スパイスとハーブ.その違いは? 日本語の香辛料の意味は? スパイスとハーブ,さらには香辛料という言葉の違いについては,二つの説明があるようです.小さなちがいですが,1. 香辛料=スパイス>ハーブ 元々の意味としてはこちらが正しいようです.ハーブはスパイスの中に含まれる一群で,多くの場合,葉を利用するもの.スパイスは,辛みスパイス,マイルドフレーバースパイス,芳香性スパイス,芳香性ハーブ野菜に四分類できます. 2. スパイスは葉以外の部分を利用するもの,ハーブは葉を利用するもの.

最近話題としてきたシソ目シソ科の植物.

 

特にシソ科イヌハッカ亜科の植物には,料理用の香辛料として用いられているものが多数あります.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/07/18/234517

https://en.wikipedia.org/wiki/Basil

〜 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/07/30/000435

https://www.lotte.co.jp/entertainment/shallwelotte/story/mint/peppermint-spearmint/

 

スパイスとハーブ

「香辛料」は,英語のスパイスspiceに相当する言葉.

スパイスの方がむしろ一般的な言葉になりつつありますが,スパイスと似ている言葉にハーブがあります.

香辛料,スパイス,ハーブという言葉をどのように使い分けたら良いのか,私にはよく分かりません.

 

いろいろ調べてみましたが,厳密に定義しようとすると,複雑な言い方になりそうです.

スパイスとハーブについては,英語圏の人でもはっきりわからない方が多いと見えて---

’What is the difference between herbs and spices?’ で検索すると,多数の回答が得られ,Merriam-WebsterやBritannicaといった,辞典/事典の大手のサイトにも解説が載っています.興味のある方はアクセスしてみてください(DeepL翻訳を使えば,概ね正しい日本語に直してくれます)

https://www.merriam-webster.com/grammar/difference-between-herb-and-spice

https://www.britannica.com/story/whats-the-difference-between-an-herb-and-a-spice

 

大まかな説明としては次の1.2.があります.スパイスの範囲をどのように考えるかの違いで,大きく異なるわけではありませんが,1の考え方の方がスパイスの理解を深めてくれると思われます.特に「フレーバーに基づいたスパイスの四分類」は実際の使用においても役立つ分類です.

 

1. 香辛料=スパイス>ハーブ

(ハーブはスパイスの中に含まれる一群で,葉を利用するものをさす)

 

日本国語大辞典では,

スパイス:(英spice) 主に料理用の香辛料.香味料.薬味.

こうしん‐りょう【香辛料】: 

飲食物に,かおりまたは辛味を添えて風味をます調味料.

辛辣性しんらつせいのものには,山椒さんしょう,芥子からし,唐辛子とうがらし,胡椒こしょう,生薑しょうが,山葵わさび,大蒜にんにく,肉桂にっけいなどがあり

芳香性ほうこうせいのものには丁字ちょうじ,薄荷はっか,紫蘇しそ,茴香ういきょう,月桂葉げっけいよう,バニラ,ナツメグなどがある.

 

英語のマコーミックのサイトには,もちろん香辛料という言葉は出てきませんが,スパイス>ハーブと説明しています.

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices

「一般的に,スパイスは植物の葉以外の様々な部分から採られるのに対し,ハーブは植物の葉から採られます. ハーブはスパイスの中のひとつのサブセット(一群/部分集合)と考えられています」
「スパイスは,フレーバーに基づき四つに分離できます」

 

 

▽料理用スパイス&ハーブ

現在は,スパイス&ハーブという言い方が広まり,スパイスは葉以外の部分を利用するもの,ハーブは葉を利用するものと分けるのが,むしろ一般的になってきているように思います.

S&Bはこの立場で商品を分けていますし,

https://www.sbfoods.co.jp/products/category/brand/?category=00100&brandgroup=00100&brand=00100

ブリタニカの解説も概ねこの立場です.

 

この定義だと日本語の香辛料をどのように考えたら良いかあいまいになります.

香辛料=スパイス&ハーブとするのが妥当かとは思いますが,感覚的にはスパイス(=香辛料)&ハーブになる?

S&Bは,スパイス&ハーブ・香辛料という言い方も使っています.

https://www.sbfoods.co.jp/products/category/?category=00100

 

なお,herbという英語の第一義は「草・草本」であって,「薬用植物,薬草・香草」は第二義,「草の葉」は三番目の意味.

 

herb [hə́ːrb|hə́ːb]  

ランダムはハウス英語辞典

1 草,草本  an annual herb一年生草本.

2 薬用植物,薬草; 香草,ハーブ  a herb gardenハーブ園  No herb will cure love.⦅ことわざ⦆ 恋わずらいに薬なし.

3 (根と区別して)草の葉.

4 (また erb [əːrb]) ⦅しばしば the herb⦆ ⦅米·カリブ俗⦆ マリファナ.

 

以下はマコーミックのサイトのスパイスとハーブの説明(DeepL翻訳)です

 

料理用香辛料  CULINARY SPICES

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices

スパイス VS. ハーブ

一般的に,スパイスは植物の葉以外の様々な部分から採られるのに対し,ハーブは植物の葉から採られます. ハーブはスパイスの中のひとつのサブセット(一群/部分集合)と考えられています.興味深いことに,スパイスとハーブの両方を生み出す植物もあります.乾燥した種子(コリアンダー)はスパイスとみなされ,葉はハーブとして使われる(コリアンダー).

 

ヨーロッパ中心の歴史的観点から見ると,スパイスは遠く離れた場所からもたらされる希少で高価な食材でした(インド産の黒胡椒など). スパイスは世界的な香辛料貿易の原動力となり,ヨーロッパの植民地主義に大きな役割を果たしました. これとは対照的に,ハーブの多くはヨーロッパの温暖な気候に自生しているため,希少価値はそれほど高くありませんでした.スパイスの国際貿易は非常に儲かり,中東全域,中国へのアジアのシルクロード北アフリカでスパイス貿易を中心に文明が生まれました.

 

世界的に重要なスパイス(およびハーブ)植物はおよそ40種類あり,地域的に関わりのあるものはさらに多くあります. スパイスとハーブは,フレーバー(TABLE1),植物の部位(TABLE2),植物的な分類に基づいて様々なグループに分類することができます.

----(略)

料理をおいしくするだけでなく,料理用スパイスは古くから食品の保存料として,また健康増進のために使われてきました.