写すだけ万葉集

ユリを詠んだ短歌2  さ百合花後(ゆり)も会はむと思へこそ今のまさかもうるはしみすれ 大伴家持  鬼ゆりはまことに夏花濃みどりの切れのよき葉も力にみちたり 宇都宮研  白百合の花びら蒼み昏れゆけば拾ひ残せし骨あるごとし 五島美代子  散歩道(プロムナド)の果に百合咲く喫茶店(カフェ)ありて二人して聴く牧神の午後 植木昭夫  ちご百合の花も愛でしや西行の捨て身のこころ分かりはじめつ 川口美根子  もうゆりの花びんをもとにもどしてるあんな表情を見せたくせに 加藤治郎

日本人を含め,世界で愛されているユリ.日本はユリの王国といわれ,15種もの自生種があるそうですが, https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534 限られた種類以外,実際に野に咲く姿を見ることは,珍しいかなと思います. 都市部で…

ユリを詠んだ短歌(再掲)1  あぶら火の光に見ゆる我が鬘(かづら)さ百合の花の笑(え)まはしきかも 大伴家持  雲雀たつあら野におふる姫ゆりのなににつくともなき心かな 西行  髪あげて人のすずしき瞳かな鉄砲百合の花ひらきたり 太田水穂  ゆあみする泉の底の小百合花二十の夏をうつくしと見ぬ 与謝野晶子  髪ながき少女(おとめ)とうまれしろ百合に額(ぬか)は伏せつつ君をこそ思へ 山川登美子 さびしさよ甕(かめ)に盛られし百合の向ふに人垣の向ふに君がゐるなり 河野裕子

関東地方の梅雨明け2日目とは言え,空梅雨の今年は,梅雨と言われた時期より少し涼しいかも(比較の問題で涼しいわけではない)という天気. ご近所の散歩で,ご家庭,寺院に咲いている花を見てきました. 何カ所かで見かけたサルスベリ.既に満開に近いよ…

合歓を詠んだ短歌(再掲)/合歓の花の開花も体内時計で制御されている? 葉が夜になると閉じるのが「ねむのき」の由来.一方,花の方は昼・夜問わず咲いている」と思っていましたが,かぎけん花図鑑では「夜咲く花」に分類されていました.ChatGPTに聞くと,「花は夜間に最も開いた状態になるものの,葉ほどは,明確なオンオフではありません」「葉と同様,花の開花時間も体内時計により調整されていると考えられる」とのこと.

関東の今の時期,合歓の花が満開(〜そろそろ盛りを過ぎつつある?). 葉が夜になると閉じて眠るように見えることが和名「ねむのき」の由来ですが,中国では合歓(①一緒に喜ぶこと②男女が共寝すること )木と言われています. 一方,「花の方は,昼・夜問わ…

5月鎌倉大巧寺(おんめ様)の花  八幡通側の門の手前にはツツジがそしてフェンスに這わせてあるテイカカズラの花は満開.余り見かけない花としてはコバノズイナ,コボウズオトギリとイワフジ.ホタルブクロには季節を感じます.ヤマアジサイはしっかり開花していました.同じアジサイ属のイワガラミ,リウツギ.そしてお隣の本覚寺では,センダン(オウチ)が満開.まかがよふ光りのなかに紫陽花の玉のむらさきひややかに澄む 太田水穂  羽根そよがせ雀楝の枝に居り涼しくやあらむその花かげは 北原白秋

今日は朝の内雨の予報でしたが,降ることはなく,昼間は晴れ. 鎌倉での用事のついでに,大巧寺(おんめさま)へ行ってきました.鎌倉に住んでいた頃には,一週間に一二回は訪れていたお寺.通り道として利用できる境内の小径では,手入れの行き届いた植物た…

雨が上がったのを見はからって,ご近所のお寺を散策し,五月の緑を満喫してきました.梅の実はだいぶ大きくなっていて,桜には小さなサクランボが.イチョウ,サルスベリといった落葉樹に加え,忘れてはいけないのが常緑樹の新緑.タブ,モッコクは余り目立ちませんが,シイ,そして特にクスノキの新緑はすき透るようで美しい.今日は花には余り出会えませんでしたが,常立寺のセンダン(楝)がかわいらしい薄紫の花をつけていました. 羽根そよがせ雀楝の枝に居り涼しくやあらむその花かげは 北原白秋

