短歌(万葉以外)/詩/ 短歌に詠まれた植物・動物・季節

ザクロの園芸品種を集めたが一画が大船フラワーセンターにあります.日本でザクロの実があまり好まれなかったのは,鬼子母神の仏教説話が広まったせいとされていますが,本来,鬼子母神が持つザクロの実は吉祥果=めでたい果物.ギリシャ神話でもザクロは冥府の果物とされることがありますが,最高位の女神ヘーラーを象徴する果物.「赤い種が,女性の懐妊する力を象徴している」と考えられています. まなじりを上げておもえば短か夜を柘榴の花の散りつくす風 馬場あき子

大船フラワーセンターには,ザクロの園芸品種が集めてある一画があります. 花を愛でる品種で,花の時期にここを訪れたのは初めてのような気がします. 「天絞り」「葉絞り」「後絞り」「白絞り」などと命名されていました.ザクロの花がとても愛されていた…

ウツギ(卯の花)の鉢植えが,大船フラワーセンターに展示してありました. 卯月=旧暦4月に咲く日本の初夏を告げる代表的な花で,’夏は来ぬ’で歌われた「季節の花」としての展示だと思います.隣に展示してあった梅花空木は別属ですが,フラワーセンターにもあったサクラウツギは,ウツギ属の園芸種.妙法寺で立派は花が見られるサラサウツギは,卯の花の変種になります. 五月雨もむかしに遠き山の庵(いほ)通夜する人に卯の花生けぬ 与謝野晶子

昨日訪れた大船フラワーセンターに,ウツギの鉢植えが展示してありました. ウツギは,別名ウノハナ(卯の花). 大好きな花なので,このブログでも数回取り上げています.以下,解説の多くはくり返しになります. 卯の花は,卯月=旧暦4月に咲くので,この…

大船フラワーセンターの花壇の花は植え替え時期でかなり少なくなっていましたが,十分楽しむことができました.ロベリア,マリーゴールド,----.シャクヤクは終わっていましたが,バラは十分楽しめました. 薔薇は薔薇の悲しみのために花となり青き枝葉のかげに悩める 若山牧水  薔薇挿せる帽子のくらき翳(かげ)にして交すなる戦争(いくさ)までの日の恋 塚本邦雄  大輪を掲ぐる薔薇の太茎の醜々(しこしこ)しくて影も動かず 馬場あき子

今日は快晴.午後,大船フラワーセンターへ. 「シャクヤクはもう終わっている頃.バラには間に合うかしらん?」 花壇の花は,かなり少なくなっていましたが,そこはフラワーセンター.十分楽しむことができました. ダイアンサス(なでしこ) ロベリア. ヒ…

ヒルガオを詠んだ短歌  今日は快晴.いつもの弁天橋から,そして湘南平から,富士がよく見えました.湘南海岸には浜昼顔が開花しています. 山原の茅原(チフ)に しをるる昼顔の花。見過ごしがたく 我ゆきつかる 釈迢空  昼顔の花まとふ垣のつづきゐて次第にやさし死へのおもひは 藤井常世  髪羞(やさ)し汝が挿しくれしひるがほもひかりあえかにゆふべは萎えぬ 河野裕子 

今日は快晴. ベランダへ出ると富士山がよく見える. 早速,午後,弁天橋まで.気持ちがよい5月の富士! 思い立って,かねてから一度行こうと思っていた湘南平まで車を走らせました. 湘南平からの富士です.日が傾きはじめていたので,逆光.あまり美しく…

おんめ様〜妙本寺〜本覚寺 鎌倉在住時には週に一二度訪れていた散歩コース.今の季節,沢山の花と若葉を楽しむことができます.ツツジ・ハクチョウゲ・テイカカズラ・イワフジ---.5月の楓と妙本寺二天門.そして,センダン(栴檀,楝 おうち/あふち)の花. 羽根そよがせ雀楝の枝に居り涼しくやあらむその花かげは 北原白秋  栴檀のうすむらさきに咲きつげる窓おしひらきしばしの息つぎ 長沢美津  栴檀はうすむらさきの雪のごと花咲きてしあわせなりしかの日よ 石川不二子

