短歌(万葉以外)/詩/ 短歌に詠まれた植物・動物・季節

松の花を詠んだ短歌 昨日の散歩で出会った花は22種.最後は,神社の境内の松の花.地味ながら元気いっぱいの花. よべの雨に小径の石の現れてすがしくもあるか散る松の花 島木赤彦  夕日かげまばゆき松の下枝の花粉こぼれてちるがけぶれり 岡麓  うす曇る空に並み立つ松の花伸び急ぐ日を我らも忙し 窪田空穂  庭に見るつつじ山吹あかるくてさびしくもあるかこの松の花 若山牧水  微かに松の花粉こぼるる夕まぐれまた逢はむ日の思ほゆるなり 大西民子

昨日は,近所のカタバミを探すついでに,ぐるりと境川の河畔を散策. 今日はその途中で出会った,おそらく,その多くをほとんどの人が振り返らない花たちを,かたはしから集めてみました.数えてみると22種. ハルジオン ハルノノゲシ タンポポ ヒメツルソバ…

酢漿草(かたばみ) 清少納言も取り上げ(「かたばみ,綾の紋にてあるも,ことよりはをかし」),何人かの近代歌人も好んで歌題にしています.群れ生いし酢漿草(かたばみ)の葉のか青きに時雨ふりつつさびしきろかも 斎藤茂吉  三つよりて仲むつまじき酢漿草のかたちくづさずあり経むものを  若山喜志子  やっかいな雑草であると同時に花・葉は愛らしい.十円玉をこすったり,実をそっと触ってはじける種を眺めて楽しんだりすることもできます.

酢漿草(かたばみ)は,最もよく見かける雑草の一つですが---- https://ja.wikipedia.org/wiki/カタバミ 古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)をみて,かなり名の通った歌人によって短歌に詠まれていることを知りました. どの歌も,さりげなくかたばみを慈し…

平塚花菜(かな)ガーデンで出会った花々2 バラ園には沢山の品種が植えられていますが,この日咲いていたのは一種一輪.比較的沢山の品種が揃えられていたのがマグノリア.遠くから目立つていたのは花ではなく唐楓と楠木の新芽.キクモモの赤は印象的.りんごも花を咲かせていました. 石狩の都の外の/君が家/林檎の花の散りてやあらむ 石川啄木  林檎さくところを行けり紅に白まじはりて日に照らふ花 佐藤佐太郎

昨日訪れた,平塚花菜(かな)ガーデンで出会った花. 今日は木本編. この花菜ガーデンで,最も充実している花木は,バラかと思いますが,まだ時期が早く,咲いていたのは,一つだけ! この日のバラ園では貴重なこのバラの品種名は,オールドプラッシュ.ネ…

平塚花菜(かな)ガーデンで出会った花々1  花菜ガーデンはかなり広い敷地で,広い芝生と沢山の花々を楽しむことができました.一般の植物園にはなかなか見られない大きな花壇に植えられたチューリップをはじめ,沢山の草花に出会うことができました: ラナンキュラス,アフリカンデージー,ハゴロモギク,デージー,キランソウ,イベリス,イブキジャコウ,ローズマリー,ナノハナ,キンギョソウ,ヒメキンギョソウ,ルピナス,オオイヌノフグリ,シロツメクサ,カタバミ,タンポポ---

平塚にある,花菜(かな)ガーデンまで行って来ました. 別名,神奈川県立花と緑のふれあいセンター. https://kana-garden.com/ かなり広い敷地で,広い芝生と沢山の花々を楽しむことができました. 出会った花々の写真を今日明日紹介しようと思います. 今…

八重桜・遅桜を詠んだ短歌2 「八重桜は異様ことやうのものなり」(兼好法師)と思う方もおいでかとは思いますが,私は考えを改めています.八重桜も見事です. 咲垂るる八重ざくら花ゆらぎ出でいや照りつつも重くしづまる 窪田空穂  いやはてに鬱金ざくらのかなしみのちりそめぬれば五月はきたる 北原白秋  八重ざくら春の名残りと散り頻(し)くに心は寄りて木の下に来つ 村松英一  ここに孤(ひと)りとなりゆくことの淋しさに今朝のひかりに咲く八重桜 柴谷武之祐