昨日,九州南部が早くも梅雨入りとの報道がありました.早い! 他の多くの地域は,平年並みとの予報. https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2025/05/16/33710.html 片瀬江ノ島の梅雨はまだ先のようですが,今日は3時頃まで雨. 雨が上がったのを見はから…

5月鎌倉海蔵寺2  昨日のバイカウツギとともに,5月の海蔵寺では,楓の新芽,そして,心字池の燕子花が見所になります.華やかな花菖蒲にやや押されて,観賞できる場所が減っている気がするカキツバタ.海蔵寺心字池の水面に姿を映し込んだ燕子花は,遠目になりますが,他ではなかなか見られない構図かと思うのですが---私の欲目でしょうか.  かきつばた扇つかへる手のしろき人に夕の歌書かせまし 与謝野晶子  杜若むらさきふかく咲く辺(へ)まで昨日はありしさきはひなるかを 前川佐美雄

昨日,参拝した鎌倉海蔵寺は,昨年まで近くに住んでいたこともあって,私にとってもっともなじみ深いお寺の一つです. 境内の植物もとてもよく手入れされていて,山門前の楓は,鎌倉で最も美しい木の一つかと思います. 新芽の美しさ!そして春に赤い葉をも…

松の花を詠んだ短歌  松の花花数にしもわが背子が思へらなくにもとな咲きつつ 平群氏郎女  よべの雨に小径の石の現れてすがしくもあるか散る松の花 島木赤彦  夕日かげまばゆき松の下枝の花粉こぼれてちるがけぶれり 岡麓  庭に見るつつじ山吹あかるくてさびしくもあるかこの松の花 若山牧水  松の花風に散りゆきを咲きをはる花のすがたのしづかになびく 長澤美津  微かに松の花粉こぼるる夕まぐれまた逢はむ日の思ほゆるなり 大西民子

沢山の花を楽しむことができる春. 松も立派な花を咲かせ,空にむかって雌花が伸びる姿からは元気をもらえます. カラフルな花壇の花々や桜・桃の花とはかなり異なりますが. 松は雌雄異花(単性花である雌花と雄花が同じ植物に咲く). この写真では雄花が…

晩春に咲く花/大船フラワーセンター2  大船フラワーセンターには,樹木の種類も豊富ですから,花だけではなく,今の季節の若葉も楽しみの一つになります.楓,欅,楠木---.花木の種類ももちろん豊富.八重桜,カロライナジャスミン,ライラック,ハナズオウ,そして芍薬園で芍薬に先駆けて満開になった牡丹. 恋か血か牡丹に尽きし春のおもひとのゐの宵のひとり歌なき 与謝野晶子  春昼(しゅんちゅう)の雨ふりこぼす薄らぐもややありて明る牡丹の花びら 北原白秋

大船フラワーセンターの晩春の花たちを取り上げています. このフラワーセンターは,かなり歴史も積み重ねてきていて,花壇の花だけではなく, 樹木の種類も豊富ですから,花だけではなく,今の季節の若葉も楽しみの一つになります. カエデ,ケヤキ,クスノ…

鎌倉扇ガ谷の奥の友人宅の庭の花々  友人宅を訪ね,春の花々を楽しみました.レンギョウ,ヤマブキ,モクレン.オオイヌノフグリ,ムラサキケマン.チューリップ,タンポポ.スミレ,そして,ムラサキハナナ(ショカツサイ)が竹林へ広がる野辺を紫に染めつくしていました! 鶯に蛙鳴きつぐ庭ありて我が春日は果なきごとし 北原白秋  うらうらと照れる光にけぶりあひて咲きしづもれる山ざくら花 若山牧水  春まひる真正面(まとも)の塔の照りしらむ廻縁(ゆか)高うしてしづかなる土 北原白秋

