短歌(万葉以外)/詩/ 短歌に詠まれた植物・動物・季節

鎌倉日朝様(本覚寺),おんめさま(大巧寺)の7月下旬の花たち/トクサを詠んだ短歌(再掲) 本覚寺の百日紅は満開直前.栴檀の青い実は大きくなってきています.おんめ様で見ることができた花はムクゲ,ハナトラノオ,ボタンクサギ,ユウスゲ(キスゲ),オミナエシ,ハス.  竪(たて)川の流れ溢れて君が庵の庭の木賊に水は越えずや 正岡子規  白き猫庭の木賊の日たむろに眼はほそめつつまだ現(うつつ)なり 北原白秋

鎌倉にいた頃は最も良く訪れた散歩コース:日朝様(本覚寺)-おんめ様(大巧寺)を,何週間ぶりかで歩いてきました. 日朝様の花といえば,春の枝垂れ桜,夏の百日紅. 今日の百日紅は満開直前といったところでしょうか? 栴檀は私が大好きな木.しかし,ほ…

合歓木の実/合歓を詠んだ短歌(再掲) 片瀬漁港防波堤までの散歩の道中に出会った合歓木.花は散り青黒い実が沢山垂れ下がっていました. あやしくも神ことよせて思ひしみ恋ふるこころを知るやねむの木 伊藤左千夫  合歓の葉の 深きねむりは見えねども,うつそみ愛(ヲ)しきその香たち来も 釈迢空  合歓の実の黝(くろ)く垂りたる照らしつつのぼり来たる月をこの夜半も見ぬ 木俣修  合歓の花木末(こぬれ)に高くそよぎつつ秘かなるわが思慕をいざなふ 大西民子

雲の多い1日でしたが,暑さは変わらず. 夕方の散歩コースは,境川の河口の道から片瀬漁港の江の島寄り防波堤の先端まで. 境川の川面の燦めき. 片瀬漁港入口からは江の島が美しく見渡せます. 防波堤から振り返って片瀬漁港を見渡すと: 防波堤先端でしば…

7月後半の花 in 平塚花菜園3/なすを詠んだ短歌(再掲) 夏を代表するヒマワリとハス.トレニア,ヤブランは以前育てていました.小さな花のヤナギハナガサ・セイヨウトラノオ.サボンソウ,タンジーははじめて.そして夏野菜たち:ズッキーニ・カボチャ・シシトウ・ナス.  女(め)のわらは入日のなかに両手もて籠(こ)に盛る茄子のか黒きひかり 斎藤茂吉  わが植ゑし茄子は光沢(つや)ある紫にのびて稚き実は地につけり 若山喜志子  出盛りとなりて紫紺の色深し一山の茄子を日ぐれにあがなふ 君島夜詩

今日は,江の島弁天橋から,夕焼けの富士を見ることができました. この1時間後,2024江の島花火第一回がありました.江の島花火は,8月いっぱい,5回にわたって行われる,5分間だけの打ち上げ花火. 【2024江の島花火 】2024年夏も豪華に5回開催 <7月23…

7月後半の花 in 平塚花菜園2/ベゴニアを詠んだ短歌  出会った大輪のフヨウはおそらくアメリカフヨウ.宿根サルビアは私の好きな花.初めてであつた「宿根フロックス」.花壇にはヒャクニチソウ,メキシコヒャクニチソウ,センニチコウ.そしてベゴニア. ひねもすを暑に労れし目にしみるベコニアの花のよき紅さかな 佐佐木信綱  わが額汗にじみつつ椅(よ)る卓にベコニアの葉は色驕(おご)りたり 植松壽樹  ベゴニアの紅透る茎に似て少女はやさし花売るときも 浅田雅一

今日も暑い1日でした. 話題は,昨日に引き続き,平塚花菜園の花たちです.訪れたのは一昨日. サルスベリ,ムクゲと並んで,今,元気な花といえばフヨウ.花菜園で出会ったのは大輪のフヨウで,アメリカフヨウという種もしくはその園芸種かなと思います. …

