2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

柿ジャムをつくってみました(柿を詠んだ歌第二回) 柿を30個以上収穫.傷んでいるものも多く,思案の末,柿ジャムをつくることに. 大原千鶴さんのレシピを参考にして-- おいしかったのですが,柚子の絞り汁を入れすぎで柿の味はあまりせず.  柿一つ赤く大きを見出でたりならぬ年ぞとあきらめし木に 窪田空穂  柿の蔕(へた)黒くこごれる枝見ればみ冬はいたも晴つづくらし 北原白秋 

今年は,柿のなり年.大豊作ではないものの,30個以上は収穫. 傷んでいるものも多く,思案の末,柿ジャムをつくることに. NHK今日の料理・大原千鶴さんのレシピを参考にして-- 甘柿ジャム https://www.kyounoryouri.jp/recipe/22059_ 材料 (つくりやすい分…

リンドウを詠んだ歌  鎌倉海蔵寺の本堂裏の池の手前,そして,本堂前の苔の庭の合間に,小さな可愛い花リンドウが咲いていました.花の形が独特で,紫の色合いも他にはないリンドウは,多くの人の愛されてきた花です. 男なきに泣かむとすれば竜胆がわが足もとに光りて居たり 北原白秋  むらさきの花袋ひらかぬりんだうが光すがけき露を支ふる 生方たつゑ   りんだうは目を張りひらく木の下はいまだ濡れいるあかつきの雨 川口美根子

一昨日,秋の植物を楽しみながら,鎌倉源氏山を経てたどり着いた海蔵寺. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/10/28/235607 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/10/29/234557 カエデの紅葉はもう少し時間がかかりそうですが…

昨日と同じ散歩コース:源氏山〜海蔵寺の樹木の写真をお届けします.木の実を見つけられなかった樹ですが,木の実の画像はネット上からお借りします. エノキ,オニグルミ,サカキ,タブノキ,ネムノキ,クヌギ,カツラ,モミジ.  吾が門(かと)の榎の実もり喫(は)む百(もも)千鳥千鳥は来れど君ぞ来まさぬ  子持山若かへるでのもみつ まで寝もと我(わ)は思ふ汝(な)はあどか思ふ 東歌 万葉集  

昨日は,鎌倉源氏山の木の実/草の実の画像をお届けしました. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/ 今日は,同じ散歩コースの樹木の画像を集めてみました. 全て実をつける木ですが,その実を見つけられなかった木と言い換えても良いかと思います.そこ…

鎌倉源氏山公園へ秋の実さがし  植物の写真を撮りながら,源氏山〜海蔵寺へ.今日はその中から,「秋の実」の写真を集めてみます.出会った実は12〜13種.秋は植物にとっては子孫を残す季節! 何回も見たものもあり,中でもカラスウリには4〜5回出会いました. 道の辺に生ふる烏瓜又の名を玉づさといふと聞けばゆかしく 正岡子規  共に見てし花は果(み)となり烏瓜秋風の中に光りて赤し 若山喜志子  烏瓜日に照りてゐる竹むらのそよぎのなかに誘(おび)かれてゆく 岡野弘彦

今日は,午後,鎌倉源氏山公園へ散歩. 午前中は曇りがちでしたが,午後からは晴れ間が広がって,この何日かと同様,過ごしやすい1日でした. 寿福寺の墓地から登って,帰りは化粧坂をおり,海蔵寺に立ち寄ってきました. https://www.google.co.jp/maps/ …

竹のお寺報国寺で,桜の花がいくつか咲いていました.「このところ続いた暖かい日和(小春日和)に誘われて,旧暦十月(霜月/小春)二日に咲いた返り咲きの桜」です.  帰り咲く花もありやと尋ね見む小春のどけきさくら野の宮 熊谷直好

昨日,鎌倉浄妙寺を訪れた後,報国寺にも立ち寄りました.浄妙寺のお向かいの,竹林で有名な禅寺になります. https://www.google.co.jp/maps/search/ 小さなお寺ですが,庭園がきれいに整備されていて,観光客も多く立ち寄る寺院になっています. 報国寺と…

鎌倉浄妙寺へ,「秋の花探し」に行ってきました.この時期,花は全くなさそうに見えましたが,探してみれば咲いているものです.特に目新しい花はありませんが,それでも私が初めて会った花も(:ナンテンハギらしき花,マーガレットコスモスらしき花).ノアザミ(オニアザミ?)の花の蜜をアカタテハが一生懸命吸っていました. 一つの花のあちらこちらに口を差し込んで一生懸命.