鎌倉扇ガ谷の奥の友人宅を訪ね,春の花々を楽しみました. レンギョウとヤマブキ. モクレン. オオイヌノフグリ,ムラサキケマン.チューリップ,タンポポ. スミレ そして,ムラサキハナナ(ショカツサイ,オオアラセイトウ).竹林へ続く一面の紫! 春の…

妙法寺の春の花々1/馬酔木,楓若葉・花を詠んだ短歌 昨日は花祭りで甘茶を頂き,春の花を楽しんできました.苔階段の楓若葉,本堂前の楓の花も.磯の上に生(を)ふる馬酔木を手(た)折らめど見すべき君が在りと言はなくに 大伯皇女  眠足り覚めし朝けに楓(かへるで)の風の中なる若葉のみどり 宮柊二  かへるでのこまかき花の散りてゐる庭にそそぎぬ逝春(ゆくはる)のあめ 斎藤茂吉  若葉かげめぐり来ぬれば楓(かへるで)の花こぼれつつこの土紅(あか)し 吉野秀雄

昨日4月8日はお釈迦様の誕生日と言うことで,訪れた妙法寺では「花祭り」で,甘茶を頂きました. 花祭り https://www.nichiren.or.jp/glossary/id487/ 4月8日のお釈迦様の誕生を祝う仏事です.その他に〈降誕会(こうたんえ)〉〈灌仏会(かんぶつえ)〉とも…

春の水・春の池水を詠んだ短歌  君がため山田の沢に恵具摘むと雪消(ゆきげ)の水に裳の裾濡れぬ 作者未詳  たま河の水もぬるむやいつしかと風寒からぬ春の光に 加藤枝直  春の水船に十(と)たりのさくらびと鼓うつなり月のぼる時 与謝野晶子  春の水掌(て)よりこぼれてかなしきにまつ毛けぶれば子さへゆらぐを 山田あき  あふれ出て路上にみなぎりさらにあふれとめどなしとめどなし春昼(しゅんちゅう)の泉 加藤克巳  春の水みなぎり落つる多摩川に鮒は春ごを生まむとするか 馬場あき子

今日はやや寒く,そして雨の一日でした.所用で鎌倉へ行ったついでに,宝戒寺を鎌倉八幡宮に参拝. 法界寺へ行く途中のお宅の窓際にきれいに並ぶビオラ. 法界寺の山門に並ぶ梅は,ほぼ散っていて,本堂前の枝垂れ桜は僅かに花を残すのみ. 境内には,鎌倉で…

春山を詠んだ短歌  水鳥の鴨の羽色(はいろ)の春山のおほつかなくもおもほゆるかも 笠女郎  おもふどち春の山辺にうちむれてそこともしらぬ旅寝してしが 素性  春山の雨あたたかきあとみえてかけぢに咲ける一もとの花 小沢蘆庵  春山の見がほし山を遠く見ぬ襞荒きかも秩父群山 窪田空穂  人にそひて今日京の子の歌をきく祇園清水春の山まろき 与謝野晶子  春山の霞壮夫がふみし野はみなから草の花咲きにけり 釈迢空

今日は一日雨.ただ,気温は高く助かりました.明日は寒いという予報. かなりしっかり降ってくれたので,植物は元気に見えました.ご近所の通り沿いの植物だけしか見ることができませんでしたが. カナメモチ アジサイ ヤマモモ,トベラ. ビワ. ローズマ…

春の野を詠んだ短歌  春の野にすみれ摘みにと来しわれぞ野をなつかしみ一夜寝にける 山部赤人  春の野にあさる雉(きざし)の妻恋(つまごひ)に己があたりを人(ひと)にしれつつ 大伴家持  春の野に萌えづる草を白銀(しろがね)の雨を降らして湿(うる)ほすは誰ぞ 長塚節  春の野のなづな清白(すずしろ)花に咲けど仏の座こそあはれなりけり 尾山篤二郎  春の小野(をぬ)黒くふくれし土ふみてわが郷愁のわくといはめやも 結城哀草果  そそくさとユダ氏は去りき春の野に勝ちし者こそ寂しきものを 寺山修司