7月後半の花 in 平塚花菜園1/はまなすを詠んだ短歌  今最も元気なサルスベリ・ムクゲ,とても珍しいタキユリ.やや早いリコリス.ワスレグサ園芸種ヘメロカリス.そして,ハマナス(ハマナシ)の園芸種ハイブリッドルゴサ. 潮(しほ)かをる北の浜辺の/砂山のかの浜薔薇(はまなす)よ/今年も咲けるや 石川啄木  砂の花おのづから生るとふ説もたのし吹浦(うくら)の浜のハマナシ摘みて 鹿児島寿蔵  オホーツクの潮(うしほ)とどろく草丘にすがれんとして赤き玫瑰(はまなす) 宮柊二

昨晩遅くの大雨がうそのように晴れた1日でした. 夕方富士は見えませんでしたが--- 昨日出かけた平塚花菜園. 園芸植物が沢山揃えられている植物園です.7月後半の花々の写真を撮ってきたので,アップしたいと思います.今日はその第一回. 園の入口横.サ…

ヒマワリ 向日葵を詠んだ短歌2  映画「ひまわり」の舞台となったウクライナは,ロシアとともにひまわり油の大生産国.ひまわり油は消費量世界第4位の植物油です. 黒く立つ孤(ひと)つとなりて向日葵の衰亡の姿(なり)かがやけるかな 坪野哲久  しづかなる悲哀のごとくわが門の星の明りに向日葵たてり 宮柊二  向日葵は枯れつつ花を捧げおり父の墓標はわれより低し 寺山修司  7月生れわれはひまはり陽を追ひて陽に向きて七月のわれはひまはり 大塚陽子

関東地方は梅雨明けです. 江の島の夕方の空は心なしか夏空に.富士は見えませんでしたが. 話題は,昨日に続きヒマワリ. 下の画像はウクライナのヒマワリ畑.ヒマワリの種を採るためのものです. https://www.foodandwine.com/news/ukraine-sunflower-oil-…

ヒマワリ 向日葵を詠んだ短歌1 小さいお子さんから高齢者まで,多くの方が大好きな花,向日葵.多くの楽曲,映画,そして絵画に取り上げられています.太陽を向くという説がありますが,開花期後,多くは東を向いたまま動かなくなるとのこと. 髪に挿せばかくやくと射る夏の日や王者の花のこがねひぐるま 与謝野晶子  うち沈む黒き微塵の照りにして暑(しょ)は果てしなし金の向日葵 北原白秋  かめに生けし五尺の向日葵しんしんと水すいあげてゆらぎもぞする 若山喜志子 

夕方時折降っていて雨も止み,ひさしぶりの夕焼け.富士は見えませんでしたが,そろそろ梅雨明け? 昼間,かつて畑だった所に咲いているヒマワリに出会いました.残っていた種から花を咲かせたような感じでしたが,大輪の立派な花. ヒマワリは小さいお子さ…

エノコログサ/狗尾草を詠んだ短歌  今,鎌倉の空き地では狗尾草がかなり優位になっています.古来から愛されてきたこの雑草が粟の祖型.知りませんでした. ゑのこ草おのがころころほに出でて秋おく露のたまやどるらん 藤原為家  コップにゑのころぐさの若き穂と露草をなげて朝の食卓 結城哀草果  涙こらへこのしづかさもまもるなるゑのころ草のをさな穂の花 福田栄一  猫じやらしの淡(うす)き黄の穂の相寄りてひかりのなかに皆顫(ふる)ひつつ 宮柊二

今日も曇り空の江の島.夕方雨は止んだのですが---- 昨日訪れた鎌倉.空き地にはヒメジョオン.そして,ヒルガオかと思ってよく見たらペチュニアも. 2カ所行き当たった空き地で,一番優勢だったのがエノコログサ.2カ所目は海岸にかなり近い場所だったの…