今日は午前中は雨模様の曇り. 午後,用事で鎌倉へ.晴れ間が見えてきた夕方,かつては週に一二回は訪れていた散歩コース(大巧寺〜妙本寺〜本覚寺)へ足を伸ばしました. 大巧寺(おんめさま)の八幡通寄りの山門と山門脇に美しく花開いていたツツジ. 普段…

富士を詠んだ短歌3  富士颪(おろし)ひょうぎょうと吹き凍りたる湖(うみ)のもなかに波青くあがる 前田夕暮  不二ヶ嶺はいただき白く積む雪の雪炎(せつえん)たてり真澄む後空(あとぞら) 北原白秋  しづけさは湖(うみ)にうつれる富士のかげ一鳥(いってう)飛ばず一魚踊らず 吉井勇  富士の嶺の上に到るやただに消ゆるうすべに色に雲のいくひら 若山喜志子  富士ヶ嶺は奇(くし)びの山か低山(ひきやま)の暮れ入る時を赤富士と燃ゆ 吉野秀雄

5月5日子供の日は,稲村ヶ崎まで行って来ました. 一番近いのは江ノ電稲村ヶ崎駅ですが,鎌倉高校前で降りて,海を見ながらの散歩. 鎌倉高校前で降りると,さすが連休,浜には人も多く出ていました.中国・韓国の若者にとても人気のスポットになっていま…

富士を詠んだ歌2  一昨日出かけた江の島稚児ヶ淵から見た富士:気持ちを和ませる美しさ. 富士の嶺の煙もなほぞ立ちのぼるうへなきものはおもひなりけり 藤原家隆  風になびく富士のけぶりの空に消えてゆくへも知らぬわが思ひかな 西行  ひさかたの三日月の湖ゆふ暮れて富士の裾原雲しづまれり 伊藤左千夫  富士のねの石の室屋の岩枕ゆめ白くもの上にただよふ 佐佐木信綱  遠つあふみ大河ながるる国なかば菜の花さきぬ富士をあなたに 与謝野晶子

GW後半,4日目の今日.空には雲がどんより立ちこめて,もちろん富士も見えず. 5月3日,4日,5日,ほとんど雲はなく晴れ渡った3日間でした. 夕焼けの富士は,真冬ほどクリアではないものの,とても美しく,気持ちを和らげてくれました. 江の島弁天橋…

富士を詠んだ短歌1 この3日間は快晴.江の島弁天橋,江の島稚児ヶ淵,鎌倉稲村ヶ崎からは,夕焼けの富士を望むことができました.  田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ不尽の高嶺に雪は降りける 山部赤人  富士の嶺に降り置く雪は六月の十五日に消ぬればその夜降りけり 高橋虫麻呂歌集  富士の嶺を高み畏み天雲もい行きはばかりたなびくものを 高橋虫麻呂歌集  我妹子に逢ふよしをなみ駿河なる富士の高嶺の燃えつつかあらむ 作者未詳

GW後半は,晴天に恵まれ,藤沢・鎌倉からは,この3日間,毎日,富士を望むことができました. 5月3日,弁天橋入口から富士を望む 5月4日,江の島稚児ヶ淵から富士を望む 5月5日稲村ヶ崎から富士を望む 富士を詠んだ短歌1 (古今短歌歳時記より) 古…

楠若葉を詠んだ短歌2 小学生ティーボール大会を見に行って来ました.球場のまわりは,木々の新緑が見事.  わが肌に汗にじみつつ現身(うつしみ)やなにかみにくし散れる樟の葉 佐藤佐太郎  わが立てる楠の木かげを吹きすぎし風ははるかの池にかがよふ 田中順二  饂飩たべてまた彫るという楠の香のただよう階をわれは帰りゆく 鎌田弘子  まひるまの嵐吹きみだる樟わか葉明るき影をふりしきらせり 古泉千樫

