知られ,縄文前期の石斧(せきふ)の柄(え)などに使われたヤナギが出土しています.万葉集には,柳を詠んだ歌が26首あり,早春の景物として梅の花や鶯(うぐいす)と配合され,「青柳」「春柳」とよばれています. 春霞ながるるなべに青柳の枝くひもちて鶯鳴くも 作者不詳

「そういえば,最近,柳を見ていないな〜」 と思ったのは,“古今短歌歳時記”(鳥居正博著 教育社)で「短歌に詠まれている3月の植物」の項目を読み始めたとき. 行動範囲がとみに狭まったせいかと思います. 目にしている植物だけではなく,より広い植物と…

椿を求め源氏山公園,葛原が岡神社へ.いつものように寿福寺側から登ると,所々にスミレの葉が顔を出していました.名前が表示されている木が何本か:タブノキ,サカキ,スダジイ,シラカシ---源氏山一帯には,椿が沢山植樹され,今は見頃と言って良いでしょう. あしひきの八峰(やつお)の椿つらつらに見とも飽かめやうゑてける君 大伴家持

椿を求め,できれば,春の香りも味わいたいと,源氏山公園,葛原が岡神社へ. 登り口は,いつものように寿福寺側から,小さなトンネルを抜けて,坂道を上がりました. 所々に,スミレの新しい芽が顔を出していました. この葉は,アオイ? 江戸時代に新しく…

早咲きの梅を見に八幡宮へ.源平池の近くの白梅は三分咲き,国宝館の前の紅梅は5分咲きといったところ.蕾も美しい梅なので今が見頃と言っていいでしょう. 今日降りし雪に競(きほ)ひて我が屋前(やど)の冬木の梅は花咲きにけり /大伴家持   こがらしの吹ききよめたる朝空にはじけて梅の花しろく咲く /太田水穂

二月になれば梅が楽しみですが,待ちきれず,今年も早咲きの梅を見に八幡宮へ. 源平池の近くの白梅. 白旗神社に向かう道,国宝館の前の紅梅. 白梅は三分咲き,紅梅は5分咲きといったところでしょうか.今年の寒さで開花が遅いようです. しかし,つぼみも…

華やいだ気持ちになる,新しい年の初め,正月.しかし,いつまで正月なのでしょうか?三が日?松の内?しかし,正月の本来の意味は,「一年の一番初めの月」.すなわち一月を指します.ただ,もちろん『正月』三が日や松の内の意もこめられています.古歌では「むつき」と読ませますが.正月(むつき)立つけふここのへにふる雪や衣にうけしあとをしるらん 冷泉為相 冬枯のすすきのなかに大富士の雪坊主一つめでたき正月 太田水穂

正月. 以前ほどではありませんが,多くの方が華やいだ気持ちになる,新しい年の初め. 英語で正月は何て言う?初詣やおせち料理、お年玉を英語で説明してみよう! | 語学をもっと身近に「ECCフォリラン!」公式サイト しかし,いつまで正月なのでしょうか?…

elderberryとして広く知られているニワトコ.「ハリーポッター」にでてくる魔法の杖(「死の杖」「宿命の杖」)は,ニワトコでできている---- 別の見方をすれば,欧米でelder treeを知らない者はほとんどいないということ.日本では古事記,万葉集にニワトコの古名「やまたづ」が登場し,迎えの枕詞として使われます.万葉集では古事記の伝承をもとにした衣通王の詠んだ歌として紹介されています.ここで言う「古事記の伝承」は,兄妹の道ならぬ恋を描き,最終的には自死してしまう悲しい物語.

欧米では,elderberryとして広く知られているニワトコ. セイヨウカンボク - Wikipedia セイヨウニワトコの実はジャムやサプリメントとして利用されているようですが,最近では「Elder Wand ニワトコの杖」の名前がよく知られていますね. 世界中で大ヒット…

「臥猪の床」として平安時代以降,和歌などに取り上げられたイノシシ.“恐ろしき猪のししも、「ふす猪の床」と言へば、やさしくなりぬ。”(徒然草) しかし,古代においては,タンパク源であると同時に厄介で獰猛な獣としての位置づけでした.古事記では,クヌギに登って獲物を待っていたカゴサカ(応神天皇と異腹の御子)を食い殺す場面が描かれます.“そのクヌギの根元を掘って木を倒し,木の上にいたカゴサカを食い殺してしもうた”(三浦祐介訳 口語訳古事記)

江戸時代,絵画さらには花札に「臥猪の床」として描かれた猪. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/10/08/235311 有形文化財 – 近世絵画コレクション - 千總文化研究所 / Institute for Chiso Arts and Culture もともとは平安時代以降の和…