鎌倉で見かけた秋の花で,短歌に詠まれたものを集めています.
今日はノギク.
光則寺で見かけたノギク.
ノギクと呼ばれる植物には,シオン属の花と,キク属の花があります.
私には,なかなか見分けられませんが,ヨメナとノコンギクの見分け方は:
「ヨメナが花序の基部で分枝し、個々の花の柄は長いのに対して、ノコンギクの花序は途中から上の方で分枝するので、個々の花の柄は短い。記憶用にはこれを称して“ヨメナはハナの下が長い”という」とありました(https://ja.wikipedia.org/wiki/ヨメナ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヨメナ https://ja.wikipedia.org/wiki/ノコンギク https://mikawanoyasou.org/data/inakagiku.htm https://ja.wikipedia.org/wiki/ノジギク
野菊を詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
古歌には,野菊を詠んだ歌は見当たらないそうです.
何を指しているかはっきりしない万葉集のももよぐさ(百代草)は,ヨモギ,ツユクサ,マツなどとともに野菊も候補に挙がつています.
父母が殿の後方(しりへ)のももよ草百代(ももよ)いでませ我が来(きた)るまで 生玉部足國(みむべのたるくに) 万葉集巻二十 4350・4326
秋草のいづれはあれど露霜に痩せし野菊の花をあはれむ 伊藤左千夫 左千夫歌集
水色に塗りたる如きおほぞらと白き野菊のつづく路かな 与謝野晶子 青海波
大石のうへに草生ふころとなり菊科の花が一つにほへる 斎藤茂吉 つきかげ
遠くあそびしみじみかへる夕冷えに淡色さゆるみちのべ野菊 木下利玄 紅玉
よき友にたより吾がせむこの庭の野菊の花はいや咲きにけり 古泉千樫
藪陰に野菊の花の少しある去来の墓のありどころかな 吉井勇 天彦
獣の如く荒める行軍にそよぐ野菊を見返りし汝は 岩波香代子 冬の虹
のぢ菊の一むら白き吾があたり立ち行き妻は草むらに入る 近藤芳美 静かなる意志
乱れあひまたしんしんと野菊さけりわが顔流れゆくごとき陽の中 森岡貞香 白蛾
二三本野菊が枯れてゐるばかり別れし夫と夢に会ふ原 中城ふみ子 乳房喪失
最近取り上げた秋の植物を詠んだ短歌は,次の記事にまとめてあります.
萩 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/15/235429
秋海棠 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/20/234045
彼岸花 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/26/204048
秋草 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/30/001637
げんのしょうこ https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/10/05/224013