昨日,平塚総合公園の野球場で行われた小学生(一年生〜三年生)のティーボール大会を見に行って来ました 思ったより数段面白く熱の入った応援をしてしまいました. http://www.teeball.com/aboutteeball/ 平塚総合公園のサッカー場は,湘南ベルマーレのメイ…

連休初めての晴れた日,初夏へ向かう季節を感じさせてくれる陽射しでした.海を眺めに小動岬まで.途中出会った麦仙翁は,例年連休に花をひらく可憐な花.今年は諦めていたのに出会えてちょっと感激.江ノ島をながめ,腰越漁港により,片瀬東浜の人出の多さを確かめて,帰りにはかしわ餅を購入.連休を味わいました.みどり子のおひすゑいはふかしは餅われもくひけり病癒ゆがに 正岡子規  窓近くつばめ飛びかふ五月ばれ厨(くりや)にをりてかしは餅つくる 三苫京子

連休初日の昨日は小雨交じりの曇りでしたが,今日は一転,暖かな日ざしが降り注ぎ,初夏を感じさせる1日でした. 午後は,海を見ようと,小動岬までぶらっと散歩. 少し大回りして腰越の裏道を抜けていくと,麦仙翁の花に出会いました.この何年か,毎年育て…

月見草・待宵草を詠んだ短歌  境川の遊歩道横には,マツヨイグサ属の花々が咲いていました.月見草,待宵草はありませんが--  きりぎりすきこゆる夜の月見草おぼつかなくも只ほのかなり 長塚節  衰ふる夏の日ざしにしたしみて昼も咲くとや野の月見草 若山牧水  たゆたひて今日のをはりの陽光あり月見草の花次次にひらく 君島夜詩  月見草あしたにみれば紅(こう)をおび廃れしのちに何の華やぐ 斉藤史  抱ける子が手にもちしかばわが前の灯(ともしび)の如し待宵草は 田谷鋭

昨日に続いて今日も曇り.時々小雨もという少しうっとうしい日でした. 夕方散歩は,あまり気乗りしないまま,境川の河畔へ.道中,垣根の低木や草地に広がる草の花々に出会いました. どれも普段見過ごしてしまう花ですが,とても立派な名前がつけられてい…

松の花を詠んだ短歌 昨日の散歩で出会った花は22種.最後は,神社の境内の松の花.地味ながら元気いっぱいの花. よべの雨に小径の石の現れてすがしくもあるか散る松の花 島木赤彦  夕日かげまばゆき松の下枝の花粉こぼれてちるがけぶれり 岡麓  うす曇る空に並み立つ松の花伸び急ぐ日を我らも忙し 窪田空穂  庭に見るつつじ山吹あかるくてさびしくもあるかこの松の花 若山牧水  微かに松の花粉こぼるる夕まぐれまた逢はむ日の思ほゆるなり 大西民子

昨日は,近所のカタバミを探すついでに,ぐるりと境川の河畔を散策. 今日はその途中で出会った,おそらく,その多くをほとんどの人が振り返らない花たちを,かたはしから集めてみました.数えてみると22種. ハルジオン ハルノノゲシ タンポポ ヒメツルソバ…

酢漿草(かたばみ) 清少納言も取り上げ(「かたばみ,綾の紋にてあるも,ことよりはをかし」),何人かの近代歌人も好んで歌題にしています.群れ生いし酢漿草(かたばみ)の葉のか青きに時雨ふりつつさびしきろかも 斎藤茂吉  三つよりて仲むつまじき酢漿草のかたちくづさずあり経むものを  若山喜志子  やっかいな雑草であると同時に花・葉は愛らしい.十円玉をこすったり,実をそっと触ってはじける種を眺めて楽しんだりすることもできます.