今日は秋晴れの1日. 仕事もなく,昼から鎌倉浄妙寺へ.秋の花探しです. このお寺には「花塚」があります.生け花などで切られた草花を偲んで設けられたとのこと.年一回花供養が執り行われています. http://kamakura.uniquely.jp/religion/4-jomyoji.htm…

大船フラワーセンターの樹木  本当の植物好きは樹木を見て回るのが楽しいそうですが--- とりあえず写真だけは撮ってきました.よく出会う樹木も珍しい樹木も,それぞれきれいに植えられていました. 珍しい樹木としてはカンレンボク(キジュ喜樹):現役抗がん剤のもととなった物質がみつかった樹としても有名.プラタナスを改めて見て,やはり蓮と近縁とはとても思えないことを確認.紅葉の頃また訪問して,楽しめたらと思います.

大船フラワーセンターは,樹木もきれいに整えられています.本当の植物好きは樹木を見て回るのが楽しいそうです----- その境地にはまだ遠いのですが,今回はとりあえず写真だけ撮ってきました. よく出会う木々としては,イチョウ,ケヤキ--- あまり見かけな…

薔薇2  大船フラワーセンターにある薔薇は,英語ではGarden Rosesと呼ばれる交配種が大部分です.その中で,現在,最も人気があるのが,「ハイブリッド・ティー・ローズ」.「ゴスペル」も「マリア・カラス」もハイブリッドティー.19世紀後半,よく咲くが傷みやすいティーローズと,生命力の強いハイブリッドパーペチュアルを交配して生まれました. 大輪を掲ぐる薔薇の太茎の醜々(しこしこ)しくて影も動かず 馬場あき子  ゆるやかにほどけつつなほ巻き緊むる薔薇の大輪に触るれば硬し 石川恭子

薔薇は,世界で最も人気のある花の一つで,「農耕文明の始まりとともにあった」と言われています.ニッポニカばら アメリカ,イギリスをはじめ多くの国の国花にも.国花アメリカ 国花イギリス 国花イラン 国花ブルガリア 国花チェコ とは言っても,長い育種…

薔薇1  久しぶりに大船フラワーセンターへ行ってきました.以前よりより明るくなったような印象.バラ園・シャクヤク園・ハナショウブ園などがよく知られていますが,このうち,バラ園は,秋にも楽しめます.春に比べて,花の数はかなり少ないものの,ほとんどの株が花をつけていて飽きません. ほしいままといふ人言(ひとこと)はさもあらばあれくれなゐ深き深き薔薇を愛でつも 斎藤茂吉  薔薇は薔薇の悲しみのために花となり青き枝葉のかげに悩める 若山牧水

今日もよく晴れた1日.明日からは寒さがやってくるということですが,あたたかい1日でもありました. 午後,久しぶりに大船フラワーセンターへ行ってきました. 指定管理者がアニメス大船フラワーセンターグループ(日比谷花壇を含むグループ)に変わって…

線路脇の「雑草園の秋の花」を改めて集めてみました.花がくたびれたシオン,咲き続けているオシロイバナ.代表選手はセイタカアワダチソウとコセンダイグサ.そしてひときわ高く蔓を伸ばしたノアサガオ(リュウキュウアサガオ).「一般のアサガオに比べると,格段に強健.繁殖力も旺盛」な植物であることがよく分かります.系統的には,普通のアサガオのごくごく近縁であることがわかっていますが. あさ顔の濃き藍の花のひとつより流れて空の色となりぬらし 太田水穂

このところようやく秋らしい晴れた日が続いています. 散歩がてら,横須賀線線路脇の土手の「雑草園の秋の花」をカメラに収めてみました. 花がくたびれた感じのするシオン(多分). ずっと咲き続けている印象があるオシロイバナ. 秋の雑草園の代表選手セ…

