梅の花を詠んだ短歌5 鎌倉光則寺まで梅を求めて.境内の梅は三分咲きと入つたところ.幹や枝には風格を感じさせる老木も. 梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ 市原王  春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくくる 凡河内躬恒  ひとはいさこころもしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほいける 紀貫之  梅が香を谷ふところに吹きためて入り来む人に染めよ春風 西行  今すぎし小靴のおとも何となく身にしむ夜なり梅が香ぞする 与謝野鉄幹

今日の梅探索は,鎌倉長谷の光則寺まで.鎌倉駅西口から,大谷戸-鎌倉大仏を通る行程は,それほど苦にならない距離です.

その光則寺までの道中,梅には出会わず.

ストック,エリカ,サザンカ---

 

光則寺の門の手前にかなり立派な臘梅.満開でした.

 

境内に,梅の木が何本かありましたが,全て三分咲きと入ったところ.

紅梅は一株.

白梅は,数本.

本堂に向かって右の株はとても立派な古木.幹や枝には風格を感じます.

 

墓地の土手には水仙が植えられていて,その上に枝を伸ばした白梅が一株.

 

境内には池があって,その上に枝を伸ばしているのは山茶花

三椏(みつまた)と水仙

 

丸くなって枝に止まっている鵯(ひよどり).寒さのせいでしようか?

 

もう一株,それほど大きくない株ですが,枝振りのよい白梅が,本堂向かって左側に.

 

梅を詠んだ短歌5

(古今短歌歳時記より)

 

梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ  市原王 万葉集巻二十 四五〇〇

 

春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくくる  凡河内躬恒 古今集

 

ひとはいさこころもしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほいける  紀貫之 古今集小倉百人一首

 

梅が香を谷ふところに吹きためて入り来む人に染めよ春風  西行 山家集

 

梅が香に昔を問へば春の月こたへぬ影ぞ袖にうつれる  藤原家隆 新古今集

 

夕づく日かすみこもりし影きえて寒き入江をわたる梅が香  契沖 漫吟集

 

今すぎし小靴のおとも何となく身にしむ夜なり梅が香ぞする  与謝野鉄幹 紫

 

きはまりて障(さや)らふものもなかりけり梅が香たかき園のうへの月  斎藤茂吉 寒雲

 

梅が香はこのもかのもに暖かき山懐(ふところ)やゆく人もなし  尾山篤二郎 雪客

 

芝のうへに淡き影さし白梅の花はしましの香ににほひつつ  半田良平 一塊