ハマユウを詠んだ短歌2 もろかりし妻のいのちをおもひをれば浜木綿の花に虹のいきほふ 川田順  夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ 植松壽樹  浜木綿の茎たくましくりゅうりゅうとなにはばからず岩のあひより 橋本德寿  みだれざる人の眠りにみだれをり硝子の劃(かぎ)る黒き浜木綿 葛原妙子  はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにける 高野公彦

今日も藤沢は曇り.昨日より雲は厚く富士を望むどころではありませんでした.

散歩の途中,境川の川沿いの道で,ハマユウが咲いているのに出会いました.

鎌倉ではおんめ様(大巧寺)に植えられていましたが,道ばたで出会ったことはありませんでした.

 

正式和名はハマオモト.このように呼ばれているのを聞いたことはありませんが,葉だけ見れば,万年青に似ています.

https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-1238/target_tab-3

万年青

ただし,オモトはキジカクシ科スズラン亜科オモト属なのに対し,ハマユウヒガンバナ科ヒガンバナ亜科ホンアマリリス連ハマオモト属の植物.

ヒガンバナスイセン同様,球根は毒性物質リコリンなどを含みます.


古くから日本人の目にとまり,既に紹介したように

ハマユウを詠んだ短歌1

 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/21/233152

柿本人麻呂はじめ,西行,実朝,定家など有名歌人が短歌を詠んでいます.

み熊野の浦の浜木綿百重(ももえ)なす心は思(も)へどただに会はぬかも  柿本人麻呂 万葉集 巻四 四九六

 

み熊野の浦の浜木綿いはずとも思ふ心の数を知らなむ  源実朝 金槐集

 

 

ハマユウを詠んだ短歌2

(古今和歌歳時記より)

 

もろかりし妻のいのちをおもひをれば浜木綿の花に虹のいきほふ  川田順 妻

 

夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ  植松壽樹 渦若葉

 

浜木綿の茎たくましくりゅうりゅうとなにはばからず岩のあひより  橋本德寿 海峡

 

はまゆふの葉を吹きわたる貿易風よせくる青波ワイキキの海  長澤美津 車

 

みだれざる人の眠りにみだれをり硝子の劃(かぎ)る黒き浜木綿  葛原妙子 縄文

 

浜木綿の種子を播かなむ庭土に潮の岬の砂ぞ欲しけれ  岩波香代子 都わすれ

 

かぐはしく匂ふ浜木綿 七弁の十五/むら花 追ひ咲きにけり  中村浩 宵待草

 

はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにける  高野公彦 汽水の光