写すだけ万葉集

合歓木の実/合歓を詠んだ短歌(再掲) 片瀬漁港防波堤までの散歩の道中に出会った合歓木.花は散り青黒い実が沢山垂れ下がっていました. あやしくも神ことよせて思ひしみ恋ふるこころを知るやねむの木 伊藤左千夫  合歓の葉の 深きねむりは見えねども,うつそみ愛(ヲ)しきその香たち来も 釈迢空  合歓の実の黝(くろ)く垂りたる照らしつつのぼり来たる月をこの夜半も見ぬ 木俣修  合歓の花木末(こぬれ)に高くそよぎつつ秘かなるわが思慕をいざなふ 大西民子

雲の多い1日でしたが,暑さは変わらず. 夕方の散歩コースは,境川の河口の道から片瀬漁港の江の島寄り防波堤の先端まで. 境川の川面の燦めき. 片瀬漁港入口からは江の島が美しく見渡せます. 防波堤から振り返って片瀬漁港を見渡すと: 防波堤先端でしば…

ハマユウを詠んだ短歌2 もろかりし妻のいのちをおもひをれば浜木綿の花に虹のいきほふ 川田順  夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ 植松壽樹  浜木綿の茎たくましくりゅうりゅうとなにはばからず岩のあひより 橋本德寿  みだれざる人の眠りにみだれをり硝子の劃(かぎ)る黒き浜木綿 葛原妙子  はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにける 高野公彦

今日も藤沢は曇り.昨日より雲は厚く富士を望むどころではありませんでした. 散歩の途中,境川の川沿いの道で,ハマユウが咲いているのに出会いました. 鎌倉ではおんめ様(大巧寺)に植えられていましたが,道ばたで出会ったことはありませんでした. 正式…

ユリを詠んだ短歌2 さ百合花後(ゆり)も会はむと思へこそ今のまさかもうるはしみすれ 大伴家持  うつつなり眠り薬の利(き)きごころ百合の薫りにつつまれにけり 長塚節  裏山の青萱(あいがや)ぬけいで咲く百合の涼風のむた大きくゆらげり 木下利玄  散歩道(プロムナド)の果に百合咲く喫茶店(カフェ)ありて二人して聴く牧神の午後 植木昭夫  ちご百合の花も愛でしや西行の捨て身のこころ分りはじめつ 川口美根子  

今日は,雲の多い1日.それでも夕方には,富士を見ることができました. 午後,近くのお寺,常立寺に立ち寄り,参拝. 庭の片隅に,オニユリ,そしてヤマユリが咲いていました. 日本はユリの大国で,自生種が15種,その内8種は固有種と言われています.そ…

桃の実を詠んだ短歌1  山梨県産早生桃を買い求めました.ちよひめ?日川白鳳? 向かつ峰(を)に立てる桃の木成らむかと人ぞささやく汝がこころゆめ 作者未詳 万葉集  居並びてあるだに暑き夏の日に身にみを寄せてなれる桃の実 大隈言道  岡山の大いなる桃皮むけばしたたる雫よき香をたてる 窪田空穂  ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉  桃の実のはだのやうなるうぶ毛して少年の頬のうひうひしさよ 木下利玄

今日は,関東地方梅雨入り後,初めてといって良い雨の日.神奈川県は今夜半大雨の恐れとのことですが-- 夕方はまだ雨はポツポツ. ジメジメした気分を晴らすためもあり,近くの青果店で桃を購入. 山梨県産とありました.山梨は,桃生産量全国一. https://w…

ベッドストローとヤエムグラ(アカネ科の花2) アカネ科は英語でthe bedstraw family(ベッドストロー科)ともいわれます.ベッドストロー(日本のキバナカワラマツバ:多分)はベッドの詰め物などヨーロッパで多岐に利用されたヤエムグラ属の植物.日本のヤエムグラは雑草として扱われてきて,枕草子でも「うつろひやすなるこそうたてあれ(色があせ易いのは困ったものだ)」とされています.カワラマツバも雑草扱いですが,花はかなり美しいと思います.

