スパイス(スパイス&ハーブ)について,まとめています(すでに取り上げたシソ目シソ科のハーブは省きます).
今日はクローブ1
スパイス(スパイス&ハーブ)12
クローブ1 植物と歴史
クローブは花の蕾から採られるスパイスです.
スパイスとして使用した経験が,私にはありません.ガラムマサラには必ず入っているそうですから,食べてはいるはず.また,伝統的なウースターソースレシピに記載があるスパイスでもあります.
「強く甘い芳香と舌にしびれるような刺激的な味」と形容され,https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/jiten/search/detail/00013.html
どのサイトを見ても,「使いすぎないように」という注意書きが添えられています.
クローブとは
クローブは熱帯・亜熱帯地方で成長するチョウジノキ/クローブ(フトモモ科 Myrtaceae,フトモモ属 Syzygium, チョウジノキ S. aramaticum)のつぼみを,開花する直前に摘み取り,乾燥させたスパイスです.
https://ja.wikipedia.org/wiki/チョウジ https://www.nparks.gov.sg/florafaunaweb/flora/3/1/3154
歴史
日本
日本では,「丁子」の名前でよく知られていますが,香りをしのばせたりカビ防止のために,また,ときには薬として用いられ,食べ物に入れることはなかったようです.
▽「正倉院御物にもある」とどの解説にも書いてあります.
ただ,どのようなものか私には特定できていません,候補の一つが,「沈香末塗経筒(じんこうまつぬりのきょうづつ)」.
「表面に沈香の粉末を漆で練ったものを塗り込み、丁子(ちょうじ)などを半肉に埋めた経筒」https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/201110_shoso/
らしいのですが,画像は,多分これかでしょうか?
https://www.google.com/search?沈香末塗経
▽平安時代には,源氏物語にも出てくる「丁子染め」という染め物があったそうです.
また,江戸時代にはやった鬢付け油「伽羅の油」は,伽羅(きゃら)ではなく,丁子を練り込んだものだったとのこと.
http://www.baikundo.co.jp/wordpress/clove/
▽漢方薬としての記載はあるものの,日本ではオランダの指導で丁子油が作られるまで,薬としてはあまり使用されなかったようです.丁子油は痛み止め(特に歯)の効果があるとされ今でも用いられているとのこと.
最近は効果が疑問視され,あまり使われていないかもしれませんが,丁子の香りは,(少し前の?)歯医者さんの匂いとの記載がありました.
https://www.uchidawakanyaku.co.jp/kampo/tamatebako/shoyaku.html?page=122
https://ja.wikipedia.org/wiki/チョウジ油
世界
New World Encyclopedia とマコーミックのサイトから
https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Clove
https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/cloves
近代まで,クローブはモルッカ諸島(歴史的にスパイス諸島と呼ばれた,現在はインドネシア)の数島でのみ栽培されていました.しかし,世界に広がったのは早く,紀元前1721年から数年以内のシリア陶器からクローブが使われていた証拠が発見され,また,中国では,漢代に記述があります.
ナツメグと同じモルッカ諸島で栽培されていたため,クローブの貿易の歴史は,ナツメグと重なります.
ローマ時代にはすでに非常に珍重されていたクローブは,中世にはアラブ人によって,収益性の高いインド洋貿易で取引されていました.15世紀後半,インド洋貿易を引き継いだポルトガルが,大量のクローブをヨーロッパに持ち込みました.その後,17世紀には,オランダがこの貿易を独占するようになりましたが,両国とも,生産と貿易を厳しく管理しようと努めました.
この間も,クローブは最も貴重なスパイスのひとつでありつづけ,17世紀から18世紀にかけてのイギリスでは,クローブは少なくともその重量分の金の価値があったとされています.
その後,栽培はギアナ,ブラジル,西インド諸島の大部分,そしてザンジバルに導入され,ザンジバルは他のどの国よりも多くのクローブを輸出しています.