レモンを詠んだ短歌1  臘梅に加え,早くも梅の花も.道中,レモンが実るお宅に何軒も遭遇しました. 黑貝のむきみの上にいたたれる檸檬の汁は古詩にかも似る 斎藤茂吉  六月のある日のあさの嵐なりレモンをしぼれば露あをく垂る 前川佐美雄  鮮黄のレモンを一つ皿に置きあさひとときの完き孤りよ 葛原妙子  檸檬割いて唾あふるるを羞(やさ)しめりこの友わが手もて殺さずば  塚本邦雄  百千のレモンの山をくずれゆく一顆がしろし海の薄暮に 馬場あき子

風の強い一日.

今日の散歩コースは,いつもの海岸は避けて,龍口寺近くの常立寺(じょうりゅうじ),本連寺を参拝して,片瀬山近くまで.

常立寺,本連寺ともに日蓮宗:「龍口寺輪番八家寺」として,明治19年まで住職を置かなかった龍口寺を支えてきたお寺です.

https://www.yoritomo-japan.com/page139rinban.htm

どちらも,手入れがよく行き届いた,気持ちの良いお寺です.

植えられている植栽では,どちらでも,今,臘梅が見頃.

 

水仙と椿/山茶花は常立寺.

 

常立寺のしだれ梅はまだ蕾.紅梅が開花しはじめていましたが,見頃はまだ先かと思います.

一方,本連寺では,白梅,紅梅が早くも見頃.満開までもう少し.早いですね.

 

その後の散歩の道では,3軒のお宅でレモンが沢山実っていました.柑橘類の中で,今,最も多く植えられている品種なのかな?と思わされました.

 

 

レモン/檸檬を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

黑貝のむきみの上にいたたれる檸檬の汁は古詩にかも似る  斎藤茂吉 遠遊

 

若き日に剥ぎし樹肌のにほいしてレモンの果(み)落つ潮風の土  五島茂 気象

 

六月のある日のあさの嵐なりレモンをしぼれば露あをく垂る  前川佐美雄 植物祭

 

鮮黄のレモンを一つ皿に置きあさひとときの完き孤りよ  葛原妙子 橙黄

 

ぎこちなき型(かたち)を持ちて香を放つきめだち荒き和産のレモン  長沢美津 水面

 

レモンひとひら洋酒に浮きてさびしさのわらわらとする身も落花めき  久禮田房子 炎道

 

檸檬割いて唾あふるるを羞(やさ)しめりこの友わが手もて殺さずば  塚本邦雄 青き菊の主題

 

百千のレモンの山をくずれゆく一顆がしろし海の薄暮  馬場あき子 飛花抄