アカネ科の花2(アカネ科は三年前にも扱った題目なので,二回目のまとめ,その2になります) アカネ科英語では, the coffee family(コーヒー科) the madder family (セイヨウアカネ科) the bedstraw family (ベッドストロー科) 等と呼ばれます.htt…

短夜を詠んだ短歌  藤沢の日没は19時.今日の夜の長さは夜の長さは9時間29分.明日の昼の長さは14時間31分.夏至近くの昼と夜の長さがこんなに違う!  霍公鳥(ほととぎす)来鳴く五月の短夜もひとりし寝れば明かしかねつも 万葉集  くれなゐの扇に惜しき涙なり嵯峨のみじか夜暁(あけ)寒かりし 与謝野晶子  短夜はなにかしろきにじじと熬(い)る夏蝉のこゑを気色にぞ聴く 北原白秋  みじか夜を美(くは)し云ひて惜しみつつやがて眠りにゆくばかりなり 斉藤史

19時,いつも出かける江の島弁天橋から富士山を撮影しました. ちょうどお日様が沈んだところ.この後15分位は,雲が一番赤く見える時間帯で,短い時間ですが東の雲も赤く染まります. ヤフー天気には,今日の藤沢の日の入り時刻18時58分,明日の日の出は4時…

初夏/夏来(なつく)/夏さる(夏去る)/夏まく(夏設く)/夏立つ を詠んだ短歌2  鎌倉浄妙寺には,多種類のヤマアジサイが植えられています.訪れてみると,もうすぐ満開といった所で,元気な美しい花姿を見せてくれていました. 夏されば茨(いばら)花散り秋されば芙蓉花咲く家に書(ふみ)あり 正岡子規  夏まけて咲きたる唐棣(はねず)ひさかたの雨うち降らば移ろひなむか 大伴家持  日はかすめ清(さや)にこごしき妙義嶺(みょうぎね)の檜山(ひやま)のなだり夏立ちにけり 北原白秋  五月六日立夏(りっか)のゆふべ緑

今日は,鎌倉浄妙寺まで行って来ました. このお寺には,山紫陽花が沢山植えられていて,開花の様子を確かめるためです. 境内に入って,はじめに目に飛び込んできたのは,新芽の赤がとても美しいカエデ. お目当ての山あじさい.もうすぐ満開といった所で,…

ウツギ(卯の花)の鉢植えが,大船フラワーセンターに展示してありました. 卯月=旧暦4月に咲く日本の初夏を告げる代表的な花で,’夏は来ぬ’で歌われた「季節の花」としての展示だと思います.隣に展示してあった梅花空木は別属ですが,フラワーセンターにもあったサクラウツギは,ウツギ属の園芸種.妙法寺で立派は花が見られるサラサウツギは,卯の花の変種になります. 五月雨もむかしに遠き山の庵(いほ)通夜する人に卯の花生けぬ 与謝野晶子

昨日訪れた大船フラワーセンターに,ウツギの鉢植えが展示してありました. ウツギは,別名ウノハナ(卯の花). 大好きな花なので,このブログでも数回取り上げています.以下,解説の多くはくり返しになります. 卯の花は,卯月=旧暦4月に咲くので,この…

おんめ様〜妙本寺〜本覚寺 鎌倉在住時には週に一二度訪れていた散歩コース.今の季節,沢山の花と若葉を楽しむことができます.ツツジ・ハクチョウゲ・テイカカズラ・イワフジ---.5月の楓と妙本寺二天門.そして,センダン(栴檀,楝 おうち/あふち)の花. 羽根そよがせ雀楝の枝に居り涼しくやあらむその花かげは 北原白秋  栴檀のうすむらさきに咲きつげる窓おしひらきしばしの息つぎ 長沢美津  栴檀はうすむらさきの雪のごと花咲きてしあわせなりしかの日よ 石川不二子

