彼岸花・曼珠沙華を詠んだ歌 安国論寺に彼岸花が美しく咲いていました.少し離れた一輪は,大きな灯籠の下,花茎を傾けて. 曼珠沙華茎立(くきだち)しろくなりにけりこの花むらも久しかりにし 北原白秋  曼珠沙華のするどき象(かたち)夢にみしうちくだかれて秋ゆきぬべき 坪野哲久  無人駅より彼岸花点点と単線ほそく海に沿ひたり 雨宮雅子  秋の色ここにきはまり曼珠沙華わが身力(しんりき)も昏(くら)くそめたる  馬場あき子 曼珠沙華忽然と生(あ)れて消えてゆくわが日常はみじろがざれば 辰巳泰子

日曜日,安国論寺に行って来ました.

日蓮立正安国論を書いたとされるお寺.

お隣の妙法寺同様,裏山に登れます.見晴らしはこちらの方がややよいかと思います.

夏場は見えなかった富士山もうっすらその姿を現していました.そして,稲村ヶ崎から続く海の煌めきは,今日もすばらしいものでした.

 

庭には銀杏が,そして山道にはドングリが沢山落ちていて,秋になったことを実感します.

 

そして,境内の一角には,彼岸花が美しく咲いていました.少し離れた一輪は,花茎を傾け大きな灯籠を慕っているかのようでした.

 

彼岸花曼珠沙華を詠んだ歌

(古今短歌歳時記より)

一部再掲

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/09/19/234849

 

曼珠沙華茎立(くきだち)しろくなりにけりこの花むらも久しかりにし  北原白秋 白南風しらはえ

 

赤々と地よりしみみにつくづくと火を焚きあぐる曼珠沙華の花  尾山篤二郎 雲を描く

 

冬の光さしそふ野ベの曼珠沙華青々としたる一むらの草  斎藤茂吉 暁紅

 

悪事さへ身に染みつかぬ悲しさを曼珠沙華咲きて雨に打たるる  前川佐美雄 大和

 

曼珠沙華のするどき象(かたち)夢にみしうちくだかれて秋ゆきぬべき  坪野哲久 桜

 

彼岸花咲きて閉ぢたる山峡(やまかひ)を婚礼の列,葬(はふり)に似て歩む  斉藤史 密閉部落

 

子が折りて遊びし花か枕べに灯影吸ひつつ曼珠沙華の花  宮柊二 晩夏

 

無人駅より彼岸花点点と単線ほそく海に沿ひたり  雨宮雅子 鶴の夜明けぬ

 

彼岸花くらきなだりに咲くものをたれかはかなきこゑに呼びゐる  藤井常世 草のたてがみ

 

秋の色ここにきはまり曼珠沙華わが身力(しんりき)も昏(くら)くそめたる  馬場あき子 ふぶき浜

 

曼珠沙華忽然と生(あ)れて消えてゆくわが日常はみじろがざれば  辰巳泰子 紅い花