今日は,曇〜午後からは雨模様の一日. ただ大気は暖かく,春. 鎌倉扇ヶ谷の友人宅にお邪魔しました.谷戸の更に奥で日あたりはそれほど良くないせいか.まだ日本水仙が花盛り. 庭の所々に植えられたクリスマスローズが見頃. 庭の斜面には椿が沢山植えら…

春を詠んだ短歌  冬ごもり春の大野を焼く人は焼き足らぬかもわがこころ焼く 作者未詳  春ここに生るる朝の日をうけて山河草木みな光あり 佐佐木信綱  高槻のこずゑにありて頬白(ほほじろ)のさへずる春となりにけるかも 島木赤彦  夢さめてさめたる夢は恋はねども春荒寥とわがいのちあり 筏井嘉一  春はまことにはればれとして四つ辻のお巡査(まわり)さんはも笛をひびかす 斉藤史  吹き満ちし花の木下ほれぼれとたたずむ我や春のまれびと 岡野弘彦

風早や冷たかったですが,春の陽射しが戻ってきた一日でした. ご近所のお寺の梅はほぼ散ってしまい,一株遅咲きの品種のシダレヤナギが花を残していました. 龍口寺の早咲きの桜(河津桜?)は,満開を通り越して散り始めています. 松の芽も伸びてきていま…

春風を詠んだ短歌1  藤沢龍口寺では早咲きの桜が満開になりました. 春風の音にし出なばありありて今ならずとも君がまにまに 大伴家持  花のいろは霞にこめて見せずとも香をだにぬすめ春の山風 良岑宗貞(遍昭)  春風に立ちいでて見れば上野(かみつけ)や黒髪山に雪残る見ゆ 正岡子規  願わくばわれ春風に身をなして憂ひある人の門(かど)をとはばや 佐佐木信綱  春の風ほがらに吹けばひさかたの天の高低(たかひく)に凧が浮かべり 斎藤茂吉  

今日は、風も暖かく,春を感じさせる一日でした. 近くの龍口寺 梅はほぼ散ってしまいましたが,所々にある椿は,まだしっかり花を咲かせていました. そして,書院前には,早咲きの桜が満開! 桜の品種は分かりません. 関東地方でよく知られているのは河津…

梅・紅梅・白梅を詠んだ短歌1  我妹子(わぎもこ)が植ゑし梅の木見るごとに心咽(む)せつつ涙し流る 大伴旅人  酒杯(さかづき)に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし 大伴坂上郎女  雪の上に照れる月夜に梅の花折りて送らむはしき子もがも 大友家持  ひとはいさこころもしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほいける 紀貫之  この寝ぬる朝明(あさけ)の風にかをるなり軒端(のきば)の梅の春の初花 源実朝  梅が香を谷ふところに吹きためて入り来む人に染めよ春風 西行

梅の花の季節.鎌倉藤沢では,多くはそろそろ最盛期を過ぎつつあるかとおもいます.まだ咲いていない梅もありますが--- 昨年一月には,鎌倉の早咲きの梅を見て回り,梅の花を詠んだ歌をあつめて掲載しました. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry…

あらたまの年,年立つ,新年(にいどし)を詠んだ短歌1  今年の初詣は藤沢遊行寺へ行つて来ました. かくのみや息づきをらむあらたまの来経行(きへゆ)く年の限りしらずて 山上憶良  新しき年の初めはいや年に雪踏み平(なら)し常かくにもが 大伴家持  あら玉の年の三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕すれ 在原業平  年明くるあしたの日ざし届きけり雪に埋もるる谷々の家 島木赤彦  今しいま年の来(きた)るとひむがしの八百(やほ)うづ潮に茜かがよふ 斎藤茂吉

元旦の今日は,藤沢遊行寺—正式名称は藤沢山(とうたくさん)無量光院清浄光明寺—に初詣に行って来ました. 遊行寺は,時宗の総本山. http://www.jishu.or.jp/yugyouji-engi/fujisawa/ 藤沢の地では,宗派を超えて大きな役割を持っていて,江戸時代の藤沢宿は…