マサキノカズラ/テイカカズラを詠んだ短歌  謡曲「定家」の葛ともいわれるテイカカズラは,古名が古事記にも出てくるマサキノカズラとされます. 限りなき思ひのつなのなくはこそ正木の葛よりもなやまめ 在原業平  松にはふ正木の葛散りにけり外山の秋は風すさぶらん 西行  外山なる正木の葛冬くればふかくも色のなりまさるかな 和泉式部  歌人の定家葛といふ名すら時代移りし花の咲くかな 岡麓  定家葛の盆の白花さきそめて帰りきまさむ人まつこころ 福田たの子

今日も江の島は曇り空. 午後,鎌倉へ届け物ついでに立ち寄った海蔵寺では,キキョウの花が最盛期. 水鉢で育てられている蓮の花も見頃でした. 夕方散歩で出会ったのは,テイカカズラ. 鎌倉おんめ様の花は終わっていたのに,近所の児童公園では,まだ元気…

夏祭を詠んだ短歌  近くの鎌倉腰越の小動神社では,今日まで天王祭が行われていました.江の島八坂神社との行合祭.  夏祭わっしょわっしょとかつぎゆく街の神輿が遠くきこゆる 北原白秋  軒提灯のあらまし消えてならびたる夏の祭のをはりのひそけさ 松倉米吉  夏祭神輿に競ふ心意気を代々承け継ぎて今もあはれなり 筏井嘉一  嚙めばかすかな海ほおずきの頬そめてお前が笑う今日は祭 佐佐木幸綱

各地で大雨とのニュース.ここ江の島は,曇り空ながら,雨は時々降るだけ. 梅雨明け前ですが,各地で夏祭りが行われる季節に入りました. 近くの鎌倉腰越の小動神社では,今日まで天王祭が行われていました. 江の島八坂神社との同時開催される行合祭.珍し…

キョウチクトウ/夾竹桃を詠んだ短歌  街の花が少なくなっていくなか,所々に植えられているキョウチクトウは,艶やかな花で楽しませてくれています.「きようちくとうの くれなゐが はつなつのこころに しみてゆく/八木重吉」 遠退(そ)ける雷の音かそかにて夾竹桃を吹き揺する風 松村英一  八月は千万の死のたましずめ夾竹桃重し満開の花 山田あき  夾竹桃咲きて校舎に暗さあり饒舌に母をひそかににくむ 寺山修司  夾竹桃のはな微動だにせぬ朝のわれはなにかにねらわれている 沖ななも

梅雨空の1日でしたが,夕方の江の島はかなり過ごしやすく,富士山もうっすらと望めました. 街の花が少なくなっていくなか,所々に植えられているキョウチクトウは,艶やかな花で楽しませてくれています. 日本へは江戸時代に中国から,また,明治以降はセ…

ハイビスカス・仏桑花・扶桑花を詠んだ短歌  仏桑花柄長の花のゆれゆれて夏の一日は夕さりにけり 岡麓  一本の蕊のそこのみ濃きいろに真白き扶桑花は靄に浮かべり 北見志保子  曇りより光射し来るひとときの朱はにじめり仏桑花の花 吉田正俊  鉢植にくれなゐ静か蕊長く伸びて妖しき仏桑花の花 宮柊二  仏桑花くれなゐふかく咲き垂るる首里王城の池をめぐれり 岡野弘彦  朱く咲くオキナワの花仏桑花右にかたむく落暉の真向ふ 平山良明 

今日も梅雨空.雨も時々降るという天気. しかし,日没時間の後,西の空に一瞬赤みが増し,なんと,雲の中に富士山のうっすらとした影を見ることができました. ご近所の散歩では,ムクゲの花が目立つようになってきました. そして,ハイビスカスを数株育て…

ハマユウを詠んだ短歌2 もろかりし妻のいのちをおもひをれば浜木綿の花に虹のいきほふ 川田順  夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ 植松壽樹  浜木綿の茎たくましくりゅうりゅうとなにはばからず岩のあひより 橋本德寿  みだれざる人の眠りにみだれをり硝子の劃(かぎ)る黒き浜木綿 葛原妙子  はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにける 高野公彦

