短歌(万葉以外)/詩/ 短歌に詠まれた植物・動物・季節

椿を詠んだ短歌1 大船フラワーセンターには,沢山の椿の品種をあつめた一角があります.椿の花は大好きなのですが,傷ついた花が多いのがやや残念.赤角倉という品種のみが,傷のない見事な赤花を咲かしていました. あしひきの八峰(やつを)の椿つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君 大伴家持  とやかへる鷹尾山(たかのをやま)の玉椿霜をば経とも色はかはらじ 大江匡房  積藁の上に大樹の山椿丹念に落す花深紅なり 北原白秋  静かなる椿の花よ葉ごもりに咲きて久しき椿の花よ 若山牧水

昨日立ち寄った大船フラワーセンター. ビオラや菜の花が咲き乱れ,春を感じさせてくれました. 蜜蜂も蜜集め・花粉集めに大忙し. 春の花でありながら,私はなぜか春をあまり感じないツバキ. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/02/20/000…

寒桜を詠んだ短歌  晴れた空に誘われ大船フラワーセンターへ.染井吉野はまだ開花しませんが,早咲きのさくらに会うことができました.大寒桜,玉縄桜,寒緋桜.玉縄桜にはメジロ・ヒヨドリが集まっていました. 寒ざくら表面(うわべ)の恋と人も云え佯(いつは)りて散るものならなくに 与謝野晶子  緋寒桜めざむるばかり散り敷きてなおし咲きをり花のくれなゐ 宮崎智恵  寒ざくら空の光をあつめたる水の反射の奥にひそけき  土屋克夫  寒桜ひらきてさむき空の下我を呼ぶ声の谺きえずも 石川不二子

今日は,カーテンを購入するために,大船ニトリへ.かなりの大型店舗で,品揃えも豊富. カーナビ任せにしたところ,JR大船駅前を通るルートがしめされて---パーキングには入れず(右折できない)--- 次回からは,必ず県道21号経由で行くことにします. 気持…

春の嵐を詠んだ短歌  こまごましたものの置き場所を決めるだけで何時間もかかってしまう引つ越し後の片付け.ひとまず休んで買い物に--- と外へ出てビックリ.嵐でした.  春の嵐吹きて小暗(おぐら)し庭のうへの胡桃(くるみ)の幹は揺すれつつあり 島木赤彦  春のあらし 静まる町の足(ア)の音を 心したしく聞きにけるかも 釈迢空  吹きとよむ春の疾風にもまれつつ閃々(せんせん)としろし山の辛夷は 杜沢光一郎  病める目を凝らさむとゐつ日もすがら春の嵐に白蓮ひかる 成瀬有

引っ越してそろそろ二週間になるのに,未だ片付く気配がない.組み立てていない家具.本は段ボールのまま.こまごましたものの置き場所を決めるだけで何時間もかかってしまう---- ひとまず休んで買い物に--- と外へ出てビックリ.嵐でした. 以前の家なら外…

春の海/春潮を詠んだ短歌2  気持ちのよい青空が広がる1日.片瀬から七里ヶ浜まで歩いてみました.鳩,烏,鳶が舞い,集う人たちは思い思いに春を満喫.浜辺に絵を描く乙女,尺八を吹く老サーファー,わかめを拾うご近所の方---  春潮の岩をめぐりてたつる音沓(くら)き思のなしとはなくに 大岡博  春潮のあらぶるきけば丘こゆる蝶のつばさもまだつよからず 坪野哲久  春の海みんと尾根みち往くほどに相模のうみのけぶりつつみゆ 島田修二  玄海の春の入江は潮満ちて波ひとつまたひとつもみあぐ 阿久津英

一昨日,昨日に続いて,今日も気持ちのよい青空が広がる1日でした. 観光客には評判の悪い鳶の群も. 少し江ノ島寄りに移動すると,今日も富士山が, 浜には,ハト.何を啄んでいるのか,カラスと交代で浜に降りてきていました. 三人組で,浜辺にお絵かき…