今満開の鎌倉極楽寺の八重桜.とても見事な花でした. 以前は,桜は一重.八重は邪道などと思っていましたが,そんなことはありませんね. しかし,中には,「桜は一重に限る」と思っておられる方もおいでになるように思います.徒然草の兼好法師がその代表…

八重桜・遅桜を詠んだ短歌1 鎌倉極楽寺の八重桜もほぼ満開で見応えがありました.その内に一株は,鎌倉ではかなり名の通つた桜で,時宗お手植えのサクラとの言い伝えも. 待たせつつおそくさくらの花により四方の山べに心をぞやる 和泉式部  いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな 伊勢大輔  ふるさとの春を忘れぬ八重桜これや見しよにかはらざるらん 式子内親王  夏やとき春やおくれし卯の花に咲きあはせたる遅ざくらかな 小沢蘆庵

妙本寺でも満開だった八重桜. 昨日参拝した鎌倉極楽寺には,二株の大きな八重桜があって,こちらもほぼ満開で見応えがありました. その内の一株,転法輪殿前の桜は,オオシマザクラの突然変異種とされ,北条時宗のお手植えと伝えられる「八重一重咲分桜」…

満天星/ドウダンツツジの花を詠んだ短歌  鎌倉妙本寺には,かなり大きなドウダンツツジがあつて,今,満開.漢字には灯台躑躅と満天星がありますが,花の時期には満天星が似合います.「霊水ががかかって壺状になり,満天の星のように輝いたという故事」に由来す漢字とのこと. どうだんの花のこぼれのしろじろと月夜になりし庭松の露 太田水穂  春梅雨(はるつゆ)の止むとしもなき満天星のうつむく花に明らけく降る 福田たの子  筒花(つつばな)のうすべにに垂り花ゆれゆれて水の辺さらさどうだんの夢 加藤克

昨日は,鎌倉での所要のついでに,妙本寺まで足を伸ばしました. ソメイヨシノ,カイドウの花は終わっていましたが,4月5月の妙本寺の楓の新芽はとても美しくて大好きです. ヤマブキが所々に咲いていて,日蓮上人像横の灯籠を飾る八重の花は,とても鮮や…

霞を詠んだ短歌2  あはれなりわが身のはてや浅緑つひには野ベの霞と思へば 小野小町  春霞こめたる町のゆかしくてみおろしつつも高きに登る 窪田空穂  ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ秋もかすみのたなびきて居り 若山牧水  わが居る 天の香具山。/おともなし。/春の霞は、谷をこめつつ 釈迢空  ちちのみの父を葬りし日の晩霞濃かりしことはのちも思はむ 葛原妙子

今日は全国で真夏日続出との報.片瀬海岸には,水着姿の方も出ていたと伝えていました. https://news.ntv.co.jp/category/society/4a9c564c22404943b21872fa8a52f008 鎌倉に用事があって,片瀬海外に戻ってきたのは夕方6時頃.昨日よりは雲が多いものの,上…

霞を詠んだ短歌  今日の片瀬東浜では,夕方になつても多くの人がよく晴れた春の日を満喫していました.弁天橋から見る丹沢,富士は春霞の中にぼんやり浮かんでいました.  ひさかたの天の香具山このゆふべ霞たなびく春立つらしも 柿本人麿歌集  春の野に霞たなびきうらがなしこの夕かげにうぐひす鳴くも 大伴家持  かすみたち木の芽もはるの雪降れば花なき里も花ぞ散りける 紀貫之  高砂の尾上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ 大江匡房

今日はよく晴れ,気候も申し分のない一日でした. 夕方,片瀬東浜海岸へ. もう5時も回っていたのに,浜では膝まで海に入る人を含めて,まだ数多くの人が,春の海を楽しんでいました. 「写真撮って良いですか?」とお父さんに聞くと心よく「どうぞ」といっ…