今日も藤沢は曇り.昨日より雲は厚く富士を望むどころではありませんでした. 散歩の途中,境川の川沿いの道で,ハマユウが咲いているのに出会いました. 鎌倉ではおんめ様(大巧寺)に植えられていましたが,道ばたで出会ったことはありませんでした. 正式…

ユリを詠んだ短歌2 さ百合花後(ゆり)も会はむと思へこそ今のまさかもうるはしみすれ 大伴家持  うつつなり眠り薬の利(き)きごころ百合の薫りにつつまれにけり 長塚節  裏山の青萱(あいがや)ぬけいで咲く百合の涼風のむた大きくゆらげり 木下利玄  散歩道(プロムナド)の果に百合咲く喫茶店(カフェ)ありて二人して聴く牧神の午後 植木昭夫  ちご百合の花も愛でしや西行の捨て身のこころ分りはじめつ 川口美根子  

今日は,雲の多い1日.それでも夕方には,富士を見ることができました. 午後,近くのお寺,常立寺に立ち寄り,参拝. 庭の片隅に,オニユリ,そしてヤマユリが咲いていました. 日本はユリの大国で,自生種が15種,その内8種は固有種と言われています.そ…

メロンを詠んだ短歌  三浦メロンを購入.蒸し暑い日のメロンはこたえられません. しろがねのナイフの光りひと刺しにメロンの肉をしたたるしづく 四賀光子  卓上のメロンかほるに歌がたり尽くるを知らず童顔の翁と 峯村国一  メロンの果(くわ)光る匙もてすくいをりメロンは湖(うみ)よりきたりし種(しゅ)ぞ 葛原妙子  刺すことばかり選べり指熱くわれはメロンの縞目をたどり 春日井健

雲はやや多かったものの,今日も藤沢は晴れ. 夕方の江の島からは,かすんではいたものの,富士山を見ることができました. 昼すぎ用事で鎌倉へ.妙本寺の凌霄花を見てきました.見頃です. 鎌倉在住の時の行きつけの店で,メロンを購入. 一番好きなクイン…

ガマ(蒲)を詠んだ短歌   井の頭池の岸近くには,蒲の穂が並んで,ややもの悲しくも美しい光景をつくりだしていました.  谷ひとつ越えつつゆけば平(たいら)あり沼地の岸に蒲(かば)ぞ生ひたる 斎藤茂吉  たまさかに明(あか)る薄陽(うすび)のか遠くて夕さり寒し蒲の穂の立(たち) 北原白秋  山道に子の折りくるる蒲の穂よすでにし母は観音ならず 中城ふみ子

今日も暑い1日でしたが,夕方,富士山が久しぶりに姿を見せてくれて,蒸し暑さも少し和らいだ気持ち(気持ちだけ)になりました. 昨日は,大変お世話になった先生を囲んで,吉祥寺で昼食会.旧交を温めた後,井の頭公園を散策してきました. 夕方近くのほ…

ヤシの木を詠んだ短歌  江の島弁天橋には椰子の並木があります.今花が咲いていて,多くの観光客を見おろしています.  つづき居る椰子の木立のひまもりて入日の雲のくれなゐ見えつ 斎藤茂吉  椰子の実の椰子の梢にからからと鳴りて明るきひと日なりけり 北原白秋  海を背に生ひたつ椰子の葉のさやぎさへぎりもなく風にふかるる 長澤美津  やつれ椰子風に吹かるる東京の波止(はと)より一夜寝る距離の旅 馬場あき子

江の島へ渡る弁天橋には,ヤシが植えられ,立派な並樹になっています. よく見ると,花が咲いていました. ヤシの種類は,はっきりわかりませんが,PictureThisは,「ワシントンヤシモドキ」と判定. ワシントンヤシに似ているためにこのような名前がつけら…