薄紫色のクジャクアスターが満開です.わが家の庭の秋の締めくくりの花.そして,秋の庭を飾ってくれる花のもう一種がサルビアです.クジャクアスターより早く開花して,氷点下になるまで咲いてくれる真っ赤な花パイナップルセージ.夏前から咲いている紫水晶色のアメジストセージ.サルビアは日本人にも愛好家が多い花となっています. サルビアの霜枯れてたもつ朱(あけ)みれば心の修羅のゆらぎたちくる 岡野弘彦 

わが家の庭の秋は,フジバカマに始まり, 薄紫色のクジャクアスターで締めくくられます. ピンクのアスタービクトリアもあるのですが,やや元気がなくて見劣りしてしまいます. 秋の庭を飾ってくれる花はもう一種あります.サルビアです. クジャクアスター…

光則寺は,境内一杯に様々な植栽が溢れているお寺です.秋の庭は春に比べるとやや寂しいとはいえ,いろいろな花を楽しむことができました.藤袴,杜鵑草,秋明菊,山茶花,日高見せばや,そして野菊の一つ・小嫁菜. 秋草のいづれはあれど露霜に痩せし野菊の花をあはれむ 伊藤左千夫  水色に塗りたる如きおほぞらと白き野菊のつづく路かな 与謝野晶子  獣の如く荒(すさ)める行軍にそよぐ野菊を見返りし汝は  岩波香代子

昨日,鎌倉高徳院(鎌倉大仏)を久しぶりに参拝した後,光則寺に立ち寄りました. 前住職,高校時代の恩師の墓にお参りした後,境内を散策. 光則寺は,境内一杯に様々な植栽が溢れているお寺です.秋の庭は春に比べるとやや寂しいとはいえ,いろいろな花を…

ギンモクセイ  あちこちで金木犀を見かけますが,植物分類では銀木犀の変種として扱われています.高徳院(鎌倉大仏)に銀木犀の大きな木があることを思いだし出かけてきました.しっかりした花を付けていましたが,残念なことに樹勢の衰えが目立ちます.長生きしてほしいもの. 歩みきてふとしも匂へ山の手の日の照る坂の木犀の花 太田水穂  木犀の香りにふりむく坂道に/二十の景色/モノトーンとなる 俵万智

この一ヶ月ほど,鎌倉のあちこちでキンモクイセイ(金木犀)を見かけます.木も花も,そして,もちろん香りも,多くの方に好まれる木.私も大好きです. 金木犀は,植物分類では銀木犀の変種として扱われています. 街で銀木犀を見かけることはあまりありま…

リンゴを詠んだ短歌1  君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋  穂村弘「愛する人と一夜を過ごした後,その人を帰さなければならない,雪の中をさくさくと歩いて行く.その時,ふいに,“雪よ林檎の香のごとくふれ” っていうのに,胸を打ち抜かれた記憶があつて,『なんて素敵なことを言うんだ,こいつは』って. “さくさく”って,雪の舗石を踏む音であると同時に,林檎をかじる音にも聞こえるし,かじった林檎の白さは,雪の白さにまた帰って行くというような」 

青果売り場の果物の主役がリンゴになってきています. 日本で最も生産量の多いフジ(国光とデリシャスの交配種 晩生種で10月下旬から11月上旬収穫)が,店頭に並ぶのはまだ先ですが,私がよく買い物をするお店では,青森早生フジ,そして,長野秋映(千秋と…

初めて出会った花,二種.一つは,お店の横に植えられていた「ルリマツリ」.見過ごしていただけで,園芸用に広く普及している品種.もう一種は,クコの花. 花は初めてです.実を見たことはありました.ただし「クコ酒」として.漢字では「枸杞」ですが,「杞」だけでクコの意味だそうです.赤い小粒の果実を乾燥させた枸杞子は強壮薬として有名. 暴風雨(あらし)ふき庭の垣根は倒れけりたふれし垣に枸杞の実赤し 岡麓

昨日,一昨日と,街や社寺で見かけた秋の実を集めてみました.今日明日は,秋の花を採り上げようと思います. 今日は,初めて出会った花,二種. 一つは,お店の横に植えられていた花.調べてみると「ルリマツリ」.私が見過ごしていただけで,園芸用に広く…