チューリップを詠んだ短歌  鬱金香(チュウリップ)のにほいのもとにわづかなる眩暈(めまい)をおぼえ昼もおもひぬ 北原白秋  起きてみて,/また直ぐ寝たくなる時の/力なき眼に愛でしチュリップ! 石川啄木  チューリップを幾百種類咲かしめて朝(あした)明るき公園の径(みち) 細川謙三  身を爆ぜて咲かば咲きなむ乙女子のしろじろと群れて見るチューリップ 馬場あき子  チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月 俵万智

藤沢市の長久保公園へ行って来ました. どの様な公園か?というと--- 公式の的確な紹介文がみつからないので,鎌倉藤沢茅ヶ崎の紹介をしているサイト「かまふち」の紹介文をお借りすると: https://www.shonan-kamafuchi.com/nagakubo_park/#i 長久保公園は…

アセビ(アシビ 馬酔木)を詠んだ短歌  磯の上に生(を)ふる馬酔木を手(た)折らめど見すべき君が在りと言はなくに 大伯皇女  池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を扱入(こき)れな 大伴家持  庭隈のあしびの花に夕雨のあかるうそそぐ見つつ語らふ 佐佐木信綱  のぼり来し比叡の山の雲にぬれて馬酔木の花は咲きさかりけり 斎藤茂吉  水の辺の馬酔木の若木小さけれどほのかに群れて花つけぬらし 北原白秋  来る道は 馬酔木花咲く日の曇り—。大倭(ヤマト)し遠き 海鳴りの音 釈迢空

鎌倉に所用で出かけました. 少し早く着いたので,鎌倉駅からすぐのおんめさま(大巧寺)へ.鶴岡八幡宮の二ノ鳥居近く, 大好きな,このブログでも一番多く取り上げてきた寺院. いつ行っても花に出会えるお寺です.今日であった花々は: ヤマザクラとトキ…

うらうら/うららかを用いた短歌  うらうらに照れる春日にひばりあがり心悲しもひとりし思へば 大伴家持(前半は,情景ですよね.後半で自分の気持ちが詠われるんですけど,その,コントラストが現代の感覚に通じるような気がしますね) 麗らかや此方(こなた)へ此方へかがやき来る沖のさざなみかぎり知られず 北原白秋  うらうらと照れる光にけぶりあひて咲きしづもれる山ざくら花 若山牧水  うららかに一天晴れて吹く風のとよみの音も耳にのどけし 尾山篤二郎

久しぶりによく晴れ,うららかな春の日を満喫できる一日. 青空の下,江ノ島付近の波は穏やか.弁天橋から見た富士は,春の富士.遠く霞んだ姿を見せていました. 晴れた日に,かえって物憂くなることもあるかとは思いますが---今日は,澄んだ青空を見ただけ…

三浦の新キャベツ/春の日を詠んだ短歌  三浦の畑へ行って来ました.今の主力は春キャベツ.桜の開花と同じく,早いと思った収穫が遅れたそうです.畑では春の日を満喫してきました. けふのみと思へばながき春の日もほどなくくるる心地こそすれ 西行  つれづれと物おもひをれば春の日のめにたつものは霞なりけり 和泉式部  春の日は ただのどかにてあらましを—.人の家出でて目に沁む青空 釈迢空

今日は,友人の農家さんを訪ねて三浦まで行って来ました. 畑は,三浦半島の先端に近い高台. 途中,長者ケ崎でトイレ休憩. 夏は海水浴で賑わう場所.今はウィンドサーフィンと春の水辺を楽しむ親子連れの方々でチラホラ. 遠くに江ノ島が見える浜辺で,見…