春の海/春潮を詠んだ短歌  青空が望めるこの二日間でした.富士山がうつくしく見えた片瀬東浜には,波打ち際で遊ぶ親子,ひっそり昼食をとる老夫婦,そしてサーファーの姿が. かすみしく春の潮路を見渡せばみどりをわくる沖つしら浪 藤原兼実  朝なぎの海人のいさりぞ思ひやる春のうららに日はなりにけり 藤原為家  春の海いま遠(おち)かたの波かげにむつがたりする鰐鮫(わにざめ)おもふ 与謝野晶子  いつとなうわが肩の上にひとの手のかかれるがあり春の海見ゆ 若山牧水

昨日,今日は,江ノ島近くに引っ越して初めてといってよい青空が望める二日間でした. 片瀬東浜には,サーファーもかなり出ていて,波打ち際で遊ぶ親子も. 昨日の午後は,浜で流鏑馬も.私が出かけたのは午前中で,まだ準備中でした. 人混みから離れてご夫…

フキノトウを詠んだ短歌  蕗の薹は,日本人が春を感じる食材.毒性が報告されているにもかかわらず,何物にも代えがたい味と香り---  みづからがもて来(きた)りたる蕗の薹あまつ光にむかひて震ふ 斎藤茂吉  町中の煤(すす)ふる庭は,ふきの薹たちよごれつゝ 土からび居り 釈迢空  さきがけて地を割りそめし蕗の薹あさ黄みどりひとつを摘みぬ 長澤美津  蕗のたうほろほろにがき香さへしてさやかに吾の手につまれけり 馬場あき子

明月院で出会ったフキノトウ. もっと若い段階の花茎をフキノトウとよぶのかとも思いますが,境目がはっきりしないので,このように開花したものもフキノトウと呼ばせていただきます. 雄花と雌花がありますが,上記画像は多分雌花. https://ja.wikipedia.o…

明月院で春見つけ2  人けのない明月院の後庭園では,苔が春の元気さを見せ始め,花菖蒲も芽を出していました.姫あじさいの挿し木の後方に動いていたのは猫のモーミン.春のお庭と裏山で探検中.キジバトも何羽か餌探し.帰り道の脇の川には白鷺の姿も.そして,蕗の薹にも出会いました. 日を受けて開ききりたる蕗の花二つならべる二つうつくし 土屋文明

鎌倉明月院本堂の後の庭園は,3時までは解放されています(寄付金を払う必要がありますが). 花菖蒲と紅葉の時期には賑わいを見せる庭ですが,今の季節,私の他には庭師の方のみでした. 春になって,苔も元気. 花菖蒲も芽を出し始めていました! 庭園の…

明月院で春見つけ1  引っ越し後の後片付けから逃れて北鎌倉明月院まで春見つけに.出会った花は,椿,山茱萸,雪柳,白木蓮(蕾),柊南天,日向水木(蕾),ミモザ(切り花),紫花菜,梅,木瓜.そして,紫陽花の芽,連翹の芽.  曙のもののしめりの深ければ芽ぶける木々の立ちて静けき 若山牧水  おほかたは新芽ほぐれし梅林の日にうとき枝の白梅の花 結城哀草果  春芽ふく樹林の枝々くぐりゆきわれは愛する言い訳をせず 中城ふみ子

今日もまだ曇り空が続いた1日でしたが,引っ越し後の後片付けから逃れて北鎌倉明月院まで春見つけに. 北鎌倉駅を降りるとすぐにあるお寺が円覚寺.北条時宗の招いた無学祖元が開祖の臨済宗円覚寺派の本山. 植物を眺めながら,明月院まで.明月院は臨済宗…

春雨・春の雨を詠んだ短歌2  雨は午前中に上がりましたが,曇り空が続いた1日.雨あがりの砂浜にセキレイ,川にはサギ.海には江ノ島をバックにサーファーが.佐保姫のたつや霞のうすごろもしくしくぬらす春雨ぞふる 藤原為家  くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨の降る 正岡子規  よべ一夜天つ春雨ゆたかに降り今朝ふかく濡れし土のいろかも 木下利玄  忍びやかにけもののよぎる束の間の移り気よ春の雨温かくふる 中城ふみ子