今日は午前中は雨模様の曇り. 午後,用事で鎌倉へ.晴れ間が見えてきた夕方,かつては週に一二回は訪れていた散歩コース(大巧寺〜妙本寺〜本覚寺)へ足を伸ばしました. 大巧寺(おんめさま)の八幡通寄りの山門と山門脇に美しく花開いていたツツジ. 普段…

富士を詠んだ短歌1 この3日間は快晴.江の島弁天橋,江の島稚児ヶ淵,鎌倉稲村ヶ崎からは,夕焼けの富士を望むことができました.  田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ不尽の高嶺に雪は降りける 山部赤人  富士の嶺に降り置く雪は六月の十五日に消ぬればその夜降りけり 高橋虫麻呂歌集  富士の嶺を高み畏み天雲もい行きはばかりたなびくものを 高橋虫麻呂歌集  我妹子に逢ふよしをなみ駿河なる富士の高嶺の燃えつつかあらむ 作者未詳

GW後半は,晴天に恵まれ,藤沢・鎌倉からは,この3日間,毎日,富士を望むことができました. 5月3日,弁天橋入口から富士を望む 5月4日,江の島稚児ヶ淵から富士を望む 5月5日稲村ヶ崎から富士を望む 富士を詠んだ短歌1 (古今短歌歳時記より) 古…

霞を詠んだ短歌  今日の片瀬東浜では,夕方になつても多くの人がよく晴れた春の日を満喫していました.弁天橋から見る丹沢,富士は春霞の中にぼんやり浮かんでいました.  ひさかたの天の香具山このゆふべ霞たなびく春立つらしも 柿本人麿歌集  春の野に霞たなびきうらがなしこの夕かげにうぐひす鳴くも 大伴家持  かすみたち木の芽もはるの雪降れば花なき里も花ぞ散りける 紀貫之  高砂の尾上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ 大江匡房

今日はよく晴れ,気候も申し分のない一日でした. 夕方,片瀬東浜海岸へ. もう5時も回っていたのに,浜では膝まで海に入る人を含めて,まだ数多くの人が,春の海を楽しんでいました. 「写真撮って良いですか?」とお父さんに聞くと心よく「どうぞ」といっ…

アセビ(アシビ 馬酔木)を詠んだ短歌  磯の上に生(を)ふる馬酔木を手(た)折らめど見すべき君が在りと言はなくに 大伯皇女  池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を扱入(こき)れな 大伴家持  庭隈のあしびの花に夕雨のあかるうそそぐ見つつ語らふ 佐佐木信綱  のぼり来し比叡の山の雲にぬれて馬酔木の花は咲きさかりけり 斎藤茂吉  水の辺の馬酔木の若木小さけれどほのかに群れて花つけぬらし 北原白秋  来る道は 馬酔木花咲く日の曇り—。大倭(ヤマト)し遠き 海鳴りの音 釈迢空

鎌倉に所用で出かけました. 少し早く着いたので,鎌倉駅からすぐのおんめさま(大巧寺)へ.鶴岡八幡宮の二ノ鳥居近く, 大好きな,このブログでも一番多く取り上げてきた寺院. いつ行っても花に出会えるお寺です.今日であった花々は: ヤマザクラとトキ…

うらうら/うららかを用いた短歌  うらうらに照れる春日にひばりあがり心悲しもひとりし思へば 大伴家持(前半は,情景ですよね.後半で自分の気持ちが詠われるんですけど,その,コントラストが現代の感覚に通じるような気がしますね) 麗らかや此方(こなた)へ此方へかがやき来る沖のさざなみかぎり知られず 北原白秋  うらうらと照れる光にけぶりあひて咲きしづもれる山ざくら花 若山牧水  うららかに一天晴れて吹く風のとよみの音も耳にのどけし 尾山篤二郎