桜を詠んだ短歌4 鎌倉鶴岡八幡宮の段葛,源平池の桜は,まさに満開.妙本寺の桜も見応えがありましたが,本覚寺の八重桜は早くも散っていました. さくらさくら美(うま)しさくらの幻惑にのめり込めたる日本浪曼派 道浦母都子  わが胸をのぞかば胸のくらがりに桜森見ゆ吹雪ゐる見ゆ 河野裕子   日本的美意識なぞの埒の外咲きたくて桜うすべにを吐く 松平盟子  愛恋はさくらはなびら散りぬれば散りぬるあとの風のなごりよ 紀野恵

今日は,鎌倉鶴岡八幡宮の桜を見に行って来ました. 段葛の桜,源平池の桜,今がまさに見頃.ほぼ満開でした. 宝戒寺,妙本寺の桜も満開.特に妙本寺の桜はなかなか見応えがありました. 本覚寺の八重桜は,かなり散ってしまっていて、やや残念.今年の桜は…

桜を詠んだ短歌3 後世は猶 今生だにも 願はざる わがふところに さくら来てちる(達観の見事さというのがあって,ちょっとね,武士の気概みたいな,大げさに言うと,そういう覚悟まで感じさせる歌).夜半さめて 見れば夜半さえ しらじらと 桜散りおり とどまらざらん(心の中の全部を占めて桜が流れていくような感じがして,ちょっと壮絶な歌だな〜と思うんですけどね)  精神の外の面の闇に桜咲きざくりと折られゆく腕がある 岡井隆  さくら散るさくらしぐれにほのじろき声満ちて空を母ひかるなり 川口美根子

おそらく,短歌に最も多く詠まれてきた桜. 手許の「古今短歌歳時記(鳥居正博編著)教育社」1289ページのうち,13ページは「桜の花」が直接詠われた歌で占められています(別稿「花」にも明らかに桜を詠んだ歌があります.全13ページに「桜の葉」は含めてい…

桜を詠んだ短歌2 桜は短歌の題材として多く取り上げられ,秀歌も数多くあります.NHK究極の短歌50選のうち三首が桜の歌! 桜花 ちりぬる風の なごりには 水なき空に 浪ぞたちける 紀貫之  後世は猶 今生だにも 願はざる わがふところに さくら来てちる 山川登美子  夜半さめて 見れば夜半さえ しらじらと 桜散りおり とどまらざらん 馬場あき子 

桜は,短歌に最も多く詠まれた花といえるのではないでしようか. 一昨年,NHKBSプレミアム/Eテレで,「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選」という番組がありました. https://www.nhk.jp/p/tankahaiku100/ts/L8R11WY878/ その冒頭のナレ…

唱歌「さくらさくら」/桜を詠んだ短歌1  四月は別名卯月ですが,これは陰暦四月の別名.私の頭の中では,「桜が咲くのは弥生」と唱歌「さくらさくら」によってすり込まれています.この唱歌が「さくらさくら」が教育現場に登場するのは1941年.歌詞は音楽取調掛撰『箏曲集』(1888年)編纂時につけられたもの.「歌詞のテーマを桜にしぼったことも,誰もが知る歌となった要因かもしれない」 ただ一度生れ来しなり「さくらさくら」歌ふベラフォンテも我も悲しき  島田修二 

四月に入りました. 今日の片瀬東浜は,曇り空でしたが,吹く風は温かく,浜の人々も春の雰囲気を楽しんでいるように見えました. 昨日訪れた鎌倉では,遅れていた関東地方の桜も開花し,「春,たけなわ」といっていいでしょう. 四月は別名卯月ですが,これ…

妙本寺の春/海棠を読んだ短歌  午後,嵐となる前に,霊園と,鎌倉妙本寺へ参拝.妙本寺では,レンギョウ,ツツジ,楓の若葉が楽しめました.そして桜が開花!そして花海棠も!  今日もまた海棠の実を啄(は)みに来ぬい隠れたまへわが帰るまで 良寛  くれなゐの唇いとどなまめきて雨にしめれる花の顔よき 橘曙覧  ともし火の明るき屋に海棠のひと鉢こぞる花のいきざし 太田水穂  はろばろとなりゆく人か海棠の花咲きそめし庭にわかるる 岡田弘彦

