昨日はシロバナマンジュシャゲ(シロバナヒガンバナ)を中心に,彼岸花についてのいくつかの話題を取りあげました.
ヒガンバナ属Lycoris には,ヒガンバナ,シロバナマンジュシャゲの他,13〜20種が属していて,園芸用に開発された品種も数多いとされています.
以前にも紹介しましたが,改めて,画像をお借りしてを集めてみました.
園芸店では「リコリス」の名前で紹介されることが多いようです. リコリス 新・花と緑の詳しい図鑑
https://ja.wikipedia.org/wiki/ナツズイセン
理想の植木を見つけに行こう!|日本列島植木植物園ウェブサイト
リコリス インカルナータ | ミヨシグループ MIYOSHI GROUP&CO.,LTD.
「an important cultural icon in Japan(日本における重要な文化的アイコン」
と紹介されているように,原風景を形づくって日本人に特別な意識を呼び覚ます植物の一つだろうと思います.
そうであるなら,古来より短歌に詠われていても良さそうなものですが---
近代に至るまで詠われることはなかったようです
(万葉集の「いちし」がヒガンバナとする説はあるものの---)
古今短歌歳時記では,「仏教色やどことない不気味さがあるせいか---」とその理由を推測していますが---
以下,明治期以降の短歌から,何首か紹介します.出典は古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社).
花の力が強いせいか,籠もる活力も大きい歌が多いように思います,
冬の光さしそふ野ベの曼珠沙華青々としたる一むらの草 斎藤茂吉 暁紅
曼珠沙華茎立しろくなりにけりこの花むらも久しかりにし 北原白秋 白南風しらはえ
彼岸花咲きて閉ぢたる山峡(やまかひ)を婚礼の列,葬(はふり)に似て歩む 斉藤史(ふみ) 密閉部落
子が折りて遊びし花か枕べに灯影吸ひつつ曼珠沙華の花 宮柊二 晩夏
無人駅より彼岸花点点と単線ほそく海に沿ひたり 雨宮雅子 鶴の夜明けぬ
秋の色ここにきはまり曼珠沙華わが身力(しんりき)も昏(くら)くそめたる 馬場あき子 ふぶき浜
曼珠沙華忽然と生(あ)れて消えてゆくわが日常はみじろがざれば 辰巳泰子 紅い花