久しぶりによく晴れ,うららかな春の日を満喫できる一日. 青空の下,江ノ島付近の波は穏やか.弁天橋から見た富士は,春の富士.遠く霞んだ姿を見せていました. 晴れた日に,かえって物憂くなることもあるかとは思いますが---今日は,澄んだ青空を見ただけ…

桜を詠んだ短歌2 桜は短歌の題材として多く取り上げられ,秀歌も数多くあります.NHK究極の短歌50選のうち三首が桜の歌! 桜花 ちりぬる風の なごりには 水なき空に 浪ぞたちける 紀貫之  後世は猶 今生だにも 願はざる わがふところに さくら来てちる 山川登美子  夜半さめて 見れば夜半さえ しらじらと 桜散りおり とどまらざらん 馬場あき子 

桜は,短歌に最も多く詠まれた花といえるのではないでしようか. 一昨年,NHKBSプレミアム/Eテレで,「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選」という番組がありました. https://www.nhk.jp/p/tankahaiku100/ts/L8R11WY878/ その冒頭のナレ…

椿を詠んだ短歌1 大船フラワーセンターには,沢山の椿の品種をあつめた一角があります.椿の花は大好きなのですが,傷ついた花が多いのがやや残念.赤角倉という品種のみが,傷のない見事な赤花を咲かしていました. あしひきの八峰(やつを)の椿つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君 大伴家持  とやかへる鷹尾山(たかのをやま)の玉椿霜をば経とも色はかはらじ 大江匡房  積藁の上に大樹の山椿丹念に落す花深紅なり 北原白秋  静かなる椿の花よ葉ごもりに咲きて久しき椿の花よ 若山牧水

昨日立ち寄った大船フラワーセンター. ビオラや菜の花が咲き乱れ,春を感じさせてくれました. 蜜蜂も蜜集め・花粉集めに大忙し. 春の花でありながら,私はなぜか春をあまり感じないツバキ. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/02/20/000…

春雨・春の雨を詠んだ短歌1  今日の夕方の江ノ島はかすんでいました.しとしと降る春の雨のためです.春雨と春の雨を分ける考え方もあるようですが,古来,春ふる雨を春雨と呼んだと思われます. 衣手の名木(なぎ)の川辺を春雨にわれ立ち濡ると家思ふらむか 柿本人麻呂歌集  わがせこが衣はるさめ降るごとに野辺の緑ぞ色まさりける 紀貫之  水の上にあや織り乱る春の雨や山の緑をねべて染むらむ 伊勢  花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る 式子内親王

今日の片瀬東浜はしとしと雨.東浜から見ると右手が江ノ島. 夕方の江ノ島はかすんでいました. (鎌倉から江ノ島近くの片瀬海岸に引っ越しました) 左手がやはり雨にけぶる腰越漁港. “今の時期の雨は,「春の雨」と呼び,3月下旬から4月頃のいつまでも続…

梅の花を詠んだ短歌5 鎌倉光則寺まで梅を求めて.境内の梅は三分咲きと入つたところ.幹や枝には風格を感じさせる老木も. 梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ 市原王  春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくくる 凡河内躬恒  ひとはいさこころもしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほいける 紀貫之  梅が香を谷ふところに吹きためて入り来む人に染めよ春風 西行  今すぎし小靴のおとも何となく身にしむ夜なり梅が香ぞする 与謝野鉄幹

今日の梅探索は,鎌倉長谷の光則寺まで.鎌倉駅西口から,大谷戸-鎌倉大仏を通る行程は,それほど苦にならない距離です. その光則寺までの道中,梅には出会わず. ストック,エリカ,サザンカ--- 光則寺の門の手前にかなり立派な臘梅.満開でした. 境内に…