このブログを書いている今,硝子窓に風が吹き付けてマンションにもすきま風が.このところ,このような天気が続き,桜の開花も遅れるばかりですが--- 午後,嵐となる前に,春のお彼岸には行けなかった霊園と,その帰りに,鎌倉妙本寺へ参拝.どちらでも春の…

辛夷を詠んだ短歌2  蕾がひらく直前の形が,子供のこぶしに似ているところから「こぶし」とよばれたとのこと.漢字「辛夷」はモクレンの漢名で,日本では慣用的にコブシに当てられています. 風たちて枯木の梢(うれ)のそよぐ山白き辛夷の色黄昏れむとす 岡野弘彦  咲き初めていたましきまで花白き辛夷よ今日は汚れず了へよ 蒔田さくら子  花巻は花の牧とぞ道の辺のこぶしの花は雨に濡れつつ 宮崎昇  落葉していきなり花芽かがやける辛夷の木あり我のめのまえ 石川不二子

「コブシの名前は,蕾がひらく直前の形が,子供のこぶしに似ているところからの名」(日本国語大辞典)とのこと. ネット上で画像を探したのですが--- 似ていますか? https://www.google.com/search?辛夷 つぼみが開く直前 コブシは,漢字では辛夷ですが---…

英勝寺の春/コブシを詠んだ短歌  英勝寺の春を楽しんできました. 山吹,山茱萸,三椏,椿,ラッパ水仙,そして,四手辛夷(シデコブシ 名札には辛夷とありましたが). 楢の木の枯れ木のなかに幹白き辛夷はなさき空蒼く濶(ひろ)し 長塚節  母座(ま)さむいかならむ世かおもはえね月照るしろき辛夷この花 北原白秋  かぎりなく夕べの雲のひろがればこぶしの花片拾ひて帰る 近藤芳美  清浄と喪のごとく咲く花白し谷のこぶしに舞ふ春の雪 武川忠一

鎌倉英勝寺の春 今日はよく晴れた1日. 江ノ島弁天橋からは,美しい富士を眺めることができました. 午後は,所用で鎌倉まで.ついでに英勝寺に立ち寄ることにしました. 横須賀線の線路脇には,春の野草,逸脱した/ご近所の方が植えた園芸種が花盛り. 英…

ご近所の公園・路地で春探し2 昨日歩いた腰越地区には寺院もたくさんあります.その内の一つ宝善院には早咲きの桜が満開.その後の路地散策で出会った花は,マーガレット,ムラサキハナナ,ハナニラ,カラスノエンドウ-----そしてタンポポ. 多摩川の砂にたんぽぽ咲くころはわれにもおもふひとのあれかし 若山牧水  目のまへにふんわりとたんぽぽのわた毛くづれず丸さを保つ 長澤美津  たんぽぽも藜(あかざ)も潮に硏がれゐて痩せつつ海に傾ける路地 生方たつゑ

昨日の「ご近所の春探し」後偏です. この度の引っ越し先,藤沢市になりますが,今回歩いた路地は鎌倉市の西のはずれ,腰越になります. 腰越地区には,旧鎌倉市内に負けない密度で寺院があります.現在は小さな門構えのものが多いのですが,かつてはかなり…

ご近所の公園・路地で春探し1  隣の公園を覗いてみるとハルノノゲシの花.ご近所の路地と公園の春探しに出かけました.出会つた花は,ヒメツルソバ,ナズナ,オニタビラコ,キュウリグサ,タネツケバナ,オキザリス,そして,ホトケノザ. 春の野のなづな清白(すずしろ)花に咲けど仏の座こそあはれなりけれ 尾山篤二郎  仏の座石をめぐりてはな咲けり唇形(しんけい)ひらくさまも羞(やさ)しく 生方たつゑ  なにもかも私の籠に摘みたくてナズナ・スズシロ・修羅・ホトケノザ 田中あつ子