暑し・暑さを詠んだ短歌2  ひとへなる蟬の羽衣夏はなほうすしといえどあつくぞありける 能因  行きなやむ牛の歩みに立つ塵の風さへあつき夏の子車(をぐるま) 藤原定家  あつさをも忘るる影のあやにくに絶えてみじかき夏の夜の月 小沢蘆庵  夏暑くして寂しさからに家の隅の暗きところに鰌(どぢやう)を飼ひぬ 前田夕暮  暑がりの青大将が落ちて来ると能登の銀杏はふり仰がれぬ 米川千賀子

昼のニュースでは,梅雨明け前にもかかわらず,熱中症への注意を呼びかけていました. https://tenki.jp/forecaster/r_fukutomi/2024/07/05/29440.html 37度を超える地域も出るとの予報.藤沢の午後の気温は,33度でしたが. 暑さ本番です. 以前にも取り上…

トウモロコシの伝播と栽培種の起源/玉蜀黍(とうもろこし)を詠んだ短歌3  アメリカ大陸から,いわゆる「コロンブス交換」で世界に広がったトウモロコシは,その後,世界に広まり,現在,最も多くの人が主食としている作物となっています.アメリカ大陸でのトウモロコシの起源については,現在,かなり解明され,原種としてバルサス・テオシントが同定され,また,約9,000年前に一度だけ栽培された品種が,その後,南北のアメリカ大陸全体に広がったことがわかっています. 枯れながら玉蜀黍も稔るべし寂しき雨と思ひつつ寝る 近藤芳美 

今日の藤沢は晴れ, 関東地方の梅雨明けは,7月22日頃と報道されていますが--- https://tenki.jp/forecaster/tanaka_masashi/2024/07/04/29434.html 向こう一週間の藤沢市の天気予報:傘マークは1日.しかも一時雨かもしれないという閉じたマーク. ほとん…

玉蜀黍(とうもろこし)を詠んだ短歌2  スーパに並ぶ玉蜀黍はスイートコーンですが,世界最大の生産国アメリカの99%はデントコーンと呼ばれる品種.家畜の飼料に使われる他,エタノール,甘味料,コーンスターチなど,多くの製品がデントコーンから作られています. しんしんと幅広き街の/秋の夜の/玉蜀黍の焼くるにほいよ 石川啄木  玉蜀黍(もろこし)の穂は思ふことなきやうに夕日の風に揺り眠るかな 島木赤彦  雨こぼす唐もろこしは頭毛(かしらげ)のまだ軟(やはらか)きうすみどりかな 山下秀之助

今日も曇空.夕方散歩の頃にはポツポツ雨が. 近くの児童公園の植栽は,なかなか良い選び方がされていて,3-4株の木斛と,合歓木が植えられています.木斛は,花が咲き始め,合歓木は盛りをやや過ぎましたが,美しく夕方の空に灯火を掲げていました. 今日…

玉蜀黍(とうもろこし)を詠んだ短歌  江の島島内のお店には焼き玉蜀黍が,青果店には,生の玉蜀黍が並ぶ季節です. 唐黍(もろこし)の焦げしを嚙めば幼き日幼きかをり胸に沸きくる 窪田空穂  唐黍の花の梢にひとつづつ蜻蛉(あきつ)をとめて夕さりにけり 長塚節  ありがたや玉蜀黍(たうきび)の実のもろもろもみな紅毛(こうもう)をいただきにけり 斎藤茂吉  病める兒はハモニカを吹き夜に入りぬもろこし畑の黄なる月の出 北原白秋

梅雨の空の下,今日の散歩は,弁天橋を渡って,江の島の島内まで. 橋をわたって直ぐのお店には,焼きはまぐり,焼きいかに混じって焼きトウモロコシが売られていました. 全く注意したことがなかったのですが,焼きトウモロコシは冬でも売られているのでし…

桃の実を詠んだ短歌3  桃は,中国では,そして日本でも,古来魔を払う力を秘めているとされていました.黄泉の国から逃げるイザナギは桃を投げて追つ手から逃げることができました. 新鮮な桃よ桃よ桃売りの叫ぶこゑが真昼の坂にす 樋口美代  病み妻に白桃とどけたしといふ舅を連れてゆく日ざかりの道 伊藤雅子  追熟せよといふ桃盛りあげて部屋かぐはしくひと日はありつ 後藤直二  しばしばも見つつまことに死にゐたり大きな水蜜桃供へられ 馬場あき子

