椎若葉を詠んだ短歌  五月の鎌倉の山は,一部黄色く盛りあがっているところがあります.椎の木の花と若葉のためと思います.五月の椎の花と若葉はなかなかのもの.  根もとより枝を重ねる大き椎五月のわか葉空にして照る 窪田空穂  椎わか葉あふり燃えたつ焔のした逃れし夜半を幻覚とせむ 土岐善麿  椎わか葉にほい光れりかにかくに吾れ故里を去るべかりけり 古泉千樫  春闌(た)けてひととき匂ふ若葉かな道に陰して椎の老木は 松村英一

5月も二週目に入って,季節の変わり目を強く感じるこの頃です.

わが家のヤマアジサイ.まだ,固い蕾のままの株の方が多いのですが---

一つの株では,花が開き始めました!

下の写真では,まわりの装飾花の部分だけですが,中央部の真花もほころび始めている花もあります.

 

クレマチス 篭口(ロウグチ)も開花.

 

鎌倉を囲む山は,一部黄色が目立っています.おそらく,スダジイの開花によるものでしょう.

若葉がかなり黄色いクスノキなども山の黄色に関与しているでしょうが.

 

一週間前に出かけた大船フラワーセンターでは,まだほんの一部ですが雄花の開花が始まっているスダジイに出会いました.

近くで見ると,花だけではなく,莟や花を付けている枝の若葉もかなり黄色いことが分かります.

黄色く色づいている山も,椎の花と若葉によって黄色く見えているのだと思います.

 

椎の木と言えば,秋の椎の実ばかりを思い浮かべてしまいますが----

https://ja.wikipedia.org/wiki/スダジイ

https://www.uekipedia.jp/常緑広葉樹-サ行/スダジイ/

 

5月の花と若葉もなかなかのもの.

花を詠んだ短歌はみつからなかったのですが,椎若葉を歌題にした短歌は,古今短歌歳時記(鳥居正博)にまとめられていました.


椎若葉を詠んだ短歌

 

吾がめづる椎の若葉は高き屋に梢を近く見らくまされり  伊藤左千夫 左千夫歌集

 

根もとより枝を重ねる大き椎五月のわか葉空にして照る  窪田空穂 丘陵地

 

椎わか葉あふり燃えたつ焔(ほのお)のした逃れし夜半を幻覚とせむ  土岐善麿 夏草

 

椎わか葉にほい光れりかにかくに吾れ故里を去るべかりけり  古泉千樫 屋上の土

 

春闌(た)けてひととき匂ふ若葉かな道に陰して椎の老木は  松村英一 河社

 

三階の窓のすぐ外におほいかかり盛りあがりたる椎の木の若葉  植松壽樹 枯山水