昼すぎに,隣の小さな児童公園に出てみると,コンクリートの塀との合間に黄色い花が.タンポポかと思いましたが,花も葉もやや違う. 多分ハルノノゲシ.こちらも咲きはじめるのは春です. 鎌倉でちょっとした用事があったのですが,後日ということにして,…

椿を詠んだ短歌3  昨日見た,私が美しいと思う妙本寺の椿.神代植物園の椿の中では「翁更紗」という品種とよく似ています.白地に赤のストライプタイプが私の好みのよう.落せるは八重のくれなゐ椿木のこころゆるびをひと日問ふなり 春日真木子  青椿つぼみ隠(こも)らふ八十葉むら浄(きよ)らに冬の沈黙深し 馬場あき子  昼さむく生者のなかにゐるわれや耿耿(かうかう)として椿いちりん 雨宮雅子  その情そのくれなゐの重くして椿一夜に根方を埋む 稲葉京子 

私の好きな,妙本寺の椿. 品種名はわかりません. 「神代植物公園で観賞できるツバキ」として掲載されている25品種の中では https://www.tokyo-park.or.jp/special/botanicallegacy/ja/about/kind/camellia/index.html 次の二つと似てはいます.特に翁更紗…

椿を詠んだ短歌2  椿を求めて,鎌倉大巧寺(おんめさま)と妙本寺へ行って来ました.おんめ様の境内には,沢山の種類が植えられています.また,妙本寺には,鎌倉で最も美しいと私が勝手に思っている椿があります. 白椿そのあざらけし黄の蕊(しべ)に手触れつつわれのこころ妖し 坪野哲久  椿一枝(いっし)おく空席を探さむに気配けはしき聖晩餐図 塚本邦雄  貧寒の生にはあらずわれの掌(て)に鋏鳴り白玉椿一枝 富小路禎子  落椿くれなゐくらき地の上を雷は東に射抜きてゆけり 角宮悦子

今日は快晴.椿を求めて,鎌倉大巧寺(おんめさま)と妙本寺へ行って来ました. 藤沢へ引っ越して初めてのおんめ様. ちょうど利休梅が咲き始めたところ.最も好きな花の一つです. おんめ様の境内は狭いのですが,沢山の種類が植えられています.また,妙本…

椿を詠んだ短歌1 大船フラワーセンターには,沢山の椿の品種をあつめた一角があります.椿の花は大好きなのですが,傷ついた花が多いのがやや残念.赤角倉という品種のみが,傷のない見事な赤花を咲かしていました. あしひきの八峰(やつを)の椿つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君 大伴家持  とやかへる鷹尾山(たかのをやま)の玉椿霜をば経とも色はかはらじ 大江匡房  積藁の上に大樹の山椿丹念に落す花深紅なり 北原白秋  静かなる椿の花よ葉ごもりに咲きて久しき椿の花よ 若山牧水

昨日立ち寄った大船フラワーセンター. ビオラや菜の花が咲き乱れ,春を感じさせてくれました. 蜜蜂も蜜集め・花粉集めに大忙し. 春の花でありながら,私はなぜか春をあまり感じないツバキ. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/02/20/000…

寒桜を詠んだ短歌  晴れた空に誘われ大船フラワーセンターへ.染井吉野はまだ開花しませんが,早咲きのさくらに会うことができました.大寒桜,玉縄桜,寒緋桜.玉縄桜にはメジロ・ヒヨドリが集まっていました. 寒ざくら表面(うわべ)の恋と人も云え佯(いつは)りて散るものならなくに 与謝野晶子  緋寒桜めざむるばかり散り敷きてなおし咲きをり花のくれなゐ 宮崎智恵  寒ざくら空の光をあつめたる水の反射の奥にひそけき  土屋克夫  寒桜ひらきてさむき空の下我を呼ぶ声の谺きえずも 石川不二子

今日は,カーテンを購入するために,大船ニトリへ.かなりの大型店舗で,品揃えも豊富. カーナビ任せにしたところ,JR大船駅前を通るルートがしめされて---パーキングには入れず(右折できない)--- 次回からは,必ず県道21号経由で行くことにします. 気持…