梅の花を詠んだ短歌3  昨日の午後,雨がやんだ直後に,鎌倉浄明寺まで散歩.人は少なく,静かに散策でき,雨あがりで,花たちが元気に見えました. 今日降りし雪に競ひてわが宿の冬木の梅は花咲きにけり 大伴家持  降る雪に色まどはせる梅の花鶯のみやわきてしのばむ 菅原道真  わが宿の八重の紅梅咲きにけり知るも知らぬもなべて訪はなむ 源実朝  しら梅の衣(きぬ)にかをると見しまでよ君とは云はじ春の夜の夢 茅野雅子  つくづくと憂にこもる人あらむこのきさらぎの白梅の花  斎藤茂吉

昨日も今日も,鎌倉は,雨模様の日が続きました.寒くは厳しくはなかったものの. 昨日の午後,雨がやんだ直後に,鎌倉浄明寺まで散歩.とはいっても行きはバスを使いましたが. 雨のせいもあり,人は少なく,静かにお参り・散策できました. かなり以前のお…

梅の花を詠んだ短歌1 鎌倉宝戒寺まで散策.梅の開花の様子を探索しつつ.早咲きの梅は三分〜五分咲き.源平池脇の白梅は八分咲き  春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮らさむ 山上憶良  我が宿の梅の花散るひさかたの天(あま)より雪の流れ来るかも 大伴旅人  酒杯(さかづき)に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし 大伴坂上郎女  君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞしる 紀友則

鎌倉妙本寺では,もう紅梅が5分咲きで,白花も咲き始めていました. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2024/01/14/235421 今日の散歩は,英勝寺-鶴岡八幡宮-宝戒寺.梅の開花の様子を探索しつつ. 今咲いている梅は,早咲きの品種と思われます…

蝋梅・臘梅を詠んだ短歌  冬の鎌倉妙本寺では,梅が咲き始め,ロウバイはほぼ満開になつていました.  しらじらを障子を透す冬の日や室(へや)に人なく臘梅の花 窪田空穂  臘梅の莟も花も啄(ついば)みし鵯(ひよ)は来らず日和つづくに 福田栄一  うつし手に折るとも素心蝋梅は神のいろをぞ咲くやこの花 高橋幸子  臘梅の花ほつほつと新年の窓に顕(た)たせてひそかなるかな 高嶋健一  たがはずに咲ける素心蝋梅の雪従へてうら稚(わか)き花 西村尚

昨日の散歩は.冬の鎌倉妙本寺へ. 寒さが続いていますが,暖冬なのでしょう. 早くも紅梅は5分咲きといったところ. 白花もチラホラ咲き始めていました. そして,満開だったのがロウバイ.栽培品種のソシンロウバイ素心蝋梅ですね. ロウバイは,このブロ…

鷺を詠んだ短歌1 正月の源平池には観光客の鯉用の餌を目当てにカモメがやって来ますが,大晦日,由比ヶ浜で出会いました.サギの仲間は田んぼや河で餌探しをするものだとばかり思っていましたが,海岸でも餌探しをするとのこと.  池神の力士舞かも白鷺の桙啄(く)ひ持ちて飛び渡るらむ 長忌寸意吉麻呂  夕立の雲間の日かげ晴れそめて山のこなたを渡る白鷺 藤原定家  秋ちかき月夜の空に声ほそく五位鷺啼けばそよぐ木々の葉 四賀光子  雲ひとひら月の光をさへぎるはしら鷺よりもさや 太田水穂

能登半島大地震で幕を開けた2024年の三が日が終わろうとしています.倒壊家屋の下には,まだ多数の被災者が--- 夕方鶴岡八幡宮へ. 源平池の鴨は,いつもより少ない---夕方だったせいかもしれません.例年,昼間に来ていたときには,鴨に加えカモメも沢山来…

寒しを詠んだ短歌1  今日の夕方の鎌倉由比ヶ浜は,海も空も寒々とした雰囲気で,人の姿はまばら.それでも,高校生は元気はつらつ.寒い浜辺で跳びはねての記念撮影.  ふもと行く舟人いかに寒からんくま山岳をおろす嵐に 西行  夜を寒み浦の松風吹きむせび虫明(むしあけ)の波に千鳥鳴くなり 源実朝  きしきしと寒さに踏めば板軋(きし)む/かへりの廊下の/不意のくちづけ 石川啄木  

