鎌倉に所用で出かけました.
少し早く着いたので,鎌倉駅からすぐのおんめさま(大巧寺)へ.鶴岡八幡宮の二ノ鳥居近く,
大好きな,このブログでも一番多く取り上げてきた寺院.
いつ行っても花に出会えるお寺です.今日であった花々は:
ヤマブキ.
ヒメウツギ.こちらはまだ蕾.もうすぐ花開きそうです.
リキュウバイ(ウメザキウツギ).
ヒルムシロ.
ザクロの芽とマツの蕾.
そして
アセビ/アシビ(馬酔木).
アセビは,この時期,鎌倉のお寺・寺院では必ずと言っていいほど出会う花.個人のお宅の門の横や垣根の横にも花を咲かせています.
葉に,ツツジ科の植物の多くが持つ毒(グラヤノトキシン類)の一つ(グラヤノトキシンⅠ /アセボトキシン)を持っていて,奈良の鹿が食べ残すことで知られていますが,万葉集に十首ほど詠まれていて,万葉歌人に愛された花としても有名です.
アセビ(アシビ 馬酔木)を詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
磯の上に生(を)ふる馬酔木を手(た)折らめど見すべき君が在りと言はなくに 大伯皇女(おおくのひめみこ) 万葉集巻二 166
(斎藤茂吉 万葉秀歌: 石のほとりに生えている,美しいこの馬酔木の花を手折りもしようが,その花をお見せ申す弟の君(大津皇子)はもはやこの世に生きておられない.)
池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を扱入(こき)れな 大伴家持 万葉集 巻二十 4512
庭隈のあしびの花に夕雨のあかるうそそぐ見つつ語らふ 佐佐木信綱 山と水と
花時の馬酔木に月のまさやけく白々にほふ木下くぐりつ 岡麓 宿僕詠草
のぼり来し比叡の山の雲にぬれて馬酔木の花は咲きさかりけり 斎藤茂吉 白桃
水の辺の馬酔木の若木小さけれどほのかに群れて花つけぬらし 北原白秋 風隠集
来る道は 馬酔木花咲く日の曇り—。大倭(ヤマト)し遠き 海鳴りの音 釈迢空 倭をぐな
馬酔木の花うつろふ傍(そば)に枯木なす合歓は五月に入らば芽ぶかむ 山口茂吉 赤土
数花の白き馬酔木は灯(ひ)映りにみどり含みて房に垂りつつ 宮柊二 群鶏
ひとり知るけやきの道の花あしび花終る日の雲凍る色 近藤芳美 黒豹
土曜午後ここの馬酔木に来て坐る何もかもわが失いしはて 田井安曇 経過一束
昏れ残る障子明かりの花のいろ馬酔木のかたに春は来てゐる 稲葉京子 柊の門
https://ja.wikipedia.org/wiki/アセビ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ブルーベリー