昨日はほぼ一日中降っていた春の雨, 今日昼前には上がりましたが,どんよりとした曇り空が続いた1日でした.夕刻,昨日同様,片瀬東浜へ. 腰越漁港近くから,江ノ島大橋まで歩いてみました. 腰越寄りからみた江ノ島. 腰越漁港 雨あがりの砂浜をセキレイ…

春雨・春の雨を詠んだ短歌1  今日の夕方の江ノ島はかすんでいました.しとしと降る春の雨のためです.春雨と春の雨を分ける考え方もあるようですが,古来,春ふる雨を春雨と呼んだと思われます. 衣手の名木(なぎ)の川辺を春雨にわれ立ち濡ると家思ふらむか 柿本人麻呂歌集  わがせこが衣はるさめ降るごとに野辺の緑ぞ色まさりける 紀貫之  水の上にあや織り乱る春の雨や山の緑をねべて染むらむ 伊勢  花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る 式子内親王

今日の片瀬東浜はしとしと雨.東浜から見ると右手が江ノ島. 夕方の江ノ島はかすんでいました. (鎌倉から江ノ島近くの片瀬海岸に引っ越しました) 左手がやはり雨にけぶる腰越漁港. “今の時期の雨は,「春の雨」と呼び,3月下旬から4月頃のいつまでも続…

木の芽・芽ぶくを詠んだ短歌2  「木の芽は『このめ』が平安時代の習わし」とのこと.古くは「このめ」と読んだものが,現在は「きのめ」とも読む,ただし,新しい「木の芽田楽」などは「きのめ」が基本の読み方になった?  たかだかに芽吹き光れる欅の木われはたしかに癒えたるらしき 古泉千樫  おほかたは新芽ほぐれし梅林の日にうとき枝の白梅の花 結城哀草果  もろ芽たつ窓あけて吾がなげかふとあたたかき夜を立てる月しろ 小暮政次  木の芽立ち春さり来れど死者たちに遅れて白き人と白雲 佐佐木幸綱

今日は二月にしてはとても暖かな1日でした.ニュースでは,記録的な暖かさが4-5日続くとのこと. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240213/k10014356901000.html https://tenki.jp/forecaster/r_fukutomi/2024/02/13/27459.html 土曜日に訪れた鎌倉安国…

木の芽・芽ぶくを詠んだ短歌1  鎌倉妙法寺の庭の花は紅白の梅,水仙,椿.まだ冬ですが,紫陽花や楓は,木の芽が膨らんできていました. 霞たち木(こ)の芽もはるの雪ふれば花なき里も花ぞ散りける 紀貫之  落葉松(からまつ)の萌黄(もえぎ)の芽ぶきけぶりつつ日はたけなはとなりにけるかも 島木赤彦  沙羅双樹芽ぶかんとする山のうへに一日(ひとひ)を居りていにしへおもほゆ 斎藤茂吉  曙のもののしめりの深ければ芽ぶける木々の立ちて静けき 若山牧水

一昨日は,安国論寺の次に,お隣の妙法寺にも参拝していきました. 境内の咲いている花は,安国論寺とほぼ同じ種類. 紅白の梅. 水仙. 椿. 雰囲気のある庭と仁王門. 仁王門の後が,苔階段.いつ見ても,心洗われます. 冬の境内ですが,紫陽花や楓は,木…

トビを詠んだ短歌2  タカ目タカ科.改めて鷹の一種と聞くと,一瞬驚きますが.生息数が多いだけではなく,日本人には古来よりなじみ深い鳥.腐肉食が強調されすぎていますが「容易に得られる餌動物を捕食している」猛禽類です. 手に振りて小魚みすればゆらりゆらり鳶まひくだるわが窓の上に 大岡博  鷹たらず鳶と生まれし夕空にあはれ豊かに映えてゐたるよ 馬場あき子  雨と風と花のふぶきにわしたか科わしたか目の鳶が身ぶるう 鳥海昭子  ひとひらの感じに高く舞ひ上がり鳶はをりをり冬の陽のなか 松坂弘