寒しを詠んだ短歌1/明月院へ冬探し  楓の多くは多くは冬姿.本堂後庭園の全景は冬を強く感じさせてくれます.  あしひきの山のあらしは吹かねども君なき宵はかねて寒しも 作者未詳/万葉集  み吉野の山の白雪積もるらし故里寒くなりまさるらし 坂上是則  ただしにも星合ひの空を眺めじな天の河風さむく吹くなり 和泉式部  ふもと行く舟人いかに寒からんくま山岳をおろす嵐に 西行  夜を寒み浦の松風吹きむせび虫明の波に千鳥鳴くなり 源実朝

今年もあと一週間を切った今日は,北鎌倉明月院へ冬探しに出かけました. 北鎌倉駅の前の円覚寺のカエデ.種類によってはまだきれいな紅葉を見せてはいましたが,多くは冬姿の枯れ木立. 明月院前も同様. 本堂へ向かう石段の両脇は紫陽花.剪定されて,来年…

ミカン蜜柑/橘を詠んだ短歌2  「橘」の渡来以来,長い歴史のある日本のミカン類.ビタミンCの供給源として,柑橘類は最高です.もつと消費を. 橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の木 聖武天皇  一輌の人みなねむりわが剥きし青き蜜柑の高き香は満つ 葛原妙子  街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る 木下利玄  葉をつけし蜜柑送られ来りたり熟れし実とその葉のみどり 長澤美津  雪の夜を別れ来ぬれば紀の国の黄金(きん)のみかんを恋ひわたるべし 松坂弘

ミカンは,みかん類/柑橘類の総称でもありますが,日本人の多くがミカンと聞いて思い浮かべるのは,温州ミカンでしょう. https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=78 https://www.sc-engei.co.jp/cultivation/detail/4651/ ただ,かつては,果物の中…

蓼,穂蓼,犬蓼を詠んだ短歌1  かわいらしい花で,アカマンマの別名でよく知られているイヌタデ.近縁のタデは蓼酢で有名. わが宿の穂蓼(ほたで)古幹(ふるから)摘み生(おほ)し実になるまでに君をし待たむ 作者未詳 万葉集  紅の色なりながら蓼の穂のからしや人のめにもたてねば 西行  秋もはやくれなゐ深き水たでにうつる月日の程も見えつつ 小沢蘆庵  犬蓼の花さく見ればしのばるゝ君の韓野(からの)に駒なめし秋 与謝野鉄幹  わが歩む小野のうへにて蓼の花咲くべくなりぬ夏をはりけり 斎藤茂吉

鎌倉の道ばたで,イヌタデに出会いました. 一週間ほど前でしたが,昨日同じ所を通ったときには見当たらず.おそらく引き抜かれたのでしょう. かわいらしい蕾・花で,アカマンマ(あかのまんま)の別名でよく知られていますね. 種が沢山できて,ほおって置…

栗・栗の実を詠んだ短歌1  縄文期には最も大切な食料の一つであつた栗.現代でも最も秋らしい食べ物の一つとして認められています. うづもるる木の葉の下のみなしぐりかくてくちなん実をばおしまず 土御門院  栗もゑみ柿も色づきうなゐらがほこらしげなる時も来にけり 小沢蘆庵   はらはらと落つる木の葉にまじりきて栗の実ひとり土に声あり 大田垣蓮月  谿の橋をりをり馬行き見ゆれども栗落すほかの物音もなし 島木赤彦  栗の実の笑みそむるころ谿越えてかすかなる灯に向ふひとあり 斎藤茂吉

秋らしい食べ物は?と聞かれて何と答えますか? 栗はその第一候補のひとつではないでしょうか. https://iraw.rcc.jp/topics/articles/23272 https://report.iko-yo.net/articles/15510 ネット上に「秋の果物に関するアンケート」が掲載されていて,このアン…