今日も雨はほとんどふらず.しかし,富士も見えずの1日. 夕方から風も強まり,明日は嵐?予報では小雨ですが. 今日は,桃の実を詠んだ短歌の三回目. 第一回に取り上げたように,桃の実は,万葉集に取り上げられていて,ここで,毛桃と呼ばれているのが,…

桃の実を詠んだ短歌2  モモは,遅くとも漢の時代には栽培化されていました.日本へは,遅くとも奈良時代初頭には渡来.現在のような大きくて柔らかいモモが市場に出回るようになったのは明治以降. みづみづしき木のいのちかな淡緑(うすあを)き小さき桃の実風に吹かるる 吉野鉦二  袋しろくしづまる中にみちてゆく桃無尽にてはや甘きかな 生方たつゑ  桃の木は懈(たゆ)くしづけし秋の日に実の捥(もぎ)られし後を立ちをり 宮柊二  桃一つ妻とわかち食ふ二上の木陰に畝火耳成を見て 小市巳世司

今日は,雨もやみ,夕方には晴れまも. ただし,富士は見えず. 昨日購入した桃の残りを来客とともに食べ終わりました.見栄えはそれほどでもなかつたのですが,ちよひめ?or日川白鳳?かなり美味しい早生桃でした. 日本へは,遅くとも奈良時代初頭には渡来…

桃の実を詠んだ短歌1  山梨県産早生桃を買い求めました.ちよひめ?日川白鳳? 向かつ峰(を)に立てる桃の木成らむかと人ぞささやく汝がこころゆめ 作者未詳 万葉集  居並びてあるだに暑き夏の日に身にみを寄せてなれる桃の実 大隈言道  岡山の大いなる桃皮むけばしたたる雫よき香をたてる 窪田空穂  ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉  桃の実のはだのやうなるうぶ毛して少年の頬のうひうひしさよ 木下利玄

今日は,関東地方梅雨入り後,初めてといって良い雨の日.神奈川県は今夜半大雨の恐れとのことですが-- 夕方はまだ雨はポツポツ. ジメジメした気分を晴らすためもあり,近くの青果店で桃を購入. 山梨県産とありました.山梨は,桃生産量全国一. https://w…

スイカズラ 今日であった花はアガパンサス,キョウチクトウ,ルリマツリ,デュランタ,ムクゲ,オウシュウマンネングサそしてスイカズラ.APGIIIでは,スイカズラ科の別属に,アベリア,マツムシソウ,オミナエシ,カノコソウ,ハコネウツギ,タニウツギなど,多くの人に愛される植物たちが属するようになりました. 歩む歩む植物図鑑くりてたのしがまずみの花すひかづらの花 水町京子

今日も藤沢は曇り.しかし雨はふらず.この状態は,空梅雨と言っていいのでしょうか? いつもの江の島弁天橋からは,今日も富士は全く見えず. アオサギと一緒に曇った空と片瀬漁港を眺めてきました. 昨日とほぼ一緒のコースをたどって境川沿いに散歩. 昨…

梅雨を詠んだ短歌(梅雨晴れ,梅雨明り,梅雨曇り,梅雨空)  梅雨晴れのあかとき靄の立ちうごく峠の駅に顔あらふかも 佐佐木信綱  梅雨明り松の木の間の深うして雀のつるむ愛(かな)しかりけり 島木赤彦  梧桐(あおぎり)の花に雀のとまりゐて今朝梅雨晴の風吹きにけり 岡麓   夕ちかみ梅雨明りして湯の村の人ごゑ物の音(と)しづかにきこゆ 古泉千樫  梅雨空がずりおちてくる マリアらの深紅にひらく十指の上に 塚本邦雄  梅雨空にどこまでふくるる椎の影入りくむ枝は力を抜けよ 春日真木子

