ハイビスカス・仏桑花・扶桑花を詠んだ短歌  仏桑花柄長の花のゆれゆれて夏の一日は夕さりにけり 岡麓  一本の蕊のそこのみ濃きいろに真白き扶桑花は靄に浮かべり 北見志保子  曇りより光射し来るひとときの朱はにじめり仏桑花の花 吉田正俊  鉢植にくれなゐ静か蕊長く伸びて妖しき仏桑花の花 宮柊二  仏桑花くれなゐふかく咲き垂るる首里王城の池をめぐれり 岡野弘彦  朱く咲くオキナワの花仏桑花右にかたむく落暉の真向ふ 平山良明 

今日も梅雨空.雨も時々降るという天気.

しかし,日没時間の後,西の空に一瞬赤みが増し,なんと,雲の中に富士山のうっすらとした影を見ることができました.

 

ご近所の散歩では,ムクゲの花が目立つようになってきました.

 

そして,ハイビスカスを数株育てておられるお宅もありました.ちょうど,ご主人が手入れの最中.まだ咲いていない株もありましたが,きれいにな花をつけている株も.

同じフヨウ属(ハイビスカス属)の花ですから,ムクゲとハイビスカスの花の形はそっくりです.

しかし,しっとりとしたムクゲに対し,ハイビスカスは華やか.何がこの違いを生んでいるのか?色彩は大きな要素ですが,それだけではないようにも思います.

ニッポニカによれば

https://kotobank.jp/word/ハイビスカス-113065

現在の園芸品種ハイビスカスは,

「ブッソウゲ(仏桑華/扶桑花)H. rosa-sinensis L.のほか数種と、これらの複雑な交配により育成された多数の品種をさす」「5000にものぼる品種がある」

「日本へは,はじめに琉球へ仏桑花が伝わり,1614年,薩摩藩から徳川家康に献上された」とのこと.

なお,「仏桑花はインド洋方面で成立した雑種植物と考えられているが、原産地は不明」で,現在の多くの園芸品種にもH. rosa-sinensisの名前を使い,その後に品種名を置いて学名として使用しているようです.また,日本では,園芸品種の「ハイビスカス」全てを「仏桑花」と呼んでいると思われる例にしばしば出会います.

 

 

ハイビスカス・仏桑花・扶桑花を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

仏桑花柄長の花のゆれゆれて夏の一日は夕さりにけり  岡麓 小笹生

 

一本の蕊のそこのみ濃きいろに真白き扶桑花は靄に浮かべり  北見志保子 珊瑚

 

草好む吾に見しむと戦へる君が写しし仏桑花これ  土屋文明 山の間の霧

 

曇りより光射し来るひとときの朱はにじめり仏桑花の花  吉田正俊 黄茋集

 

生垣の赤き花さく仏桑花昼ひそかなる部落を過ぎつ  佐藤佐太郎 群丘

 

鉢植にくれなゐ静か蕊長く伸びて妖しき仏桑花の花  宮柊二 多く夜の歌

 

仏桑花くれなゐふかく咲き垂るる首里王城の池をめぐれり  岡野弘彦 冬の家族

 

朱く咲くオキナワの花仏桑花右にかたむく落暉の真向ふ  平山良明 平山良明歌集