唱歌「さくらさくら」/桜を詠んだ短歌1  四月は別名卯月ですが,これは陰暦四月の別名.私の頭の中では,「桜が咲くのは弥生」と唱歌「さくらさくら」によってすり込まれています.この唱歌が「さくらさくら」が教育現場に登場するのは1941年.歌詞は音楽取調掛撰『箏曲集』(1888年)編纂時につけられたもの.「歌詞のテーマを桜にしぼったことも,誰もが知る歌となった要因かもしれない」 ただ一度生れ来しなり「さくらさくら」歌ふベラフォンテも我も悲しき  島田修二 

四月に入りました.

今日の片瀬東浜は,曇り空でしたが,吹く風は温かく,浜の人々も春の雰囲気を楽しんでいるように見えました.



昨日訪れた鎌倉では,遅れていた関東地方の桜も開花し,「春,たけなわ」といっていいでしょう.

 

四月は別名卯月ですが,これは陰暦四月の別名.

今日四月一日は,旧暦では二月二三日とのことですから,まだ陰暦三月=弥生にもなっていませんが----

私の頭の中では,「桜が咲くのは弥生」と唱歌「さくらさくら」によってすり込まれています.

 

https://www.worldfolksong.com/songbook/japan/sakura.htm

さくら さくら

やよいの空は 見わたす限り

かすみか雲か 匂いぞ出ずる

いざやいざや 見にゆかん

 

 

この唱歌は日本を代表する楽曲となっていて,外国人に「日本」をイメージさせる時,また,特に外国人が日本に親しみを表明する時にはほぼ必ず演奏されるように思います.(一時期は「SUKIYAKI」だったかもしれませんが)

 

なにせ,かのプッチーニ蝶々夫人に中に取り入れているのですから.


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「作者不詳の日本古謡」とされていますが,その歴史に関しては,音楽之友社のウェブ読み物ONTOMOが興味深い記事(宮城道雄記念館資料室長千葉優子氏への聞き取り)を掲載しています.

https://ontomo-mag.com/article/column/sakurasakura/

是非お読みになることをお薦めします.

大まかにまとめると:

 

・音楽教科書の定番と思われがちだが,「さくらさくら」が教育現場に登場するのは、1941年(昭和16)に文部省が出版した『うたのほん 下』が最初.

 

・楽曲として最初に掲載されたのは,音楽取調掛撰『箏曲集』(1888年).題名は「桜」.この箏曲集に「旧 咲た桜」とあることから,江戸時代以来の箏の手ほどき曲と考えられる.

ただし曲についての江戸時代の資料はない.

(音楽取調掛:世界に通用する新しい日本の音楽の創造と音楽教育の調査研究を目的として、1879年に文部省内に設立された機関)

 

・“やよいの空は”とする現在の歌詞(1941年「うたのほん下」では“野山も里も”とする別バージョン)は音楽取調掛撰『箏曲集』編纂時につけられた.したがって「日本古謡」という言い方はややそぐわない.

江戸時代の「咲た桜」の歌詞は桜に限ったものではなく,植物の名所を連ねたものだった.

「咲た桜」歌詞(年代不詳): 咲いた桜 花見て戻る 吉野は桜 竜田は紅葉 唐崎の松 常盤常盤 深緑

 この箏曲集編纂時に,歌詞のテーマを桜にしぼったことも,誰もが知る歌となった要因かもしれない.なぜなら,日本人はとにかく桜が好きだから.

 


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桜を詠んだ短歌1 

(古今短歌歳時記より

島田修二の歌以外は以前取り上げたものです: https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/04/02/234220

 

今日の為と思ひて標(し)めしあしひきの峰(お)の上(え)の桜かく咲きにけり  大伴家持 万葉集 巻一九・四一五一

 

さくら花ちりぬる風のなごりには水なきそらに波ぞ立ちける  紀貫之 古今集 春下・八九

 

春深み嵐の山の桜ばな咲くと見し間に散りにけるかな  源実朝 金槐集 春・八二  

 

さくほどの光りとなりてうすうすと霞あひたるこずゑの桜  太田水穂 冬菜  

 

ひとひろに青みを帯びて咲く桜夕べとなりて見通す街に  近藤芳美 埃吹く街  

 

さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり  馬場あき子 桜花伝承  

 

桜花ちれちるちりてゆく下の笑いが濡れているゆうまぐれ  佐佐木幸綱 群黎

 

ただ一度生れ来しなり「さくらさくら」歌ふベラフォンテも我も悲しき  島田修二 花火の星

 

https://www.youtube.com/watch?v=vxiaghdUxl4

 

https://ameblo.jp/sakuramitih31/entry-12665237069.html