せんべい(煎餅)と聞いてまず思い浮かぶのが,草加煎餅.草加煎餅という名前を思い浮かばなくても,草加煎餅の形・味・食感をもつ煎餅.
これは私だけでしょうか?また関東育ちの人だけなのでしょうか?
https://www.google.com/search?草加煎餅
先日お土産であられをいただきましたが,わが家から近いこのお店は,あられの他にも大判の煎餅を販売していて,その形は,草加煎餅と同じ.すくなくとも,関東一円で売られている煎餅の多くがこの形のように思っていますが,実際はどうなのでしょうか?
https://www.tatunokuti-daikokuya.com
この大黒屋の煎餅の作り方は,
https://www.tatunokuti-daikokuya.com
うるち米から作った上新粉を高圧蒸気で蒸し,練り上げ,型抜きして乾燥させる.石窯を使って丁寧に焼き上げたのちに味付けして完成とのこと.
主な工程で機械が使われるため,手焼きで膨らみを抑えるために使う「押し瓦」の記述はありませんが,型抜きの型と膨らみを抑える工夫が煎餅製造には大切で,その発達があって現在の煎餅が生まれたと他のサイトに記述がありました.
押し瓦 https://zenjiro-senbei-hiranoya.com/hpgen/HPB/entries/51.html
煎餅の歴史
現在の醤油を塗った草加煎餅が生まれたのは.関東地方に醤油が普及した幕末で,もとはといえば,塩を塗った煎餅を草加宿で販売したのが始まりということです.
https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1403/010/010/020/01.html
醤油を塗っても明治時代まで塩せんべいの名前は残っていました(事典和菓子の世界 岩波書店).
草加煎餅は,うるち米から作られる米粉を用いていますが,煎餅の歴史を見ると,もともとは,小麦粉でつくられた物が煎餅と呼ばれていました.
歴史は古く,文献に「煎餅」が現れるのは,延喜式(905〜927).唐菓子の中に記載が見られことから,奈良時代に唐から伝えられたと考えられます.(ニッポニカ)
「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)/和名抄」(935年以前)には作り方も記され,小麦粉をこねたものを油で焼いたものを煎餅(当時に読み方は「いりもち」と考えられています)と呼んでいたことがうかがえます(事典和菓子の世界 岩波書店,ニッポニカ).
また,今昔物語からの記述からは,平安時代の煎餅は副食として大切にされていたと思われます.(事典和菓子の世界 岩波書店)
煎餅が嗜好品として広まり,各地に名物が生まれたのは江戸時代(事典和菓子の世界 岩波書店).
「米を材料にしたパンケーキのような煎餅」
「小麦粉を糖蜜でこね,蒸籠で蒸してから成形し乾燥したものを焼いた煎餅」
「砂糖を使う小麦粉生地の砂糖煎餅」
「二本の柄の付いた型に餅をはさんで焼く煎餅」等の記述が見られるとのこと.
しかし,現在の草加煎餅のような醤油煎餅の製法は,江戸時代の主要な菓子製法書には見られないそうです.(事典和菓子の世界 岩波書店)