酢漿草(かたばみ)は,最もよく見かける雑草の一つですが---- https://ja.wikipedia.org/wiki/カタバミ 古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)をみて,かなり名の通った歌人によって短歌に詠まれていることを知りました. どの歌も,さりげなくかたばみを慈し…

平塚花菜(かな)ガーデンで出会った花々2 バラ園には沢山の品種が植えられていますが,この日咲いていたのは一種一輪.比較的沢山の品種が揃えられていたのがマグノリア.遠くから目立つていたのは花ではなく唐楓と楠木の新芽.キクモモの赤は印象的.りんごも花を咲かせていました. 石狩の都の外の/君が家/林檎の花の散りてやあらむ 石川啄木  林檎さくところを行けり紅に白まじはりて日に照らふ花 佐藤佐太郎

昨日訪れた,平塚花菜(かな)ガーデンで出会った花. 今日は木本編. この花菜ガーデンで,最も充実している花木は,バラかと思いますが,まだ時期が早く,咲いていたのは,一つだけ! この日のバラ園では貴重なこのバラの品種名は,オールドプラッシュ.ネ…

平塚花菜(かな)ガーデンで出会った花々1  花菜ガーデンはかなり広い敷地で,広い芝生と沢山の花々を楽しむことができました.一般の植物園にはなかなか見られない大きな花壇に植えられたチューリップをはじめ,沢山の草花に出会うことができました: ラナンキュラス,アフリカンデージー,ハゴロモギク,デージー,キランソウ,イベリス,イブキジャコウ,ローズマリー,ナノハナ,キンギョソウ,ヒメキンギョソウ,ルピナス,オオイヌノフグリ,シロツメクサ,カタバミ,タンポポ---

平塚にある,花菜(かな)ガーデンまで行って来ました. 別名,神奈川県立花と緑のふれあいセンター. https://kana-garden.com/ かなり広い敷地で,広い芝生と沢山の花々を楽しむことができました. 出会った花々の写真を今日明日紹介しようと思います. 今…

八重桜・遅桜を詠んだ短歌2 「八重桜は異様ことやうのものなり」(兼好法師)と思う方もおいでかとは思いますが,私は考えを改めています.八重桜も見事です. 咲垂るる八重ざくら花ゆらぎ出でいや照りつつも重くしづまる 窪田空穂  いやはてに鬱金ざくらのかなしみのちりそめぬれば五月はきたる 北原白秋  八重ざくら春の名残りと散り頻(し)くに心は寄りて木の下に来つ 村松英一  ここに孤(ひと)りとなりゆくことの淋しさに今朝のひかりに咲く八重桜 柴谷武之祐

今満開の鎌倉極楽寺の八重桜.とても見事な花でした. 以前は,桜は一重.八重は邪道などと思っていましたが,そんなことはありませんね. しかし,中には,「桜は一重に限る」と思っておられる方もおいでになるように思います.徒然草の兼好法師がその代表…

八重桜・遅桜を詠んだ短歌1 鎌倉極楽寺の八重桜もほぼ満開で見応えがありました.その内に一株は,鎌倉ではかなり名の通つた桜で,時宗お手植えのサクラとの言い伝えも. 待たせつつおそくさくらの花により四方の山べに心をぞやる 和泉式部  いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな 伊勢大輔  ふるさとの春を忘れぬ八重桜これや見しよにかはらざるらん 式子内親王  夏やとき春やおくれし卯の花に咲きあはせたる遅ざくらかな 小沢蘆庵

妙本寺でも満開だった八重桜. 昨日参拝した鎌倉極楽寺には,二株の大きな八重桜があって,こちらもほぼ満開で見応えがありました. その内の一株,転法輪殿前の桜は,オオシマザクラの突然変異種とされ,北条時宗のお手植えと伝えられる「八重一重咲分桜」…