身近な秋の実2(柿を詠んだ歌第一回)  妙法寺で出会ったサネカズラは,英勝寺でも赤い実を付けていました.専用の竹垣に絡ませてなかなか風情のある趣.赤くなり始めたナンテン,竹藪の下のヤブミョウガの実,熟すと塗り薬になるという栴檀の実,クロガネモチの実も赤くかわいらしい.キンカンより少し大きめなミカンは多分カラマンシー(トウキンカン).そして,そろそろ収穫しなくてはいけない柿の実. 柿の木に礼をつくして柿の実を梢に三粒捥ぎ残したり 山崎方代

昨日に引き続き,この何日かの間に出会った,木の実を取り上げます. 鎌倉・妙法寺で出会ったサネカズラ(ビナンカズラ)は,英勝寺でも赤い実を付けていました. 庭作業のための小屋の横で,目立たない場所ですが,専用の竹垣に絡ませてなかなか風情のある…

身近な秋の実1  秋はドングリ以外にも多くの木の実がみのる季節.この二三日の間に出会った木の実の画像を紹介します.チャノキは妙法寺.アオキは八雲神社の裏山で.マンリョウ,センリョウ,サンザシが真っ赤になるまでにはまだ時間がかかりそうです.一方,妙法寺で出会ったサネカズラの実は,この時期でも一部は赤く鮮やか.美しい実です. 名にし負(お)はば 逢坂山(あふさかやま)の さねかづら人に知られで くるよしもがな 三条右大臣

秋は木の実の季節でもありますね.昨日は取り上げた安国論時には,ドングリが沢山落ちていました. 今日は,この二三日の間に出会った木の実の画像を紹介します. チャノキは妙法寺.アオキは八雲神社の裏山で. この時期の木の実はまだ青いものばかり. お…

安国論寺の裏山は,歩いて15分ほどのコース.熊王堂の横の急な階段を上がると富士見台.稲村ヶ崎がくっきり見えます.鐘楼はこの山道の途中にあって,下る途中には南面窟.雑草が生えている一角には,アザミの花が沢山咲いていました.  わがあゆむ山の細道(ほそぢ)に片よりに薊しげれば小林(おばやし)なすも 斎藤茂吉

曇り空の中,一昨日に出かけた鎌倉安国論寺. 安国論寺 安国論寺 - 鎌倉市観光協会 | 時を楽しむ、旅がある。~鎌倉観光公式ガイド~ 日蓮聖人を開山として創建.ここも妙法寺と同じく松葉ヶ谷法難の跡と伝えられる.日蓮が鎌倉にきて初めて道場とした岩窟が…

曇り空のもとの安国論寺の庭園.出会った花は2種.サラシナショウマ(キンポウゲ科サラシナショウマ属)は見るのは初めてです.不思議な花穂は,雄しべのみ残った姿なのでしょうか.そして,サザンカが早くも咲いていました.今年の追い込みの花粉集めなのか,スズメバチが来ていました. 山茶花はつぎつぎ紅き蕾もてり咲きをはるべきときの知らなく 中村憲吉

はっきりしない天気が続きすが,昨日は,曇り空の中,安国論寺まで散歩. 先日長寿寺行きの際にも見かけたススキ.そして,柿の実.10月だな〜と感じさせてくれます. 安国論寺の山門の前のイチョウと松.なんとなく黄色みを帯びているイチョウですが,紅葉…

秋のおんめ様(鎌倉大巧寺)の小径.今,最も目立って美しいのはコムラサキの実.白い実を付ける株も植えられています.コムラサキの英語名はPurple beautyberry.ムラサキシキブ属全体がbeatyberry.その実の美しさは世界的にも認められています.そもそも属名ラテン語Callicarpaが,ギリシャ語でcallos(美しさ)とcarpos(果実)を意味している! いでや月むらさきしきぶは粒実つけて世捨聖(よすてひじり)となりて発つとふ 大滝貞一

今日は時どき小雨のはっきりしない1日でした. 仕事無しの日で,少し遠出して安国論寺まで行ってきたのですが---. 今日は,途中に通ったいつものおんめ様(大巧寺)の小径の画像から.一昨日に撮ったものなので,バックは晴れ. 秋のおんめ様の小径には,花…

「シャクチリソバです」 東慶寺で出会った花の名前を受付の方に聞いたところ返ってきた答え.調べてみると立派なソバ属の一員.花の形はソバの花そっくりですが,宿根草とのこと.漢字では「赤地利」.根を薬用として利用するために導入され,栽培されたものが野生化したとか.なお,若菜は食用になるようです.  花の季(とき)終らんとして茎あかき蕎麦整然と畦ごとに立つ 板宮清治 