秋の雨を詠んだ短歌  日本列島を秋雨前線が蔽っていた1日でした. 秋雨の日に日に降るにあしびきの山田のをぢは晩稲(おくて)刈るらむ 良寛  人の歌をくちずさみつつ夕(ゆうべ)よる柱つめたき秋の雨かな 与謝野晶子  秋雨に日の照る沼の広くして向つ茱萸(ぐみ)原風に白みぬ 釈迢空  秋雨や濡れゆく石に耳たててたちどまりゐしが去(い)にたり猫は 木俣修  雑炊を掬いつつ秋のひとり歌なごりの雨の音低くあり 坪野哲久  うつせみの世に生くるわれ憤りも嘆きも云はず秋の雨きく 佐々木治綱

今日は午前中から雨がポツポツ. 夜の10時過ぎにはザーッと一雨. https://weathernews.jp/onebox/tenki/kanagawa/14205/ 雨雲レーダーをみると,日本列島を雲が覆っていました. https://tenki.jp/past/2024/10/02/weather/3/16/ 天気図では: しっかり秋雨…

秋の雲を詠んだ短歌  真夏日の今日,夕方見た雲は,すじ雲に少しだけ近づいているようにも思います. 白雲に羽うちかはし飛ぶ雁の数さへ見ゆる秋の夜の月 よみ人しらず  ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲 佐佐木信綱  水に沈む秋ひとひらの黄色雲音なき寺の庭の真昼日 太田水穂  鱗雲鉄塔の上にひろがれり滑車一つが音立つるのみ 近藤芳美  すぐ軋む木のわがベッドあおむけに記憶を生かす鰯雲あり 寺山修司  目瞑ればまなうら寒くこがしつつ鯖雲ながるるふるさとなりき 河野裕子 

よく晴れた,暑い1日.真夏日だったとのこと. 昼すぎの西の空.秋の浮雲と呼ぶのかもしれませんが,真夏の雲といえなくもないような気がします. 全国的に真夏日が続出の1日だったようです. 10月の真夏日は東京は三年ぶりで,仙台では統計開始後はじめて…

海を詠んだ短歌2  伊勢の海の礒もとどろに寄する波畏(かしこ)き人に恋ひわたるかも 笠女郎  かからむとかねて知りせば越(こし)の海の荒礒(ありそ)の波も見せましものを 大伴家持  綿津海(わたつみ)の青海原は久方の月のみ渡る所なりけり 良寛  海恋し潮の遠鳴りかぞへては少女(おとめ)となりし父母(ちちはは)の家  与謝野晶子  わたつみの海にいでたる富津の崎 日ねもす まほにかすむしづけさ 釈迢空 

今日はほぼ曇りの1日. 夕方散歩は小動神社まで. 「小動」は「こゆるぎ」と読みます.良い名前ですよね.岬の名前が小動岬. この画像は,鎌倉高校側から小動岬を撮ったもの.少女が一人全速力で犬とランニングしていました. 小動神社は広くはありません…

海・わた・わたつみを詠んだ短歌1 誰もが知る歌・夏の海 等  わたつみの豊旗雲に入日さし今宵の月夜(つくよ)さやけかりこそ 中大兄皇子  わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人にはつげよ蜑の釣り船 小野篁  大海の磯もとどろに寄する波われて砕けて裂けて散るかも 源実朝  白鳥は哀しからずや海の青空のあをにも染まずただよふ 若山牧水  夏の海去年(こぞ)たはむれし君はなしひとり鴎とともにあそばむ 吉井勇  少年のわが夏逝けりあこがれしゆえに怖れし海を見ぬまに 寺山修司

四季それぞれの賑わいを見せる江の島片瀬ですが,とりわけ夏は海水浴で賑わいます.ひと昔前の人出はありませんが. https://activityjapan.com/feature/enoshima-beach-opening/ (昼間は暑くで外出しないので,ウェブの写真を貼っておきます.片瀬西浜です…

夏の夜を詠った短歌/「夏の夜の博覧会はかなしからずや」中原中也(100分で名著)  夏の夜の臥すかとすれば時鳥鳴く一声に明くしののめ 紀貫之  しづかなる夏夜に思へばふりつもる塵沙の影のそこはかとなし 北沢郁子  爆ぜ死にし花火師の手の頑丈も暗きあこがれありて夏の夜 馬場あき子  その時よ,坊や見てありぬ その時よ,めぐる釦(ぼたん)を その時よ,坊やみてありぬ その時よ,紺青(こんじょう)の空! 中原中也

