わが家の庭の秋は,フジバカマに始まり,
薄紫色のクジャクアスターで締めくくられます.
ピンクのアスタービクトリアもあるのですが,やや元気がなくて見劣りしてしまいます.
秋の庭を飾ってくれる花はもう一種あります.サルビアです.
クジャクアスターより早く開花して,氷点下になるまで咲いてくれる真っ赤な花,パイナップルセージ(サルビアエレガンス Salvia elegans).
そして夏前からずっと咲き続けてくれる紫水晶色のアメジストセージ/メキシカンブッシュセージ(Salvia leucantha).
サルビアはもう一種,チェリーセージ(サルビア・ミクロフィラ・ホットリップスSalvia microphylla HotLips)を育てていますが,秋には花をあまりつけてくれません.
「サルビア」は,約1000とも言われる沢山の種をもつシソ科の属の名前(和名はアキギリ属).
属の名前ですから,ラテン語ということになります.
以前にも何回か取り上げましたが--- (例えば
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/05/23/000725 )
サルビア Salviaの英語名がセージ Sage.
そもそも英語のsageは,ラテン語のsalvia由来の言葉.
sageの語源(ランダムハウス英語辞典)
:中期英語 sa(u)ge<中期フランス語 sau(i)ge<ラテン語 salvia (salvus SAFE より); 治癒力を持つと考えられていたことから
英語では,香辛料として使われるセージ(サルビア・オフィキナリスSalvia officinalis)を特定するための呼び名はcommon sageになります.
ただし,英語でもsalviaは使われていて,観賞用園芸品種をさすときは,こちらが使われることの方がむしろ多いようです(英語版ウィキペディア).属名ですから当然といえば当然.
日本語でも,セージとサルビアが混在していて,はじめ聞いたときには戸惑った覚えがあります.
サルビアは,日本でもポピュラーな花ですね.愛好家も多い植物です.
ネット上に,詳しく解説したサイトがいくつも見つかります.興味のある方は覗いてみてください.
サルビアとは? - What is Salvia? サルビアの代表的な種類 - Popular Salvias
明治以降は歌題にも取り上げられています.以下サルビアを詠んだ短歌を古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)から.
なお,日本では,サルビアといえば,一年草のサルビア・スプレンデンスSalvia splendens とそれらの園芸品種をさしていた時代がつい最近まで続いていました.ここに取り上げる短歌の多くは,このサルビア・スプレンデンスを詠んだものかと思われます.
https://en.wikipedia.org/wiki/Salvia_splendens
ものおもふわかき男の息づかひそなたも知るやさるびあの花 北原白秋 桐の花
秋となりわが膝さむき夜夜を燃え尽きぬなりさるびやの花 斉藤史 朱天
サルビアの花群は寒き風に向かうまぼろしにつづく難民の風 横田専一 風土
サルビアの霜枯れてたもつ朱(あけ)みれば心の修羅のゆらぎたちくる 岡野弘彦 滄浪歌