台風は,関東地方を直撃することはなく,通り過ぎました.しかし,ここ何日かは雨or曇.
今日は,台風接近以前に撮った写真から.
「秋の雑草・庭の花」3
「秋の雑草・庭の花」1 yachikusakusaki's blog
「秋の雑草・庭の花」2 yachikusakusaki's blog
まずは,秋の雑草で,最も親しまれている?エノコログサ.
ネコジャラシですね.この草で,本当にネコをじゃらして遊んだ方も多いのでは?「小犬の尾に似ているのでこの名がある」といわれていますが.
カナムグラ.(金葎)
「葎」という漢字が,もともとカナムグラをさす?(角川字源).カナムグラよりヤエムグラの方がより知られているように思いますが,「葎」という漢字がぴったりの雑草はこのカナムグラ.
日本語「葎」は,一般的には「単独で広い範囲に生い茂って草むらを作る草の類」の意味ですが,実際,カナムグラのことを「むぐら」と呼ぶこともあるようです.
カラムシ.ナンバンカラムシ.
カラムシは漢字で「苧」.
カラムシの漢名は「苧麻」ですが,「苧麻」はナンバンカラムシのことを指しているとされるとするのが一般的.麻繊維の原料として有名ですね.
先日は別種のカラムシ属植物を見ましたが(「秋の雑草・庭の花」2 yachikusakusaki's blog),今回は名前を確かめることができました.
しかも二種類が,すぐ近くに生育.
海蔵寺のシオン(紫苑).
シオンという名前を初めて聞いたとき,欧米の名前かと思ったものです.
そして紫苑という漢字を見たときには,花の名前とは思いませんでした.中国名が紫苑なんですね.
シベリア・モンゴル・中国・朝鮮などに分布していて(日本国語大辞典),日本には平安時代には渡来していたとのこと(ニッポニカ).
古今集に「しおに」として詠われ,枕草子では色の名前として用いられています.
古今集 441
しをに 読人知らず
ふりはへて いざふるさとの 花見むと こしを匂ひぞ うつろひにける
(わざわざ昔なじみの場所に花を見ようと意気込んで来たのに、その姿はもう色褪せていた.
「こシヲニほひぞ」の部分に題の 「紫苑(しをに)」が含まれている。古今和歌集の部屋 )
枕草子 138段
「今日、宮にまゐりたりつれば、いみじう、物こそあはれなりつれ。女房の装束、裳(も)、唐衣(からぎぬ)、折にあひ、たゆまで侍ふかな。御簾のそばのあきたりつるより見入れつれば、八、九人ばかり、朽葉の唐衣、薄色の裳に、紫苑、萩など、をかしうて居並みたりつるかな。----」
枕草子「殿などのおはしまさでのち」原文と現代語訳・解説・問題|清少納言 | 四季の美
「今日、中宮の御所に参ったところ、とても寂しくされている悲しい様子でした。女房の衣裳も、裳や唐衣が季節に合っていて、きちんとした身なりで中宮にお仕えしていました。御簾の脇の開いているところから覗き見をすると、8~9人ほど、朽葉の唐衣、薄紫色の裳に、紫苑や萩など、色とりどりの綺麗な衣裳で並んで侍っていました。----」
ここでは「紫苑」も「萩」も色彩の名前として使用されています.
精選版日本国語大辞典
▽はぎ【萩】
②襲かさねの色目の名。また、その色目の衣。夏の萩の襲には、表が青で裏が赤または紫、秋の萩の襲には、表が蘇芳すおうで裏は萌葱もえぎ。織色では経青、緯蘇芳の表で、裏は青とする。はぎがさね。はぎの衣きぬ。
*枕(10C終)一四三(一三八?) 「朽葉の唐衣、薄色の裳に、紫苑・はぎなど、をかしうて」
▽し‐おん‥ヲン【紫苑・紫菀】
②「しおんいろ(紫苑色)」の略。
*枕(10C終)一四三(一三八?) 「八九人ばかり、朽葉の唐衣、薄色の裳に、しをん、萩など、をかしうて居並ゐなみたりつるかな」