寒椿を詠んだ短歌  大船フラワーセンターには,梅・桜の対角に,椿園があります.現在は1/5程開花.その中に既に満開のものが二株.寒椿ですね.わが庭の小暗き隅に咲き出でて落魄(らくはく)かこつ寒椿の花 吉井勇  白瓶(しらかめ)に一輪咲けり寒椿朱(あけ)のいろさびてぽつかり明るく 窪田章一郎  寒椿咲きそめにけり幽かなるねがいごともちて生きつがんとす 加藤克巳  寒椿床のくらがりにわが置けり一つ凝(こご)れる花のくれなゐ 千代国一

先日訪れた大船フラワーセンター.

入り口前の広場には,イベリス,ストック,ガーデンシクラメンなどの花が花壇いっぱいに.

「季節の花壇」のコーナーに花が溢れるのはもう少し先かと思います.

そして,並んで植えられている梅.半数ほどは咲き始めていました.満開も良いのですが,咲き始めの花たちは初々しい感じがあって,私は大好きです.

 

フラワーセンターには所々にサザンカが植えられています.

満開をやや過ぎた感じですが,まわりに花が少ない中,目立っていました.

 

梅・桜が並んで植えられているコーナーの対角に椿園があります.

https://www.fcofuna-kanagawa.jp/guide/



花をつけているのはまだ1/5程度でしたが---

 

 

中にはほぼ満開に近い株も.花を落とし始めていました.

(品種名の確認を怠って,名前がわかりません.散る時に,花ごと落ちる椿の性質に近い品種です.)

 

こちらは,立寒椿という品種.同じく満開で,花は散り始めています.

立寒椿は,花弁が1枚ずつ散っていました.サザンカの性質を受け継いでいる品種です.

 

寒椿についての解説は,様々で,微妙に異なった説明となっています.

サザンカと呼ばれている品種が,カンツバキ(ツバキとサザンカの交雑種)を指す場合も多い」としているサイトもあります.

上記の立寒椿については,「和名カンジロウをさす」とするサイト(GKZ植物辞典),「樹高が高いものがタチカンツバキ」とするサイト(植木ペディア)があります.

一方,全てのサイトに共通しているのは,「ツバキとサザンカの交雑種と言われている」という点.「言われている」というところが微妙ではありますが.

 

 

植木ペディアの解説

https://www.uekipedia.jp/常緑広葉樹-カ行/カンツバキ/

カンツバキ/かんつばき/寒椿

・ツバキ科ツバキ属の常緑小高木で、サザンカとツバキの交雑種(異論もあり)のうち、背丈が高くなりにくく、八重咲きあるいは半八重咲きになる品種群の総称。一般的にサザンカという場合、カンツバキを指すことも多い。

・カンツバキの代表的な品種は「獅子頭」「勘次郎」であり、関西では古来、シシガシラと呼ぶことが多かった。また、樹高によってハイカンツバキ(這寒椿)とタチカンツバキ(立寒椿)に大別することがあり、前者は植え込みに、後者は公園や緑地の生垣に使われる。

 

 

かぎけんウェブの解説:

https://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/hana-kantsubaki_large.html

カンツバキ(寒椿)

開花期:11月~3月

カンツバキ(寒椿)とは、ツバキ(椿Camellia japonica)とサザンカ山茶花 Camellia sasanqua)の交雑種とされる. 花弁と雄蕊が合着している椿の特徴と、花弁が一枚ずつ散る山茶花の特徴及び性質を合わせ持っています。

冬の代表的な花木であり八重咲きの薄紅花が出回っていますが、赤や白、桃色の一重や八重咲きもあります。葉は暗緑色で小さな槍形をしており葉縁に鋭い鋸歯があります。

・カンツバキ系園芸品種群

サザンカ獅子頭、学名:Camellia sasanqua 'Shishigashira' )を中心に作出されました。 園芸品種には、‘獅子頭’(シシガシラ、C. sasanqua ‘Shishigashira’)、山茶花 曳馬乙女(サザンカ 'ヒクマオトメ' 、学名:C. sasanqua 'Hikuma-otome')等

学名:Camellia hiemalis Nakai(カメリア・ヒエマリス・ナカイ)

 

 

寒椿を詠んだ短歌 

(古今短歌歳時記より)

 

わが庭の小暗き隅に咲き出でて落魄(らくはく)かこつ寒椿の花  吉井勇 風雪

 

寒椿取りつつありし日をここに移り来しかもこの寒椿  若山喜志子 筑摩野

 

雄蕊のあらはにみえて寒椿ひらきてふとし厚葉のままに  松田常憲 秋風抄

 

白瓶(しらかめ)に一輪咲けり寒椿朱(あけ)のいろさびてぽつかり明るく  窪田章一郎 雪解の土

 

おほかたの雪消えしころ寒椿さく道のべは雪凍りをり  佐藤佐太郎

 

寒椿咲きそめにけり幽かなるねがいごともちて生きつがんとす  加藤克巳 青の六月

 

寒椿床のくらがりにわが置けり一つ凝(こご)れる花のくれなゐ  千代国一 陰のある道