桜餅  小麦粉生地で餡を包み,オオシマザクラの葉の塩漬けで包むのが関東風.関西風は道明寺粉で餡を包むのが一般的.桜餅の元祖とされるのが,東京向島の山本や(1717年).江戸で大評判となり,錦絵に描かれ,江戸名物双六にも取り上げられています.江戸の人気を知って,天保年間に大阪でも桜餅の販売が始まります.現在の国産桜葉の7割が伊豆松崎産.今では桜葉生産に特化した栽培が行われています.桜餅の葉を食べる人と食べない人の数は拮抗しているようですが,人それぞれでいいのでしょう.

かしわ餅と並んで,葉で包んだ人気和菓子の双璧といえる桜餅.

桜の葉は,オオシマザクラの葉を塩漬けした物(輸入品も使われますが).

餡を包む生地は小麦粉生地,

と思っていたら,関西地方は道明寺粉(*)を使ったものが多く売られています.関西に在住した時に初めて知りました.

(*)道明寺粉:

もち米を蒸して乾燥した道明寺乾飯(ほしいい)をひいて粉にしたもの。和菓子の材料にも用いた。どうみょうじだね。道明寺は大阪府藤井寺市にある寺院.(ニッポニカ/精選版日本国語大辞典

 

https://mi-journey.jp/foodie/94575/

関東風桜餅

 

関西風桜餅

 

京都発祥の虎屋は,関東風の物をつくっています.今は東京のお店中心のため?

https://mi-journey.jp/foodie/94575/

 

桜葉を使う桜餅の元祖とされるのが,東京向島の山本や.

(事典和菓子の世界 岩波書店

現在もお店は続いていて,長明寺桜もちとして販売しています.

https://sakura-mochi.com/products/index.php

https://kurashi-to-oshare.jp/going/64162/

ホームページの紹介は次の通り.

https://sakura-mochi.com/

「創業者山本新六が享保二年(1717年)に土手の桜の葉を樽の中に塩漬けにして試みに桜もちというものを考案し、向島名跡長命寺の門前にて売り始めました。

その頃より桜の名所でありました隅田堤(墨堤通り)は花見時には多くの人々が集い桜もちが大いに喜ばれました」

 

文化・文政時代には大評判になり,錦絵に描かれ,江戸名物双六にも取り上げられています.

https://sakura-mochi.com/

https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/column/sakuramochi

https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/column/sakuramochi

 

一方の関西風桜餅.

天保年間(1830-1844)に、大坂北堀江の土佐屋が江戸の桜餅の人気を知って、桜餅の販売を始めたのが起源とされています.https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/column/sakuramochi

なぜ道明寺粉を用いるようになったかは不明ですが,道明寺粉の人気が高かったことは確か.https://kotobank.jp/word/道明寺種-1377330#goog_rewarded

 

桜餅は,春の香りゆかしい和菓子ですが,かしわ餅と違って,お店によっては一年中販売していますね.

以前は,それぞれの土地の桜葉を用いていたのでしょうが —私の友人に和菓子屋の子供がいて,彼が桜の葉を集めていたのを知っています—

今は,和菓子材料店で桜の塩漬けが売られています.

https://www.tengyokudopro.jp/SHOP/326555/327067/list.html

そして,国産の桜葉の7割を生産しているのが,伊豆の松崎.

静岡県賀茂郡松崎町

以前は,薪炭生産用の桜の葉を使っていたのですが,現在は,桜葉生産に特化したオオシマザクラ栽培を行っているとのこと.

https://www.town.matsuzaki.shizuoka.jp/docs/2019011700029/

松崎町の桜葉の塩漬け」は,環境省のかおり風景100選に選ばれています.

https://www.env.go.jp/air/kaori/48sakuraba.htm

 

なお,桜餅の葉を食べるか食べないかは,人それぞれですが,女性対象のある調査では,

https://www.news-postseven.com/archives/20160403_399344.html?DETAIL

55%が食べる派,45%が食べない派だそうです.

 

私は食べる派ですが皆さんは?