満天星/ドウダンツツジの花を詠んだ短歌  鎌倉妙本寺には,かなり大きなドウダンツツジがあつて,今,満開.漢字には灯台躑躅と満天星がありますが,花の時期には満天星が似合います.「霊水ががかかって壺状になり,満天の星のように輝いたという故事」に由来す漢字とのこと. どうだんの花のこぼれのしろじろと月夜になりし庭松の露 太田水穂  春梅雨(はるつゆ)の止むとしもなき満天星のうつむく花に明らけく降る 福田たの子  筒花(つつばな)のうすべにに垂り花ゆれゆれて水の辺さらさどうだんの夢 加藤克

昨日は,鎌倉での所要のついでに,妙本寺まで足を伸ばしました. ソメイヨシノ,カイドウの花は終わっていましたが,4月5月の妙本寺の楓の新芽はとても美しくて大好きです. ヤマブキが所々に咲いていて,日蓮上人像横の灯籠を飾る八重の花は,とても鮮や…

霞を詠んだ短歌2  あはれなりわが身のはてや浅緑つひには野ベの霞と思へば 小野小町  春霞こめたる町のゆかしくてみおろしつつも高きに登る 窪田空穂  ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ秋もかすみのたなびきて居り 若山牧水  わが居る 天の香具山。/おともなし。/春の霞は、谷をこめつつ 釈迢空  ちちのみの父を葬りし日の晩霞濃かりしことはのちも思はむ 葛原妙子

今日は全国で真夏日続出との報.片瀬海岸には,水着姿の方も出ていたと伝えていました. https://news.ntv.co.jp/category/society/4a9c564c22404943b21872fa8a52f008 鎌倉に用事があって,片瀬海外に戻ってきたのは夕方6時頃.昨日よりは雲が多いものの,上…

霞を詠んだ短歌  今日の片瀬東浜では,夕方になつても多くの人がよく晴れた春の日を満喫していました.弁天橋から見る丹沢,富士は春霞の中にぼんやり浮かんでいました.  ひさかたの天の香具山このゆふべ霞たなびく春立つらしも 柿本人麿歌集  春の野に霞たなびきうらがなしこの夕かげにうぐひす鳴くも 大伴家持  かすみたち木の芽もはるの雪降れば花なき里も花ぞ散りける 紀貫之  高砂の尾上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ 大江匡房

今日はよく晴れ,気候も申し分のない一日でした. 夕方,片瀬東浜海岸へ. もう5時も回っていたのに,浜では膝まで海に入る人を含めて,まだ数多くの人が,春の海を楽しんでいました. 「写真撮って良いですか?」とお父さんに聞くと心よく「どうぞ」といっ…

チューリップを詠んだ短歌  鬱金香(チュウリップ)のにほいのもとにわづかなる眩暈(めまい)をおぼえ昼もおもひぬ 北原白秋  起きてみて,/また直ぐ寝たくなる時の/力なき眼に愛でしチュリップ! 石川啄木  チューリップを幾百種類咲かしめて朝(あした)明るき公園の径(みち) 細川謙三  身を爆ぜて咲かば咲きなむ乙女子のしろじろと群れて見るチューリップ 馬場あき子  チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月 俵万智

藤沢市の長久保公園へ行って来ました. どの様な公園か?というと--- 公式の的確な紹介文がみつからないので,鎌倉藤沢茅ヶ崎の紹介をしているサイト「かまふち」の紹介文をお借りすると: https://www.shonan-kamafuchi.com/nagakubo_park/#i 長久保公園は…

アセビ(アシビ 馬酔木)を詠んだ短歌  磯の上に生(を)ふる馬酔木を手(た)折らめど見すべき君が在りと言はなくに 大伯皇女  池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を扱入(こき)れな 大伴家持  庭隈のあしびの花に夕雨のあかるうそそぐ見つつ語らふ 佐佐木信綱  のぼり来し比叡の山の雲にぬれて馬酔木の花は咲きさかりけり 斎藤茂吉  水の辺の馬酔木の若木小さけれどほのかに群れて花つけぬらし 北原白秋  来る道は 馬酔木花咲く日の曇り—。大倭(ヤマト)し遠き 海鳴りの音 釈迢空

