シソ(シソ目第十二回/シソ科第七回) 日本の香味野菜の代表青じそ.梅干しにはなくてはならない赤じそ.シソは,日本の他,韓国,中国,ベトナム,ラオスなどでも食べられているとのことですが世界で最もシソを消費している国は日本ではないでしょうか.Shisoは英語になっています.栽培は奈良時代からとされていますが,縄文の遺跡からもみつかっているとのこと.ただし,出土した種子がエゴマではなくシソであるとの確証がどこまで得られているかは不明.植物としては,シソはエゴマの変種とされています.

シソ目の植物について,簡単な解説を探してまとめるシリーズ シソ目第十二回/シソ科第七回.

 

シソ 紫蘇 Perilla frutescens var. crispa

青じそは日本の香味野菜の代表といってよいでしょう.

そして,梅干しにはなくてはならない赤じそ.

https://ja.wikipedia.org/wiki/シソ

紫蘇という名前

https://en.wikipedia.org/wiki/Shiso

によれば,

シソは中国語では紫蘇(zǐsū)と呼ばれ,和名の紫蘇(シソ)やベトナム語の紫蘇(tía tô)の語源となっています[Hu, Shiu-ying (2005), Food plants of China, vol. 1, Chinese University Press, ISBN 9789629962296].

 

中国では,6世紀に紫蘇の調理法の記載があるとのこと.

(ニッポニカ https://kotobank.jp/word/シソ-766771 )

なお,漢字「蘇」は,一文字で「しそ」を意味する漢字です.

蘇(角川新字源)

形声。艸と、音符穌ソとから成る。

意味❶しそ。シソ科の一年生草本。「紫蘇」 ❷くさ。類草。 ❸草をかる。 ❹よみがえる(よみがへる)。いきかえる。同甦そ ----

 

一方,日本国大辞典の「紫蘇」の用例には「尺素往来(1439−64)」が挙げられていて,シソの名前が用いられたのはかなり遅いことがわかっています.

別名として「のらえ」「いぬえ」「ぬかえ」とあり,これらは,本草和名(918頃)等に記載があるとのこと.紫蘇の古名ですね.

 

 

紫蘇の生産・消費

現在日本では年間8000トン以上のシソが生産されています.生産第Ⅰ位は愛知県,続いて宮崎,静岡となっています.

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei

 

シソは,日本の他,韓国,中国,ベトナムラオスなどでも食べられているとのことですがhttps://en.wikipedia.org/wiki/Shiso),

世界で最もシソを消費している国は日本ではないでしょうか.

そして,日本料理の世界的な普及に伴ってでしょうか?

Shisoは英語でも通じる言葉になっていて,例えば,英語版ウィキペディアには「Shiso」が項目として取り上げられています.https://en.wikipedia.org/wiki/Shiso

 

ニッポニカの「しそ」には

「野菜として奈良時代から栽培されている」とあり,

一方,「日本の野菜のなかではもっとも古いものの一つで、5000年前の縄文前期の種子が福井県の鳥浜貝塚からやゴボウの種子とともに出土している」ともあります.

栽培されたのが奈良時代で,それ以前から利用されていたということでしょう.

ただ,縄文時代に出土した種子がエゴマではなくシソであるとの確証がどこまで得られているかは不明.

植物としては,シソはエゴマの変種とされています.

エゴマ  Perilla frutescens

シソ Perilla frutescens var. crispa

 

最近健康に良いω3油として注目されているものの,長らく忘れかけられていたエゴマ

https://ja.wikipedia.org/wiki/エゴマ

日本人はこのエゴマの種子とその油を古くから利用していました.

エゴマ (ニッポニカ https://kotobank.jp/word/エゴマ )

(抜粋)原産地は東南アジアで,東南アジア,中国,朝鮮,日本で古くから栽培された.本州から九州で野生化している.種子はリノール酸33%,オレイン酸11%を含み,てんぷら油とするほか,ペイント,ワニス,リノリウム原料,印刷インキなど工業用の需要も多い.昔は合羽(かっぱ)や唐傘(からかさ),油紙に引いた.菜種油が渡来するまでは,灯火用として重要であった.種子をゴマと同様にすって和(あ)え物などの料理に用い,小鳥の餌(えさ)にもする.葉は焼肉料理の添え物などにする.日本では近年はあまり栽培されない.

 

一方のシソ.

冒頭にも記したように,茎葉の香りを楽しむ野菜として奈良時代から栽培されていました.

青じその香気成分はシソアルデヒドペリルアルデヒド精油の55%),リモネン精油の30%),ピネンその他.

赤じその色素はシアニン(アントシアンの一つ).

現在の利用法は多岐にわたっています.

 

シソ (ニッポニカ https://kotobank.jp/word/シソ-766771 )

(抜粋)

中国南部,ヒマラヤ,ミャンマービルマ)原産.エゴマの1変種で,茎葉の香りを楽しむ野菜として奈良時代から栽培されている.

品種は多く,葉が暗紫色のアカジソ,緑色のアオジソ,葉の表面が帯紫緑色で,裏面が赤紫色のカタメンジソ,葉が縮緬(ちりめん)状に縮れていて暗紫色のチリメンジソ,緑色のアオチリメンジソなどがある.

シソの葉には快い芳香とほろ苦味が,実には香りは少ないがさわやかな辛味があり,日本人の嗜好(しこう)によくあう香辛野菜である.植物体の香気成分はシソ油で,全草に0.5%含まれ,そのうちシソアルデヒドペリルアルデヒド)55%,リモネン30%,ピネンその他からなる.紫紅色素はシアニンとそのエステルである.

利用 アオジソの葉はてんぷら,しそ巻き,薬味にされる.アカジソの葉は梅干し等の色付けに欠かせないほか,ほかの野菜といっしょの柴(しば)漬けに,また乾燥葉を粉にした「ゆかり」はふりかけや和菓子の材料とされる.アカジソの芽じそは「むらめ」や「赤め」とよばれ,白身魚の刺身のつまに,アオジソの芽じそは「青め」とよばれ,赤身魚の刺身のつまに用いられる.

花の咲ききった穂は穂じそ,穂の3分の1ほどが開花した穂は花穂(はなほ)とよばれ,料理のつまや薬味,てんぷらに用いる.未熟な果実は穂からしごき取って塩漬けにし,香の物として利用される.

薬用 漢方では葉を紫蘇葉(しそよう)または蘇葉(そよう),種子を紫蘇子(しそし)または蘇子(そし),茎を蘇梗(そこう)といい,いずれも発汗,解熱,去痰(きょたん),健胃,鎮痛剤として,感冒,咳嗽(がいそう),胸・腹痛,嘔吐(おうと),消化不良,食欲不振などの治療に用いる.