フラワーショップには,ポインセチアが並ぶ年の瀬.今年もあと2週間をきりました. 暖冬の長期予報ですが,このところ寒い日が続きます. 今日の夕方の由比ヶ浜は,風がないため極寒というわけではありませんでしたが,海も空も寒々とした雰囲気で,人の姿は…

しはす・師走を詠んだ短歌  今日は「真冬なみの寒さ」との報. ”一年で最も寒い時期の気温を下回ると『真冬並み』という表現を使っています” とのこと. 「真冬なみ」の日があって当然.年の瀬,師走12月に入って,早くも5日たったのですから. 十二月(しはす)には沫雪(あわゆき)降ると知らねかも梅の花咲く含(ふふ)めらずして 紀小鹿郎女/万葉集  牕(まど)の外は 師走八日の朝の霜.この夜のねぶり 難かりしかも 釈迢空  綿菓子のはかなき嵩(かさ)をあきなふや師走の空の無限に碧し 馬場あき子

今日の鎌倉は太陽はほとんど出ることのない1日でした.ウェザーニュースでは「真冬なみの寒さ」との報が. 明日以降はまた暖冬に戻るようですが--- https://tenki.jp/forecaster/gureweather/2023/12/05/26420.html ところで,この「真冬なみ」とは,どのよ…

万葉集には「夕焼け」は詠まれていない!?  今日は強風下浜へ降りることなく夕焼けを撮影.この2週間の夕焼けの画像を集めてみました.同じ構図でも画像は異なります. 海神(わたつみ)の豊旗雲(とよはたくも)に入日さし今夜の月夜(つくよ)さやけくありこそ 中大兄  あかねさす日の暮れゆけばすべをなみ千たび嘆きて恋ひつつぞ居る 作者不詳  夕焼小焼大風車のうへをゆく雁が一列鴉(からす)が三羽 北原白秋  夕映えの雲あかくしてそことなく浜なでしこの安房の国見ゆ 与謝野晶子

風の強い1日でした. 夕方由比ヶ浜まで出かけたのですが,浜には人っ子一人いません.浜に降りようとすると目に砂が飛び込んでくる! 夕焼けは,海岸の国道から撮影. 11月13日のブログ記事でも触れましたが,11月になってから晴れた日の夕方散歩は由比ヶ浜…

明月院へ行って来ました.カエデの紅葉は,まだこれからかと思いますが,木によってはかなり色づいていました.本堂後庭園から見た,カエデに囲まれた悟りの窓はなかなか.秋咲きのリンドウも庭にマッチしていました. このたびは幣(ぬさ)もとりあへず手向山もみぢの錦神のまにまに 菅原道真  もみぢ散る野原を分けて行く人は花ならぬまた錦着るべし 西行  木がらしにふきなびかへりかへるでの紅葉の諸葉葉先ちぢれて 三ヶ島葭子

日中,とても暖かな風が吹いた今日,明月院へ行った来ました. まだ,11月で,カエデの紅葉にはやや早い時期でしたが,晩秋の風情は十分楽しめました. 北鎌倉駅を降りてすぐの円覚寺.山門手前のカエデは,とても美しく紅葉していました. カエデの紅葉は,…

落葉を詠んだ短歌1 寒さが際立つ中,鎌倉寿福寺まで.常緑樹がほとんどの境内に中,イチョウは黄色い葉を落としていました. 山おろしの月に木の葉を吹きかけて光にまがふ影を見るかな 西行  流れゆく木の葉のよどむ江にしあれば暮れてののちも秋の久しき 源実朝  落葉して月の色のみしろがねのうてなさびたるよるの木枯(こがらし) 小沢蘆庵  石にまどひ木の根にまどひ落葉らはおのがまにまにたむろせるのみ 伊藤左千夫  真冬日のひたと射し照る落葉山越えいそぎつつ心は散らず 若山牧水