春の嵐を詠んだ短歌  こまごましたものの置き場所を決めるだけで何時間もかかってしまう引つ越し後の片付け.ひとまず休んで買い物に--- と外へ出てビックリ.嵐でした.  春の嵐吹きて小暗(おぐら)し庭のうへの胡桃(くるみ)の幹は揺すれつつあり 島木赤彦  春のあらし 静まる町の足(ア)の音を 心したしく聞きにけるかも 釈迢空  吹きとよむ春の疾風にもまれつつ閃々(せんせん)としろし山の辛夷は 杜沢光一郎  病める目を凝らさむとゐつ日もすがら春の嵐に白蓮ひかる 成瀬有

引っ越してそろそろ二週間になるのに,未だ片付く気配がない.組み立てていない家具.本は段ボールのまま.こまごましたものの置き場所を決めるだけで何時間もかかってしまう---- ひとまず休んで買い物に--- と外へ出てビックリ.嵐でした. 以前の家なら外…

春の海/春潮を詠んだ短歌2  気持ちのよい青空が広がる1日.片瀬から七里ヶ浜まで歩いてみました.鳩,烏,鳶が舞い,集う人たちは思い思いに春を満喫.浜辺に絵を描く乙女,尺八を吹く老サーファー,わかめを拾うご近所の方---  春潮の岩をめぐりてたつる音沓(くら)き思のなしとはなくに 大岡博  春潮のあらぶるきけば丘こゆる蝶のつばさもまだつよからず 坪野哲久  春の海みんと尾根みち往くほどに相模のうみのけぶりつつみゆ 島田修二  玄海の春の入江は潮満ちて波ひとつまたひとつもみあぐ 阿久津英

一昨日,昨日に続いて,今日も気持ちのよい青空が広がる1日でした. 観光客には評判の悪い鳶の群も. 少し江ノ島寄りに移動すると,今日も富士山が, 浜には,ハト.何を啄んでいるのか,カラスと交代で浜に降りてきていました. 三人組で,浜辺にお絵かき…

春の海/春潮を詠んだ短歌  青空が望めるこの二日間でした.富士山がうつくしく見えた片瀬東浜には,波打ち際で遊ぶ親子,ひっそり昼食をとる老夫婦,そしてサーファーの姿が. かすみしく春の潮路を見渡せばみどりをわくる沖つしら浪 藤原兼実  朝なぎの海人のいさりぞ思ひやる春のうららに日はなりにけり 藤原為家  春の海いま遠(おち)かたの波かげにむつがたりする鰐鮫(わにざめ)おもふ 与謝野晶子  いつとなうわが肩の上にひとの手のかかれるがあり春の海見ゆ 若山牧水

昨日,今日は,江ノ島近くに引っ越して初めてといってよい青空が望める二日間でした. 片瀬東浜には,サーファーもかなり出ていて,波打ち際で遊ぶ親子も. 昨日の午後は,浜で流鏑馬も.私が出かけたのは午前中で,まだ準備中でした. 人混みから離れてご夫…

フキノトウを詠んだ短歌  蕗の薹は,日本人が春を感じる食材.毒性が報告されているにもかかわらず,何物にも代えがたい味と香り---  みづからがもて来(きた)りたる蕗の薹あまつ光にむかひて震ふ 斎藤茂吉  町中の煤(すす)ふる庭は,ふきの薹たちよごれつゝ 土からび居り 釈迢空  さきがけて地を割りそめし蕗の薹あさ黄みどりひとつを摘みぬ 長澤美津  蕗のたうほろほろにがき香さへしてさやかに吾の手につまれけり 馬場あき子

明月院で出会ったフキノトウ. もっと若い段階の花茎をフキノトウとよぶのかとも思いますが,境目がはっきりしないので,このように開花したものもフキノトウと呼ばせていただきます. 雄花と雌花がありますが,上記画像は多分雌花. https://ja.wikipedia.o…