シャクチリソバに初めて出会いました. 場所は,鎌倉東慶寺.昨日話題にした長寿寺参拝の帰路に立ち寄り,境内の草花を見て回った時のこと. 宝物館の前に見慣れない花が.受付の方にうかがったところ,「シャクチリソバです」. 残念ながら,東慶寺は先日来…

鎌倉長寿寺へ行ってきました.紅葉の美しさで知る人ぞ知るお寺.ボタン,アジサイも楽しめると聞いています.足利尊氏建立と伝えられる格式の高いお寺で,尊氏の遺髪を埋葬したと伝えられるお墓(供養塔)が裏山の一角にあります. 紅葉まではまだ一ヶ月以上あり,参拝客はあまり多くはありませんでした.そのためもあって,よく手入れの行き届いた美しい苔庭を見ながら,ゆったりとした時間を過ごすことができました.建物としては,観音堂が素敵です.茅葺き屋根がなんともいえませんね.

昨日,鎌倉長寿寺へ行ってきました. 鎌倉に住んでいながら,参拝するのは初めて.春秋,期間限定で拝観できるお寺で,時間・日が合わなかったのが主な理由です. 紅葉の美しさで知る人ぞ知るお寺.ボタン,アジサイも楽しめると聞いています. 紅葉まではま…

ダイモンジソウ/ユキノシタ科の花々  園芸店で,他の赤花品種と並べられているのを見て,ダイモンジソウの赤花を衝動買い.元々変種が多いそうで,近年は園芸品種も多数開発されています.大の字の花から付けられた名前ですが,八重咲きや切り込みのある花弁を持つ品種がむしろ主流とか.ユキノシタ科の植物は,趣があって大好きです.ユキノシタ科の植物を集めてみました.3年前の繰り返しですが----   雪のした花咲きたりと風ありて揺らぐに見出づそのかそけきを 窪田空穂

ダイモンジソウを購入しました. 以前育てたことのある,白花ではなく, ダイモンジソウ - Wikipedia 園芸種の赤花. 園芸店で,他の赤花品種と並べられているのを見て,衝動買いです. ダイモンジソウは ユキノシタ目 Saxifragales,ユキノシタ科 Saxifraga…

ナデシコを詠んだ歌(2) 平安時代以降,ナデシコは「常夏 とこなつ」とも呼ばれるようになり,この場合,季は夏.一方「撫子」の季は,夏とされる場合と秋とされる場合があるとのこと.近世以降の俳諧では撫子は晩夏の季語.ナデシコが秋に咲くイメージは私にもありませんから,当然のようにも思います.平安時代以降も,ナデシコは短歌の歌題としてよく取り上げられ,明治〜昭和の代表的歌人たちもナデシコを詠つています. なでしこのさけるたをりのゆふばえにうつくしかりき君がほゝゑみ 釈迢空

瞿麦---撫子/常夏---ダイアンサス 万葉の時代には,瞿麦,万葉仮名で「奈泥之故」「奈弖之故」 平安時代になると,なでしこの表記が「撫子」となることは,昨日記したとおりです. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/10/07/235633 石竹を示…

ナデシコを詠んだ歌(1)  万葉時代のナデシコは「瞿麥(クバク)」等で表記されます.「なでしこ」が「撫子」と表記されるようになるのは,平安時代になってから.女性に例えられることが多いナデシコですが,万葉集では男性に例えた歌もあります.   なでしこが花見るごとに娘子(をとめ)らが笑(ゑ)まひのにほひ思ほゆるかも 大伴家持  朝ごとに我が見る宿のなでしこの花にも君はありこせぬかも 笠郎女  うら恋し我が背の君はなでしこが花にもがもな朝な朝な見む 大伴池主

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 今日は最後に残ったナデシコ. 萩の花 尾花(をばな) 葛花(くずはな) 瞿麦(なでしこ)の(が)花 女郎花(をみなへし) また藤袴(ふぢはかま) 朝顔の(が)花 山上憶良 万葉集 巻八 一五三八 芽之…

