鎌倉の桜を紹介してきました.
今日は.このシリーズの最終回として,鶴岡八幡宮の桜をとりあげ,数多ある桜を詠んだ歌からいくつかを紹介したいと思います.
鎌倉鶴岡八幡宮の桜といえば----
何と言っても八幡通のいわゆる「段葛(だんかずら)」
:「葛石(かずらいし)を積んで周囲より一段高く作った参詣道」 (葛石=社寺の建物の基壇などの上端の縁にあって、縁石(へりいし)を兼ねる長方形の石)
植え替えて樹齢が若返り,寂しい年が続いていましたが,今年は元の華やかさを取り戻してきていました.
現在の鶴岡八幡宮で,一番桜が楽しめるのは源平池のまわりの桜です.
こちらは樹齢も高くどこの桜と比べてもひけをとらないと言えるでしょう.
桜を詠んだ短歌
今日の為と思ひて標(し)めしあしひきの峰(お)の上(え)の桜かく咲きにけり (万葉集・一九・四一五一) 大伴家持
さくら花ちりぬる風のなごりには水なきそらに波ぞ立ちける (古今集・春下・八九) 紀貫之
春深み嵐の山の桜ばな咲くと見し間に散りにけるかな (金槐集・春・八二) 源実朝
さくほどの光りとなりてうすうすと霞あひたるこずゑの桜 (冬菜) 太田水穂
ひとひろに青みを帯びて咲く桜夕べとなりて見通す街に (埃吹く街) 近藤芳美
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり (桜花伝承) 馬場あき子
桜花ちれちるちりてゆく下の笑いが濡れているゆうまぐれ (群黎) 佐佐木幸綱