妙本寺でも満開だった八重桜.
昨日参拝した鎌倉極楽寺には,二株の大きな八重桜があって,こちらもほぼ満開で見応えがありました.
その内の一株,転法輪殿前の桜は,オオシマザクラの突然変異種とされ,北条時宗のお手植えと伝えられる「八重一重咲分桜」.
材木座の桐ヶ谷が原産であることから「桐ヶ谷桜」と呼ばれています.
足利尊氏が京都御所の紫宸殿の左近の桜として植えたとの言い伝えも.https://www.yoritomo-japan.com/hana-kesiki/sakura/yaehitoe-gokurakuji.htm
八重桜とは
(青山花茂
https://www.aoyamahanamohonten.jp/blog/2022/02/22/types-of-sakura/)
「八重桜」は品種名ではなく,八重咲きの桜の総称で,多くの品種が存在します.青山花茂に入荷する八重桜の代表的なものとしては淡いピンクの普賢象(フゲンゾウ)と,それよりは少し濃いピンクの関山(カンザン)が大半です.
これらは,染井吉野からやや遅れて4月に開花するので,4月中頃の桜の活け込みでは八重桜を使用します.八重桜の大半が,ルーツにオオシマザクラを持つ「里桜(サトザクラ)」から作られた栽培種.ただ,里桜も古くから人里近くに定着していた栽培種の総称であり,オオシマザクラに何の桜を交配したのか,育種経過はよくわかっていません.
https://www.atomi.ac.jp/univ/wordpress/wp-content/uploads/2017/02/結合:781852構内サクラガイド単頁-4から7.pdf
https://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/shogetsu/
https://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/oshimazakura/
多くの八重桜とルーツが異なるとされているのが,ナラノヤエザクラ.
カスミザクラの変種とされていて,奈良で八重桜といえばこの桜をさし,伊勢大輔が詠んだ八重桜と考えられています.
八重桜・遅桜を詠んだ短歌1
(古今短歌歳時記より)
(昨年もこの題目で取り上げたので, https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/04/04/000037
一部重複します)
待たせつつおそくさくらの花により四方の山べに心をぞやる 和泉式部 和泉式部集
いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな 伊勢大輔 伊勢大輔集・小倉百人一首
九重に久しくにほへ八重桜のどけき春の風としらずや 藤原実行 金葉集
春は来て遅くさくらの梢かな雨のあしまつ花にやあるらん 西行 聞書集
八重桜やどのさかりの近ければこの春の日ぞ光そふらん 藤原定家 拾遺愚草
ふるさとの春を忘れぬ八重桜これや見しよにかはらざるらん 式子内親王 続後撰集
夏やとき春やおくれし卯の花に咲きあはせたる遅ざくらかな 小沢蘆庵 六帖詠草