昨日出かけた安国論寺で,アイフォン画面に飛び込んできたトビ.その舞う姿の美しかつたこと. 鎌倉でも,いえ,日本中どこでも沢山見かける,タカの一種. 改めて鷹の一種と聞くと,一瞬ビックリしてしまいますが. https://peerj.com/articles/14505/ 現在…

トビを詠んだ短歌  鎌倉安国論寺まで散歩.今月の聖語は「総じて餓鬼にをいて三十六種類相わかれて候」.手水鉢は,花がいっぱいの花手水.境内の花は梅.アイフォンの画面に飛び込んできたのはトビ! 一うねの青葉の花の咲き満つる小庭(をには)の空に鳶舞ふ春日 正岡子規  一夜(ひとよ)雨晴れて居りけるわたつみの海のなぎさに鳶は休らふ 斎藤茂吉  芽ぶき木の上に鳶舞ふ朝晴れて向山(むかひやま)のその後山(あとやま)の雪  岡麓  港町/とろろと鳴きて輪を描く鳶を圧せる/潮(しほ)ぐもりかな 石川啄木

快晴の今日は,鎌倉安国論寺まで散歩. 日蓮宗の多くのお寺には,門前に日蓮上人の言葉が「聖語」として掲げられています. 今月は「総じて餓鬼にをいて三十六種類相わかれて候」 左の解説には次のようなことが書かれていました. 自分だけいい思いをしたい…

寒椿を詠んだ短歌  大船フラワーセンターには,梅・桜の対角に,椿園があります.現在は1/5程開花.その中に既に満開のものが二株.寒椿ですね.わが庭の小暗き隅に咲き出でて落魄(らくはく)かこつ寒椿の花 吉井勇  白瓶(しらかめ)に一輪咲けり寒椿朱(あけ)のいろさびてぽつかり明るく 窪田章一郎  寒椿咲きそめにけり幽かなるねがいごともちて生きつがんとす 加藤克巳  寒椿床のくらがりにわが置けり一つ凝(こご)れる花のくれなゐ 千代国一

先日訪れた大船フラワーセンター. 入り口前の広場には,イベリス,ストック,ガーデンシクラメンなどの花が花壇いっぱいに. 「季節の花壇」のコーナーに花が溢れるのはもう少し先かと思います. そして,並んで植えられている梅.半数ほどは咲き始めていま…

冬空を詠んだ短歌2  大船フラワーセンター. 植物たちは,葉を落としていても晴れた空の下で輝いて見えました.コウヨウザン,サルスベリ,クスノキ---  冬空の青のふかきに音たえし昼にて椎の梢がそよぐ 佐藤佐太郎  星みつる冬の夜のそら饗宴のごとくありけり厠の間(あひ)に 宮柊二  かなしめるわれのこころは冬ぞらの欅のうれのいづこを行かむ 河野愛子  冬空の緊(しま)れる藍をみだしつつひるすぎの陽(ひ)はうづ巻きにけり 岡井隆

一昨日訪ねた大船フラワーセンター. 冬の植物たちが,晴れた空の下で輝いて見えました. 昨日も紹介した,梅.そしてプラタナス,アブラナ. コウヨウザン(広葉杉)は中国南部や台湾を原産地とする常緑針葉樹.ヒノキ科ですがスギ属ではなくコウヨウザン属…

冬空を詠んだ短歌1 大船フラワーセンターへ.冬の青空の下,木々や花々とゆったりした時を過ごしてきました.  荒れ暮らす冬の空かなかき曇りみぞれ横ぎる風きほいつつ 式子内親王  眸(め)にしみる暮れしばかりの冬空のあゐいろにして月繊(ほそ)くあり 金子薫園  冬の空澄みて深きに槻(つき)の枝いよいよ繁くいよいよ細し 窪田空穂  冬空のたかきをあふぐ眼に触(さや)りけやきの枝はこまかなるかな 半田良平  北空に夕雲とぢてうつせみの吾にせまりこむ雪か雨かも 斎藤茂吉

大船フラワーセンターへ. 青空が広がり,寒さも忘れ,ゆったりした時を過ごしてきました. 正面の花壇の花たち. ジュラシックツリーは,植物園でしかお目にかかれませんね. 冬のバラ園.剪定と施肥の季節. 植物園の片隅に,外国から送られてきた木々を育…