江の島鎌倉は,今日も曇りの1日でしたが,雨はふらず. 雲の切れ目からお日様が見えることもありました. このような夕方の空模様を「梅雨明かり」と呼ぶそうです.どんより曇った空の場合は「梅雨曇り」.「梅雨晴」は梅雨の合間の晴れ間にも使うものの,…

梅雨を詠んだ短歌  おんめ様にはアガパンサスが満開.妙本寺の凌霄花が咲き始めました. 靄(もや)のなか光り浮き来る屋根の上に梅雨の海の時明り見ゆ 島木赤彦  うすぐらき小路ををゆきて人の香をおぼゆるまでに梅雨ふけわたる 斎藤茂吉  つゆの雨やむ昼さがりアカシアの花茫々と山せまりくる 鎌田純一  荒梅雨の熊野の真杉ひたすらに立ちをるのみの強さあらはる 馬場あき子  森の木に草葛しげり耳下腺に神経叢のゆらぐ梅雨鬱 久々湊盈子

今日は,今季の梅雨で一番の蒸し暑さでしたが,雨はふらず. 夕方には,富士山もかなりくっきり見ることができました. 午後には鎌倉に用事があり,おんめ様(大巧寺)と妙本寺に足を伸ばしました. おんめ様は,アガパンサスが満開. 名前が正確にはわから…

梅雨入り,入梅を詠んだ短歌  梅雨入り3日目.今日はいかにも梅雨!という1日でした. 木下闇(こしたやみ)くらき窓べにこもりつゝ物思ひ痩(や)する梅雨となりけり 太田水穂  梅雨に入りそだち著(しる)けき草を見れば秋のさ庭しおもほゆるかも 尾山篤二郎  いつしかも暁方(あけがた)白き戸の隙(ひま)に目をやりてゐる梅雨にいるらし 河野愛子  入梅のあめやすらかに降り出でぬ眠りを覚めし夜半のひとりに 初井しづ枝

関東地方の梅雨入り3日目. 梅雨入り初日,二日目には,夕方には富士山が見えた藤沢片瀬海岸でしたが, 今日はいかにも梅雨!という1日でした. 弁天橋から片瀬港を望んでも,その向こうには富士は見えず,暑い雲が垂れ込めるのみ. 梅雨空真っ盛り. ジメ…

ベッドストローとヤエムグラ(アカネ科の花2) アカネ科は英語でthe bedstraw family(ベッドストロー科)ともいわれます.ベッドストロー(日本のキバナカワラマツバ:多分)はベッドの詰め物などヨーロッパで多岐に利用されたヤエムグラ属の植物.日本のヤエムグラは雑草として扱われてきて,枕草子でも「うつろひやすなるこそうたてあれ(色があせ易いのは困ったものだ)」とされています.カワラマツバも雑草扱いですが,花はかなり美しいと思います.

アカネ科の花2(アカネ科は三年前にも扱った題目なので,二回目のまとめ,その2になります) アカネ科英語では, the coffee family(コーヒー科) the madder family (セイヨウアカネ科) the bedstraw family (ベッドストロー科) 等と呼ばれます.htt…

クチナシを詠んだ短歌  昨日見た梔子の花.きれいに咲いた花はとても美しく気品もあり,世界中で愛されてきた花であることに納得.イギリスには18世紀に導入され,人気を博しました. 我が宿の垣のくちなし花さきぬいそげや早苗時過ぎにまに 石川依平  夏の日はなつかしきかなこころよく梔子の花も汗もちてちる 北原白秋  駅の花圃(かほ)にくちなしの花嗅ぎしことわが今日の生に測らざりしこと 田谷鋭  くちなしの黄に乾びたる花ながらにほひつつまた外は雨なり 森岡貞香 

日中かなりの雨.明日から金曜日までは晴れ予報で,梅雨入り宣言はありませんが,実質的な関東地方の梅雨入りかなと思います. 夕方小降りになってから出かけた時の花々.雨に濡れた花も風情があります. 下のクチナシ(Gardenia jasminoides)は,昨日撮っ…