寒しを詠んだ短歌2  午後,明月院へ.楓はほとんど散っていましたが,裏庭でしばらく静かな一時を楽しみました. うつし身はかなしきかなや篁(たかむら)の寒きひかりを見むとし思ふ 斎藤茂吉  川水の寒けくもあるか夕づく日たださすところにたてるさざなみ 岡麓  さむざむと御堂の縁に端居(はしい)して眼を放つ不二の明る妙はも 北原白秋  寒ざむと 佐渡に向ひて波ひろし.ひたすら 海の色さだまりぬ 釈迢空  さむざむと晴れし空より最善を尽くすがごとく陽のふりそそぐ 山下陸奥

明日から寒波との予報.

今日もそれなりに寒い日でしたが,午後,紅葉がほぼ終わった,冬の明月院を訪ねました.

一ヶ月前参拝したときには紅葉前.今年の明月院の訪問は,紅葉の時期を見事に外したものになってしまいました.

 

北鎌倉駅から,円覚寺の前を通ります.

明月院へと続く道の横の川.流れはなかなか美しい.

 

わずかに紅葉を残した,岩の上に育った楓,

「花想い地蔵」

 

 

 

通称,「悟りの窓」

 

裏庭からの眺めは,風情があります.

 

楓はほとんど散ってしまいましたが,この裏庭の雰囲気が,とても好きです.今日も,しばらく静かな一時を楽しみました.

12月に返り咲いた花たちも.

帰路は,浄智寺の前を通って北鎌倉駅まで.

 

寒しを詠んだ短歌2

(古今短歌歳時記より)

 

うつし身はかなしきかなや篁(たかむら)の寒きひかりを見むとし思ふ  斎藤茂吉 あらたま

 

川水の寒けくもあるか夕づく日たださすところにたてるさざなみ  岡麓 朝雲

 

堂の扉(と)のきしむ音ありて夕ちかし山の向ふに陽のゐる寒さ  吉植庄亮 寂光

 

さむざむと御堂の縁に端居(はしい)して眼を放つ不二の明る妙はも  北原白秋 海阪

 

寒ければ朝寝(あさい)はしつつ日日の飲食(おんじき)の時も定まらなくに  古泉千樫 青牛集

 

寒ざむと 佐渡に向ひて波ひろし.ひたすら 海の色さだまりぬ  釈迢空 遠やまひこ

 

昨日(きぞ)の夜より雨とみに寒し家のうちは妻子(つまこ)が不在(るす)の畳のひろさ  中村憲吉

 

さむざむと晴れし空より最善を尽くすがごとく陽のふりそそぐ  山下陸奥 生滅