梅の花を詠んだ短歌5 鎌倉光則寺まで梅を求めて.境内の梅は三分咲きと入つたところ.幹や枝には風格を感じさせる老木も. 梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ 市原王  春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくくる 凡河内躬恒  ひとはいさこころもしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほいける 紀貫之  梅が香を谷ふところに吹きためて入り来む人に染めよ春風 西行  今すぎし小靴のおとも何となく身にしむ夜なり梅が香ぞする 与謝野鉄幹

今日の梅探索は,鎌倉長谷の光則寺まで.鎌倉駅西口から,大谷戸-鎌倉大仏を通る行程は,それほど苦にならない距離です. その光則寺までの道中,梅には出会わず. ストック,エリカ,サザンカ--- 光則寺の門の手前にかなり立派な臘梅.満開でした. 境内に…

梅の花を詠んだ短歌4 鎌倉の寺社の梅は咲き始め,元気な花を楽しめます. 憂(うれひ)なくわが日々はあれ紅梅の花すぎてよりふたたび冬木 佐藤佐太郎  ゆふぐもり寒ききさらぎ紅梅のつぼみの七重八重のくれなゐ 福田栄一  二月(きさらぎ)に入りて二度目の雪降りぬ雪降る中の白梅紅梅 宮柊二  紅梅のさきがけて咲く白梅のただ寂かなるひかりをまとふ 安立スハル  紅梅は亡き娘(こ)の精といつやらに心の中に育みて来し 赤尾鈴子  梅万朶(ばんだ)雪の白玉凍りつつきみが魂なき朝をかがよふ 馬場あき子 

一昨日は鎌倉浄明寺への散歩. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2024/01/22/235624 帰り道は,荏柄天神,鶴岡八幡宮,川喜多映画記念館に立ち寄り,梅の花を楽しんできました. 咲き始めの白梅・紅梅の花は,元気であって大好きです. 荏柄天…

梅の花を詠んだ短歌3  昨日の午後,雨がやんだ直後に,鎌倉浄明寺まで散歩.人は少なく,静かに散策でき,雨あがりで,花たちが元気に見えました. 今日降りし雪に競ひてわが宿の冬木の梅は花咲きにけり 大伴家持  降る雪に色まどはせる梅の花鶯のみやわきてしのばむ 菅原道真  わが宿の八重の紅梅咲きにけり知るも知らぬもなべて訪はなむ 源実朝  しら梅の衣(きぬ)にかをると見しまでよ君とは云はじ春の夜の夢 茅野雅子  つくづくと憂にこもる人あらむこのきさらぎの白梅の花  斎藤茂吉

昨日も今日も,鎌倉は,雨模様の日が続きました.寒くは厳しくはなかったものの. 昨日の午後,雨がやんだ直後に,鎌倉浄明寺まで散歩.とはいっても行きはバスを使いましたが. 雨のせいもあり,人は少なく,静かにお参り・散策できました. かなり以前のお…

梅の花を詠んだ短歌2  鎌倉妙本寺の紅梅は五分咲き.白梅はまだ咲き始め.おんめ様(大巧寺)では,水仙・木瓜・椿も咲き,白梅は小さい方の木では五分咲きといったところ. この寝ぬる朝明(あさけ)の風にかをるなり軒端の梅の春の初花 源実朝  梅の花わづかに開く春寒の静かなる家に人を待ち居り 伊藤左千夫  としふりて幹のなかばに朽ちてなほ花咲く梅に品ぞそなはる 岡麓  しんむじやう——白拍子にて囃されよ色即是空梅咲けるなり 馬場あき子

鎌倉は今日も冬の青空が広がった1日でした. お店を休止中なので,今日も晴れた午後の散歩.一昨日も訪れた妙本寺.そして大覚寺・大巧寺(おんめさま)のおなじみのコース. 妙本寺のロウバイは8分咲き.昨日訪れた宝戒寺では蕾でした. 紅梅は五分咲き.…