夜になっても蒸し暑く,クーラーのお世話になる日が続いています. それでも昼に比べれば,夜の方が過ごしやすく,外に出るのはできるだけ夕方からという日々. 清少納言は「夏は夜」としていますが--- 夏は,夜. 月のころは,さらなり. 闇(やみ)もなほ…

合歓木の実/合歓を詠んだ短歌(再掲) 片瀬漁港防波堤までの散歩の道中に出会った合歓木.花は散り青黒い実が沢山垂れ下がっていました. あやしくも神ことよせて思ひしみ恋ふるこころを知るやねむの木 伊藤左千夫  合歓の葉の 深きねむりは見えねども,うつそみ愛(ヲ)しきその香たち来も 釈迢空  合歓の実の黝(くろ)く垂りたる照らしつつのぼり来たる月をこの夜半も見ぬ 木俣修  合歓の花木末(こぬれ)に高くそよぎつつ秘かなるわが思慕をいざなふ 大西民子

雲の多い1日でしたが,暑さは変わらず. 夕方の散歩コースは,境川の河口の道から片瀬漁港の江の島寄り防波堤の先端まで. 境川の川面の燦めき. 片瀬漁港入口からは江の島が美しく見渡せます. 防波堤から振り返って片瀬漁港を見渡すと: 防波堤先端でしば…

ハマユウを詠んだ短歌2 もろかりし妻のいのちをおもひをれば浜木綿の花に虹のいきほふ 川田順  夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ 植松壽樹  浜木綿の茎たくましくりゅうりゅうとなにはばからず岩のあひより 橋本德寿  みだれざる人の眠りにみだれをり硝子の劃(かぎ)る黒き浜木綿 葛原妙子  はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにける 高野公彦

今日も藤沢は曇り.昨日より雲は厚く富士を望むどころではありませんでした. 散歩の途中,境川の川沿いの道で,ハマユウが咲いているのに出会いました. 鎌倉ではおんめ様(大巧寺)に植えられていましたが,道ばたで出会ったことはありませんでした. 正式…

ユリを詠んだ短歌2 さ百合花後(ゆり)も会はむと思へこそ今のまさかもうるはしみすれ 大伴家持  うつつなり眠り薬の利(き)きごころ百合の薫りにつつまれにけり 長塚節  裏山の青萱(あいがや)ぬけいで咲く百合の涼風のむた大きくゆらげり 木下利玄  散歩道(プロムナド)の果に百合咲く喫茶店(カフェ)ありて二人して聴く牧神の午後 植木昭夫  ちご百合の花も愛でしや西行の捨て身のこころ分りはじめつ 川口美根子  

今日は,雲の多い1日.それでも夕方には,富士を見ることができました. 午後,近くのお寺,常立寺に立ち寄り,参拝. 庭の片隅に,オニユリ,そしてヤマユリが咲いていました. 日本はユリの大国で,自生種が15種,その内8種は固有種と言われています.そ…

桃の実を詠んだ短歌1  山梨県産早生桃を買い求めました.ちよひめ?日川白鳳? 向かつ峰(を)に立てる桃の木成らむかと人ぞささやく汝がこころゆめ 作者未詳 万葉集  居並びてあるだに暑き夏の日に身にみを寄せてなれる桃の実 大隈言道  岡山の大いなる桃皮むけばしたたる雫よき香をたてる 窪田空穂  ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉  桃の実のはだのやうなるうぶ毛して少年の頬のうひうひしさよ 木下利玄

今日は,関東地方梅雨入り後,初めてといって良い雨の日.神奈川県は今夜半大雨の恐れとのことですが-- 夕方はまだ雨はポツポツ. ジメジメした気分を晴らすためもあり,近くの青果店で桃を購入. 山梨県産とありました.山梨は,桃生産量全国一. https://w…