葛(くず)を詠んだ歌(2)  葛餅(ただし,関西),漢方生薬葛根の材料となる葛.七草の歌以外,花が短歌に詠まれることはほとんどありませんでしたが,明治期になると茂吉・釈迢空など有名歌人によって葛花が歌題として取り上げられるようになりました. 葛の花ここにも咲きて人里のものの恋(こほ)しき心おごらず 斎藤茂吉  みねの風けふは沢辺に落ちてふく広葉がくれの葛の白花 若山牧水  葛の花 踏みしだかれて,色あたらし.この山道を行きし人あり 釈迢空 

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 今日は,昨日に続いて 葛(2) クズと聞いて,現代の多くの人が思い浮かべるのは,くず餅ではないでしょうか. クズという名前の由来として,「昔、大和(やまと)(奈良県)の国栖(くず)の人がデ…

葛(くず)を詠んだ歌(1) 基本的に葛は山で自生する植物.花はかわいらしいとは思いますが---特に愛でる対象ではないようにも思います.実際,枕草子では,「草の花は(64段)」ではなく,「草は(36)」で取り上げられています. 夏葛(なつくず)の絶えぬ使のよどめれば事しもあるごと思ひつるかも 大伴坂上郎女  真葛原(まくずはら)靡(なび)く秋風吹くごとに阿太(あだ)の大野の萩(はぎ)の花散る 作者不詳

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: いつもの通り「写すだけ」ですが----. 萩の花 尾花(をばな) 葛花(くずはな) 瞿麦(なでしこ)の(が)花 女郎花(をみなへし) また藤袴(ふぢはかま) 朝顔の(が)花 山上憶良 万葉集 巻八 一五…

朝皃 / キキョウ 桔梗を詠んだ歌(2)  古今集以降の古歌では「きちかう」として詠まれるものの,まれ.不思議な気がします.明治期以降の短歌に盛んに取り上げられ,現代も人気のある花ですから.「野生のキキョウは茎毎に一輪ずつ(一茎一輪)で,茎が細く草むらに隠れ傾いて咲いていて風情がある」(山田卓三)とのこと.桔梗を詠んだ短歌を鑑賞する際には,現代園芸店の矮小種ではなく,このような野生の花をイメージする必要がありそうです. ひれ伏せし我に向ひて桔梗(きちかう)の生きてよしといふ日の美しさ 斉藤史

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 今日は 朝皃 / キキョウ 桔梗(2) 昨日のブログでも取り上げたように 朝皃 / キキョウ 桔梗(1) 山上憶良の「朝皃之花」は「桔梗」とするのが一般的. 「キキョウ」という名前は万葉集には出…

朝皃 / キキョウ 桔梗を詠んだ歌(1) 山上憶良の「朝皃之花」は「桔梗」とするのが一般的.桔梗以外の候補は,木槿,朝顔(現在の).牧野富太郎博士はこれらの候補を否定し, 新撰字鏡で桔梗のふりがなに「阿佐加保」があることから,「朝皃=桔梗」説を後押ししました.枕草子には桔梗と朝顔が併記されているのですが---  臥(こ)いまろび恋ひは死ぬともいちしろく色には出でじ朝貌の花 作者不詳  我が目妻(めづま)人は放(さ)くれど朝貌の年さへこごと我は離(さか)るがへ  東歌

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 紹介というのはおこがましく,いつもの通り「写すだけ」ですが----. 萩の花 尾花(をばな) 葛花(くずはな) 瞿麦(なでしこ)の(が)花 女郎花(をみなへし) また藤袴(ふぢはかま) 朝顔の(が)…

オミナエシを詠んだ歌(2)  女郎花は平安時代には歌題としてとても好まれました.沢山の女郎花の歌が勅撰集に取りあげられ,また源氏物語,紫式部日記にも女郎花を詠んだ歌があります.その後減少し,「新古今集」では6首,現代短歌でもあまり詠まれていないようです. をみなえし秋の野風にうちなびき心ひとつを誰によすらむ 藤原時平  わが机袖にはらへどほろろ散る女郎花こそうらさびしけれ 与謝野晶子 つつましくおのがなさけにうなだれてをみなえしこそ咲きてありけれ 中原綾子

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 紹介というのはおこがましく,いつもの通り「写すだけ」ですが----. オミナエシ(2) 昨日は,植物オミナエシ(女郎花)の語源等の解説のまとめと,万葉集に詠まれた歌をいくつか紹介しました.…