今日も暑い1日でしたが,夕方,富士山が久しぶりに姿を見せてくれて,蒸し暑さも少し和らいだ気持ち(気持ちだけ)になりました.
昨日は,大変お世話になった先生を囲んで,吉祥寺で昼食会.旧交を温めた後,井の頭公園を散策してきました.
夕方近くのほんの短時間,井の頭池にかかる七井橋を渡って直ぐ戻ってきただけでしたが,しっかり自然が残された歴史ある公園を楽しむことができました.この後夕立でしたが---
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/seibuk/inokashira/
池の畔のかなり大きな木.メタセコイアかと思いましたが,PictureThisの判定は,ラクウショウ.
とても似ているけれど,枝と葉が互生するのがラクウショウとのこと.果実の形も解説に合っています.
http://zasshonokuma.web.fc2.com/ragyo/ra/rakuusho-metasekoia/rakuusho-metasekoia.html
メタセコイアはスギ科メタセコイア属ですが,ラクウショウはスギ科ヌマスギ科の植物.
井の頭池には,水鳥が2種類.
池の真ん中あたりにいて良い写真が撮れませんでしたが,オオバンとカイツブリとのこと.
そして,橋を渡ったところの背の高い木にはカワウが群れをなしてとまっていました.ラクショウという木で,この木でカワウが繁殖しているそうです.あまり沢山集まるので,下には糞よけのテントが張られていました.
糞だけではなく,カワウが採ってきた魚など,沢山の落とし物があるそうです.
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/ikedayoriR5.12.html
湖の岸近くには,ガマが穂をつけて並んでいました.ややもの悲しくも美しい光景.
ガマはイネ目ガマ科ガマ属の植物.
ガマの花粉は蒲黄(ほおう)と呼ばれ,日本の民間療法で傷・やけどの散布剤として用いられていました.
イー薬草ドットコムガマ,蒲,蒲黄(ほおう),Typha latifolia,ガマ科ガマ属
小学唱歌「だいこくさま」では,大黒様(大国主)が白ウサギの傷を治したのはガマの穂綿とされていますが----
この日出会ったガマの穂は,まだ上に雄蕊が突き出ているので花:ただし,緑色のはずの花が既に茶色になってきています.咲き終わった感あり.
雄蕊が落ち,成熟したガマの穂(蒲鉾)は種の集まりで,一端破れると穂綿(綿毛の付いた種)が湧き出るように沢山出てきます.
NHK for schoolのサイトでは,動画で,その穂の構造を説明しています.是非覗いて見てください.
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005400776_00000&p=box
ガマの漢字は「蒲」.もともとはカマと呼んでいたそうで(日本国語大辞典)
漢字の読み方としては,いまでも「蒲田」「蒲鉾」は「カマ」ですね.「蒲焼き」は「カバ」.カバは植物ガマの古名として辞書に載ります.
「蒲鉾」「蒲焼き」の名前の由来は種々あるそうですが,いずれにも植物のガマと関連ありとする説があります.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/09/02/001254
ガマを詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
谷ひとつ越えつつゆけば平(たいら)あり沼地の岸に蒲(かば)ぞ生ひたる 斎藤茂吉 白桃
たまさかに明(あか)る薄陽(うすび)のか遠くて夕さり寒し蒲の穂の立(たち) 北原白秋 雀の卵
蒲の花かなしくも咲き池の端に夕べ明るき日かげさしたり 尾山篤二郎 まんじゅしゃげ
隠沼(こもぬま)の水落尻に生ひなびく蒲の穂むらははやおもおもし 山本友一 北窓
山道に子の折りくるる蒲の穂よすでにし母は観音ならず 中城ふみ子 乳房喪失