鎌倉に所用で出かけました. 少し早く着いたので,鎌倉駅からすぐのおんめさま(大巧寺)へ.鶴岡八幡宮の二ノ鳥居近く, 大好きな,このブログでも一番多く取り上げてきた寺院. いつ行っても花に出会えるお寺です.今日であった花々は: ヤマザクラとトキ…

うらうら/うららかを用いた短歌  うらうらに照れる春日にひばりあがり心悲しもひとりし思へば 大伴家持(前半は,情景ですよね.後半で自分の気持ちが詠われるんですけど,その,コントラストが現代の感覚に通じるような気がしますね) 麗らかや此方(こなた)へ此方へかがやき来る沖のさざなみかぎり知られず 北原白秋  うらうらと照れる光にけぶりあひて咲きしづもれる山ざくら花 若山牧水  うららかに一天晴れて吹く風のとよみの音も耳にのどけし 尾山篤二郎

久しぶりによく晴れ,うららかな春の日を満喫できる一日. 青空の下,江ノ島付近の波は穏やか.弁天橋から見た富士は,春の富士.遠く霞んだ姿を見せていました. 晴れた日に,かえって物憂くなることもあるかとは思いますが---今日は,澄んだ青空を見ただけ…

三浦の新キャベツ/春の日を詠んだ短歌  三浦の畑へ行って来ました.今の主力は春キャベツ.桜の開花と同じく,早いと思った収穫が遅れたそうです.畑では春の日を満喫してきました. けふのみと思へばながき春の日もほどなくくるる心地こそすれ 西行  つれづれと物おもひをれば春の日のめにたつものは霞なりけり 和泉式部  春の日は ただのどかにてあらましを—.人の家出でて目に沁む青空 釈迢空

今日は,友人の農家さんを訪ねて三浦まで行って来ました. 畑は,三浦半島の先端に近い高台. 途中,長者ケ崎でトイレ休憩. 夏は海水浴で賑わう場所.今はウィンドサーフィンと春の水辺を楽しむ親子連れの方々でチラホラ. 遠くに江ノ島が見える浜辺で,見…

桜を詠んだ短歌4 鎌倉鶴岡八幡宮の段葛,源平池の桜は,まさに満開.妙本寺の桜も見応えがありましたが,本覚寺の八重桜は早くも散っていました. さくらさくら美(うま)しさくらの幻惑にのめり込めたる日本浪曼派 道浦母都子  わが胸をのぞかば胸のくらがりに桜森見ゆ吹雪ゐる見ゆ 河野裕子   日本的美意識なぞの埒の外咲きたくて桜うすべにを吐く 松平盟子  愛恋はさくらはなびら散りぬれば散りぬるあとの風のなごりよ 紀野恵

今日は,鎌倉鶴岡八幡宮の桜を見に行って来ました. 段葛の桜,源平池の桜,今がまさに見頃.ほぼ満開でした. 宝戒寺,妙本寺の桜も満開.特に妙本寺の桜はなかなか見応えがありました. 本覚寺の八重桜は,かなり散ってしまっていて、やや残念.今年の桜は…

桜を詠んだ短歌3 後世は猶 今生だにも 願はざる わがふところに さくら来てちる(達観の見事さというのがあって,ちょっとね,武士の気概みたいな,大げさに言うと,そういう覚悟まで感じさせる歌).夜半さめて 見れば夜半さえ しらじらと 桜散りおり とどまらざらん(心の中の全部を占めて桜が流れていくような感じがして,ちょっと壮絶な歌だな〜と思うんですけどね)  精神の外の面の闇に桜咲きざくりと折られゆく腕がある 岡井隆  さくら散るさくらしぐれにほのじろき声満ちて空を母ひかるなり 川口美根子

