ヒルガオを詠んだ短歌 秋らしい雲と青空が広がって土曜昼すぎ.海蔵寺まで散歩.秋らしいうろこ雲の広がる清々しい午後でした. 山原の茅原(ちふ)にしをるゝ昼顔の花.見過ごしがたく 我ゆきつかる 釈迢空  線路沿ひの夏くさのはら昼顔の夢のはかなさ十歳(とお)ごろより知る 前川佐美雄  昼顔の花まとふ垣のつづきゐて次第にやさし死へのおもひは 藤井常世  髪羞(やさ)し汝が挿しくれしひるがほもひかりあえかにゆうべは萎えぬ 河野裕子

昨日土曜日は,夕方から雨もポツポツ降ってきた鎌倉ですが,昼すぎまでは秋らしい雲と青空が広がっていました.

昼すぎに用事も兼ねて鎌倉海蔵寺まで行って来ました.

 

海蔵寺の萩はもうほぼ終わり,紫苑もかなり傷んだ花になっていましたが,お寺と青空,うろこ雲がマッチして,秋のすがすがしさを満喫できました.

芙蓉の花は,まだまだ元気.

 

そして,苔の庭の所々には,リンドウが.美しい花です.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/10/30/235623

男なきに泣かむとすれば竜胆がわが足もとに光りて居たり  北原白秋 桐の花
 

むらさきの花袋ひらかぬりんだうが光すがけき露を支ふる  生方たつゑ 雪の音符

 

りんだうは目を張りひらく木の下はいまだ濡れいるあかつきの雨  川口美根子 ゆめの浮橋

 

 

海蔵寺から戻る道すがら,道沿いの家々や道ばたの花を眺めて,のんびりと歩きました.

 

セイタカアワダチソウに埋もれることなく茂った薄.すでにあかくなっている柿.

 

タマスダレ.南米原産のヒガンバナ科の植物.今の時期,あちこちで見かけます.わが家にも.

 

ヒメソバ(溝蕎麦)とヒメツルソバ(姫鶴蕎麦/カンイタドリ).どちらもイヌタデ属のかわいらしい花です.

 

そして,ヒルガオ(昼顔).アサガオがサツマイモ属なのに対して,こちらはヒルガオ属.

日本在来種と言われています.漢名は鼓子花.アサガオにない風情を感じます.

 

ヒルガオ(昼顔)を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

溝川の岸の草むら鼓子花(ひるがお)の一つ咲けるが葦にからめり  岡麓 涌井

 

山原の茅原(ちふ)にしをるゝ昼顔の花.見過ごしがたく 我ゆきつかる  釈迢空 海やまのあひだ

 

線路沿ひの夏くさのはら昼顔の夢のはかなさ十歳(とお)ごろより知る  前川佐美雄 捜神

 

道らしき畑の畝間を過ぎくればおくれて咲けるひるがほの花  岡山たづ子 木の根

 

昼顔の群落に降る雨を言い掌(て)にのせてやる冷たき花を  岡井隆 斉唱

 

昼顔の花まとふ垣のつづきゐて次第にやさし死へのおもひは  藤井常世 紫苑原野

 

髪羞(やさ)し汝が挿しくれしひるがほもひかりあえかにゆうべは萎えぬ  河野裕子 ひるがほ