浜木綿の蕾が一つ,見事に開きました.鎌倉おんめ様(大巧寺)の浜木綿です. み熊野の浦の浜木綿いはずとも思ふ心の数を知らなむ 源実朝  もろかりし妻のいのちをおもひおれば浜木綿の花に虹のいきほふ 川田順  夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ 植松壽樹  はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにけり 高野公彦

このところ,毎晩通るおんめ様(鎌倉大巧寺)には浜木綿があります.今年は三つの蕾がつきましたが,一つは咲き終わり,残りは二つ.

そして,今日通りがかったとき,一つのはまだ蕾のままでしたが---


一つが見事に開きました!


浜木綿の語源は,「浜に咲く白い木綿で作られた幣(ぬさ)」とされています.日本国語大辞典

幣とは - コトバンク

古来から,日本人に親しまれてきた浜木綿.

枕草子 63段

草は菖蒲(しょうぶ).菰(こも).葵(あおい),いとをかし.-----

山菅(やますげ).日かげ.山藍(やまあい).浜木綿(はまゆう).---

 

昨年,古今短歌歳時記から浜木綿を詠んだ短歌を紹介しましたが,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/21/233152

今日は,昨年紹介しきれなかった短歌を以下に掲載します.人麻呂,西行,実朝の歌は再掲です.

 

浜木綿を詠んだ短歌2 

古今短歌歳時記より

 

み熊野の浦の浜木綿百重(ももえ)なす心は思(も)へどただに会はぬかも  柿本人麻呂 万葉集巻四 四九六

 

はまゆうふに君が千歳の傘なればよにたゆまじき和歌の浦まみ  西行 聞書集一〇三

 

み熊野の浦の浜木綿いはずとも思ふ心の数を知らなむ  源実朝 金槐集・恋五〇六

 

もろかりし妻のいのちをおもひおれば浜木綿の花に虹のいきほふ  川田順 妻

 

夕立の雨をしのぎて浜木綿のつぼみ持てる茎ふとぶとと伸ぶ  植松壽樹 渦若葉

 

浜木綿の茎たくましくりゅうりゅうとなにはばからず岩のあひより 橋本德寿 海峡

 

浜ゆふの花のつめたき夜なりき磯くれば君の発狂にかかはりおもふ  生方たつゑ 白い風の中で

 

はまゆふの葉を吹きわたる貿易風よせくる青波ワイキキの海  長澤美津 車

 

みだれざる人の眠りにみだれをり硝子の劙(かぎ)る黒き浜木綿  葛原妙子 縄文

 

浜木綿の種子を播かなむ庭土に潮の岬の砂ぞ欲しけれ  岩波香代子 都わすれ

 

かぐはしく匂ふ浜木綿 七弁の十五/むら花 追ひ咲きにけり  中村浩 宵待草

 

はまゆふのそよがぬ闇の汝を抱き盗人のごと汗ばみにけり  高野公彦 汽水の光