梅の花を詠んだ短歌1 鎌倉宝戒寺まで散策.梅の開花の様子を探索しつつ.早咲きの梅は三分〜五分咲き.源平池脇の白梅は八分咲き  春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮らさむ 山上憶良  我が宿の梅の花散るひさかたの天(あま)より雪の流れ来るかも 大伴旅人  酒杯(さかづき)に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし 大伴坂上郎女  君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞしる 紀友則

鎌倉妙本寺では,もう紅梅が5分咲きで,白花も咲き始めていました. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2024/01/14/235421 今日の散歩は,英勝寺-鶴岡八幡宮-宝戒寺.梅の開花の様子を探索しつつ. 今咲いている梅は,早咲きの品種と思われます…

蝋梅・臘梅を詠んだ短歌  冬の鎌倉妙本寺では,梅が咲き始め,ロウバイはほぼ満開になつていました.  しらじらを障子を透す冬の日や室(へや)に人なく臘梅の花 窪田空穂  臘梅の莟も花も啄(ついば)みし鵯(ひよ)は来らず日和つづくに 福田栄一  うつし手に折るとも素心蝋梅は神のいろをぞ咲くやこの花 高橋幸子  臘梅の花ほつほつと新年の窓に顕(た)たせてひそかなるかな 高嶋健一  たがはずに咲ける素心蝋梅の雪従へてうら稚(わか)き花 西村尚

昨日の散歩は.冬の鎌倉妙本寺へ. 寒さが続いていますが,暖冬なのでしょう. 早くも紅梅は5分咲きといったところ. 白花もチラホラ咲き始めていました. そして,満開だったのがロウバイ.栽培品種のソシンロウバイ素心蝋梅ですね. ロウバイは,このブロ…

鷺を詠んだ短歌2 日本で見ることができる白鷺には,何種類かいて,現在最も多く見られるのがコサギのようです. チュウサギ,ダイサギというよく似た,ただし,大きさが違う白鷺も見ることができるとのこと.見分け方があるそうです.私には無理そうですが,コサギの黄色い足ならわかるかも---  月光の青きうしほのなかに浮きいや遠ざかり白鷺の啼く 若山牧水  雪明りしづむ大野の夕凍(ゆうじみ)をまだ渡るなり群の白鷺 木俣修 白鷺の残る一羽のたちしのち夕のみぎはの音すみてきぬ 岡野弘彦

国土地理院の発表では,「最大3メートルの地殻変動」「水平方向に1メートル31センチの移動」があった今回の能登半島地震. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240102/k10014306841000.html https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2024/01/02/23562…

鷺を詠んだ短歌1 正月の源平池には観光客の鯉用の餌を目当てにカモメがやって来ますが,大晦日,由比ヶ浜で出会いました.サギの仲間は田んぼや河で餌探しをするものだとばかり思っていましたが,海岸でも餌探しをするとのこと.  池神の力士舞かも白鷺の桙啄(く)ひ持ちて飛び渡るらむ 長忌寸意吉麻呂  夕立の雲間の日かげ晴れそめて山のこなたを渡る白鷺 藤原定家  秋ちかき月夜の空に声ほそく五位鷺啼けばそよぐ木々の葉 四賀光子  雲ひとひら月の光をさへぎるはしら鷺よりもさや 太田水穂

能登半島大地震で幕を開けた2024年の三が日が終わろうとしています.倒壊家屋の下には,まだ多数の被災者が--- 夕方鶴岡八幡宮へ. 源平池の鴨は,いつもより少ない---夕方だったせいかもしれません.例年,昼間に来ていたときには,鴨に加えカモメも沢山来…

ネコを詠んだ短歌  3日連続で,材木座海岸まで散歩.毎日美しい夕焼けを見ています.昨日は,快晴の下,富士山も眺めることが出来,一昨日は名物猫キイロに出会いました. 猫の頭撫でて我が居る世の中のいがみいさかひよそに我が居る 伊藤左千夫  まど ひくき はま の やどり の まくらべ に ひねもす なきし ねこ の こ の こゑ 会津八一  猫の足ふんであわてて午後三時なんにもかんがえていなかったのか 加藤克巳  窓ちかく鳴きつつとほる猫のこゑ今宵の雨は土に音せぬ 藤沢古実