おそらく,短歌に最も多く詠まれてきた桜. 手許の「古今短歌歳時記(鳥居正博編著)教育社」1289ページのうち,13ページは「桜の花」が直接詠われた歌で占められています(別稿「花」にも明らかに桜を詠んだ歌があります.全13ページに「桜の葉」は含めてい…

桜を詠んだ短歌2 桜は短歌の題材として多く取り上げられ,秀歌も数多くあります.NHK究極の短歌50選のうち三首が桜の歌! 桜花 ちりぬる風の なごりには 水なき空に 浪ぞたちける 紀貫之  後世は猶 今生だにも 願はざる わがふところに さくら来てちる 山川登美子  夜半さめて 見れば夜半さえ しらじらと 桜散りおり とどまらざらん 馬場あき子 

桜は,短歌に最も多く詠まれた花といえるのではないでしようか. 一昨年,NHKBSプレミアム/Eテレで,「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選」という番組がありました. https://www.nhk.jp/p/tankahaiku100/ts/L8R11WY878/ その冒頭のナレ…

唱歌「さくらさくら」/桜を詠んだ短歌1  四月は別名卯月ですが,これは陰暦四月の別名.私の頭の中では,「桜が咲くのは弥生」と唱歌「さくらさくら」によってすり込まれています.この唱歌が「さくらさくら」が教育現場に登場するのは1941年.歌詞は音楽取調掛撰『箏曲集』(1888年)編纂時につけられたもの.「歌詞のテーマを桜にしぼったことも,誰もが知る歌となった要因かもしれない」 ただ一度生れ来しなり「さくらさくら」歌ふベラフォンテも我も悲しき  島田修二 

四月に入りました. 今日の片瀬東浜は,曇り空でしたが,吹く風は温かく,浜の人々も春の雰囲気を楽しんでいるように見えました. 昨日訪れた鎌倉では,遅れていた関東地方の桜も開花し,「春,たけなわ」といっていいでしょう. 四月は別名卯月ですが,これ…

妙本寺の春/海棠を読んだ短歌  午後,嵐となる前に,霊園と,鎌倉妙本寺へ参拝.妙本寺では,レンギョウ,ツツジ,楓の若葉が楽しめました.そして桜が開花!そして花海棠も!  今日もまた海棠の実を啄(は)みに来ぬい隠れたまへわが帰るまで 良寛  くれなゐの唇いとどなまめきて雨にしめれる花の顔よき 橘曙覧  ともし火の明るき屋に海棠のひと鉢こぞる花のいきざし 太田水穂  はろばろとなりゆく人か海棠の花咲きそめし庭にわかるる 岡田弘彦

このブログを書いている今,硝子窓に風が吹き付けてマンションにもすきま風が.このところ,このような天気が続き,桜の開花も遅れるばかりですが--- 午後,嵐となる前に,春のお彼岸には行けなかった霊園と,その帰りに,鎌倉妙本寺へ参拝.どちらでも春の…

辛夷を詠んだ短歌2  蕾がひらく直前の形が,子供のこぶしに似ているところから「こぶし」とよばれたとのこと.漢字「辛夷」はモクレンの漢名で,日本では慣用的にコブシに当てられています. 風たちて枯木の梢(うれ)のそよぐ山白き辛夷の色黄昏れむとす 岡野弘彦  咲き初めていたましきまで花白き辛夷よ今日は汚れず了へよ 蒔田さくら子  花巻は花の牧とぞ道の辺のこぶしの花は雨に濡れつつ 宮崎昇  落葉していきなり花芽かがやける辛夷の木あり我のめのまえ 石川不二子

「コブシの名前は,蕾がひらく直前の形が,子供のこぶしに似ているところからの名」(日本国語大辞典)とのこと. ネット上で画像を探したのですが--- 似ていますか? https://www.google.com/search?辛夷 つぼみが開く直前 コブシは,漢字では辛夷ですが---…