新芽を楽しむ / 楓の新芽を詠んだ短歌(大船フラワーセンターで出会った春の花 5) 春には,花とともに新芽も楽しめます.八重桜の新芽はかわいらしく見えます.若芽が赤く美しい珍しいアセビの品種も.垣根のように並べられたオウゴンマサキは花と見まがうばかり.チャンチンの若芽の美しさ.そして,新芽と言えば楓(出猩々,大盃---) 散りはてし桜が枝をさしまぜて盛りをみするわかかへでかな 藤原為家 眠足り覚めし朝けに楓(かへるで)の風の中なる若葉のみどり 宮柊二

日曜日に出かけた大船フラワーセンターの花と,その花を詠った短歌(見つけられた場合のみですが)を取り上げています.今日は---

 

新芽を楽しむ

大船フラワーセンターという名前の通り,花を中心に楽しむ植物園ですが,春には,木々の新芽も楽しめます.

八重桜は,花が豪華ですが,花の間から見える新芽もかわいらしいですね.

ハナズオウ(花蘇芳)は,初めて見る花.

新芽がどうなっているか,注意して見なかったので,全くおぼえていませんが,画像を見たところ,枝の先端の方には若芽が出ていますね.花だけだ見ていると赤い塊が枝についているように見えますが,葉と一緒に見た方が美しいようにも思います.

ベニバナトキワマンサクは,街中でも見かけます.

トキワマンサクの変種で,マンサク属で常緑樹はトキワマンサクのみのようです.変種のベニバナトキワマンサクは葉も赤みがかっていますが,葉も楽しむのなら,むしろトキワマンサク:「緑の葉に黄色みを帯びた白い花が輝くように映えます」.https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-911

https://ja.wikipedia.org/wiki/トキワマンサク

Loropetalum chinense1.jpg

ハナミズキ

ピンクでも白でもないクリーム色?やや変わった色のハナミズキハナミズキは,葉はあまり鑑賞対象にはならないかなと思います.

若芽が赤いアセビ.珍しい品種で,フラワーセンターで育種したとのこと.白と赤のコントラストが楽しめます.

オウゴンマサキの新芽の美しさは,花と見まがうばかりですね.

街中でも見かけますが,フラワーセンターではかなり長い塀のようなかたちで植えてありました.

チャンチン(香椿)は,若芽の色が美しいことでよく知られています.中国では若芽を食用にもするとか.

「椿」という漢字は,もともとはこのチャンチンを意味する漢字で,日本で「椿」を「つばき」と読むのは,いわゆる国訓(=漢字の、中国での用法に合致しない、日本でのよみ方).

中国でツバキを意味する語は山茶花.日本ではサザンカと読みますね.

中国語でサザンカを意味する語は茶梅.


フラワーセンターには,楓も何種類か植えられています.あまり目立ちませんが--

春に新芽が赤い品種も楽しめますが,大好きなのは,緑色の新芽.

楓の新芽を詠んだ短歌

子持山若鶏冠木(かへるで)のもみつまで寝もと我(わ)は思(も)ふ汝(な)はあどか思(も)ふ  作者未詳 万葉集巻一四 三四九四

 

 

散りはてし桜が枝をさしまぜて盛りをみするわかかへでかな  藤原為家 夫木抄

 

 

くれなゐの若葉しげらす低楓手のべて撫でぬやはら若葉を  窪田空穂 鏡葉

 

 

わがむかふ渓に朝日のみなぎりてただにし撓(しな)ふ楓の若葉  松村英一 松村英一全歌集

 

 

(かへるで)の若葉立つ枝うちゆすれ移り動きて小鳥はゐたる  高田浪吉 家並

 

 

眠足り覚めし朝けに楓(かへるで)の風の中なる若葉のみどり  宮柊二 群鶏