寒い1日でした. 大阪では,木枯らし一号が吹いたそうで,明日は更に冷え込むようです.つい最近夏日だったので,寒さが際立ちますが,ようやく晩秋らしくなったということですね. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231111/k10014254891000.html https:…

秋草を詠んだ短歌  辞典では,秋草は「秋に花の咲く草」.雑草たちも花は咲かせますから,秋草と言ってもいいのですが---  秋草に置く白露の飽かずのみ相見るものを月をし待たなむ 大伴家持  吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ 文屋康英  今朝のあさの露ひやびやと秋草やすべて幽(かそ)けき寂滅(ほろび)の光 伊藤左千夫  一桶の水うちやめばほろほろと露の玉ちる秋草の花 正岡子規  秋草にうもれて返り咲くつつじ浅間はあはき噴煙(けむり)をまとふ 大西民子

「秋草」ときいて--- 私が思い浮かべるのは雑草たち. 草取りをさぼったわが家の庭には,秋の雑草が生い茂っています. 今年元気なのはイノコヅチ.今まで少なかったのに---.カラムシは近くで見かけたもの. 通りがかった建築用地.エノコログサが全面を覆…

海蔵寺まで秋みつけに行って来ました.夏から咲いている花の加え,タマスダレ,シュウメイギク,さらにはシオンといった秋の花もしっかり咲き始めていました.コムラサキも色づいて秋の風情.そして,海蔵寺といえば萩.山門脇の萩は,咲き始めたばかりでしたが,境内の株は,かなり開花が進んで,三分咲きといってよいかと思います. 萩原を朝たちくれば枝はさもをればをれよと花咲きにけり 和泉式部  萩の花暮々までもありつるが月出でて見るになきがはかなき 源実朝  

午後,鎌倉海蔵寺まで散歩. 夏の名残を残した花たちに加え,秋の花も咲き始めていました. ハナトラノオは夏から咲いている花ですが,タマスダレは秋の花. タカサゴフヨウは夏の花.トキワマンサクは春の花ですが,秋にも咲くようです. シュウメイギクは…

秋の夕(ゆうべ)・秋の夕暮(ゆうぐれ)を詠った短歌  東京は真夏日.西日本は猛暑.「秋の夕暮」に思いをはせることがなかなかできません. さびしさに宿を立ち出でて眺むれば何処も同じ秋の夕暮 良暹  寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮 寂蓮  心なき身にもあはれは知られけり鴨立つ沢の秋の夕暮 西行  見わたせば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮 藤原定家  おどけたる一寸法師舞ひいでよ秋の夕(ゆふべ)のてのひらの上 与謝野晶子

今日は,「秋の夕(ゆうべ)」「秋の夕暮(ゆうぐれ)」の短歌を取り上げようと昨日から決めていたのですが---- 厳しい残暑がつづきます. 東京は真夏日.西日本は猛暑.9月の最高気温を示したところもあるようです. https://tenki.jp/forecaster/deskpart…

立秋/秋立つを詠んだ短歌  明日は立秋.「とても秋とは言えない」と,評判の悪い日です.しかし,夏至と秋分の中間点.太陽の運行は,着実に秋を目指しています. 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 藤原敏行  秋立つと人はつげねど知られけりみ山の裾の風のけしきに 西行  かの青き空のかがみにあらはれてさやかに秋の来たるを見ずや 太田水穂  秋立つは水にかも似る/洗はれて/思ひことごと新しくなる 石川啄木  針箱はなつかしきもの秋くれば針の光りの身をそそるかも 今井邦子

今日は大暑の最後の日. 晴れていながら時々雨がザーッと降るといった1日でした.奄美大島付近に停滞している大きな台風の影響が,鎌倉にまで及んでいるようです. 昨日今日は,「大暑の末候:大雨時行 たいうときどきにふる」に合致しているとも言える日で…