今日は,最高気温が15℃と,冬としては暖かな1日でした. 夕方,鎌倉材木座海岸まで散歩.帰りはバスを利用しましたが. 入日に間に合って,美しい夕焼けを見ることができました. 残念ながら,富士山は見ることができませんでしたが. 実は,昨日,一昨日に…

ネギを詠んだ短歌  鎌倉本覚寺では正月・鎌倉えびすの準備が進んでいました.今年も一週間を切り,妙本寺の黄葉も最終盤.戎橋ではカワセミに会うことができ,得した気分で帰宅.植えてある泥葱を使つて夕飯の支度. 葱のぬた食(を)しつつふともこの葱はかたき葱ぞと父の宣(の)らしぬ 北原白秋  いつよりか心再びまどひつつわが刻みゐる冬葱の白 尾崎左永子  葱白き茎立ち見えて乾きたりふるさとに来てふるさと思う 林安一 ひとり身を羨まれつつもてなされ訣るるときに葱匂う掌よ 武市房子

今日も鎌倉は晴天.昨日同様寒いのですが,昼間の太陽はぬくもりも運んできていました. 子どもたちが駆け回っていた,鎌倉本覚寺(日朝さま).正月に向けて本堂には五色幕が. 鎌倉えびす(初えびす)は,境内にある戎堂の恵比須さまのお祭り. かなり大き…

白菜・冬菜を詠んだ短歌  夕焼けの富士を見た浜からの帰りに,スーパーで白菜を買いました. 6時頃だったのに,棚の白菜はかなり減っていました.一時間遅かったら,買えなかった可能性大.寒い冬の鍋物に欠かせない野菜です. 白菜はみながら白し月の夜と霜の光にうづたかく積む 北原白秋  白菜の葉茎を染むる茜いろこのごろしるく夕焼けにけり 木俣修  白菜を割る音鋭しどこかで一人死ぬにあらずや 高瀬一誌

今日は快晴. 夕方,材木座海岸から富士山もきれいに見ることができました. 昨日はかなり雲もあったのですが. 昼間,太陽の下では暖かさも感じたものの,今日もまた寒い1日でした. 浜からの帰りに,スーパーによって,買い物.白菜を買いました. 6時頃…

寒しを詠んだ短歌3  野毛山動物園に行って来ました.強風で寒い中,来園者はチラホラでしたが,動物たちの多くは姿を見せてくれていました.ショウジョウチキ,クロツラヘラサギ,インドライオン,ホンドタヌキ,アカエリマキキツネザル,フサオマキザル,アビシニアコロブス,ベニイロフラミンゴ,キリン,そしてレッサーパンダ.  さむき道を何時まで従きてくる犬かわれは頒けてやる倖せもたぬ 中城ふみ子  さむざむと陰を洗へるしまひ湯の底にくらみを見つめながらに 辰巳泰子

風も強く,とても寒い1日でした. 横浜での買い物の帰りがけ,野毛山動物園に行って来ました. 野毛山動物園 入園料無料の親しみやすい動物園ですが,さすがにこの寒さ.来園者はチラホラ. しかし,多くの動物たちは,寒さにもめげず,姿を見えてくれてい…

寒しを詠んだ短歌2  午後,明月院へ.楓はほとんど散っていましたが,裏庭でしばらく静かな一時を楽しみました. うつし身はかなしきかなや篁(たかむら)の寒きひかりを見むとし思ふ 斎藤茂吉  川水の寒けくもあるか夕づく日たださすところにたてるさざなみ 岡麓  さむざむと御堂の縁に端居(はしい)して眼を放つ不二の明る妙はも 北原白秋  寒ざむと 佐渡に向ひて波ひろし.ひたすら 海の色さだまりぬ 釈迢空  さむざむと晴れし空より最善を尽くすがごとく陽のふりそそぐ 山下陸奥

明日から寒波との予報. 今日もそれなりに寒い日でしたが,午後,紅葉がほぼ終わった,冬の明月院を訪ねました. 一ヶ月前参拝したときには紅葉前.今年の明月院の訪問は,紅葉の時期を見事に外したものになってしまいました. 北鎌倉駅から,円覚寺の前を通…