夕方,オシロイバナ(白粉花)が咲いているの出会いました.どこにでも咲いているので,普段はあまり気にしないで通り過ぎてしまいますが,かわいらしい花です.
ナデシコ目 Caryophyllales,オシロイバナ科 Nyctaginaceae,オシロイバナ属 Mirabilis.
学名は Mirabilis jalapa.
ラテン語Mirabilisは素晴らしいという意味で、ハラパ(またはハラパ)はメキシコのベラクルス州の州都名とのこと.https://en.wikipedia.org/wiki/Mirabilis_jalapa
様々な別名で呼ばれています.どれも良い名前.愛されている証拠とも言えますね.
https://yamashina-botanical.com/botanical/オシロイバナ/
オシロイバナは,種をつぶした時の白い粉からつけられた名前とのこと.
江戸時代に実際に用いたととも言われていますが---
https://yamashina-botanical.com/botanical/オシロイバナ/
日本語では,別名「夕化粧」.
英語では,Four-o’clock(午後4時).
いずれも,夕方咲いて,朝萎むことからつけられた名前ですね.
英語の別名はまだあって,”Marvel of Peru”(ペルーの驚異).
原産地が南米(ただし,メキシコと言われていますが--)のためでしょう.
Marvel が,何の「驚異」かはわかりませんが,普通に考えれば,花の美しさのためでしょう.
赤,ピンク,黄色,白に加え,二色のものもあり,同じ株で色が異なる花を咲かせていることもあります.
https://en.wikipedia.org/wiki/Mirabilis_jalapa
https://ja.wikipedia.org/wiki/オシロイバナ
花の色の遺伝については,メンデルが解析の対象としたことが有名.
花の色素は,ベタシアニン(赤)とベタキサンチン(黄).総称はベタレインで,初め,ビートからみつかった色素であるため,この名前がついたとのこと(ビートレイン⇒ベタレイン).https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2060
なお,
「ブラジルでは、この植物の全草を腹痛や下痢に,また根を下痢や水腫に民間薬として利用する.糖尿病には、根を茶剤や煎剤として服用される」とのことですが,https://en.wikipedia.org/wiki/Mirabilis_jalapa
「根や種に含まれるアルカロイドのトリゴネリンは,食べると皮膚や消化管に炎症を起こす」おそれがある事がわかっています.https://wagwalking.com/condition/four-oclock-poisoning
オシロイバナを詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
桐の一葉こぼれし裏のしめり地にさくよ小さきおしろいの花 金子薫園 片われ月
松陰の草の茂みに群れ咲きて埃(ほこり)に浴(あ)みしおしろいの花 長塚節 長塚節歌集
白粉草(おしろい)の赤い花束夕べ咲きみち朝はわがごと小花つぼめて 北見志保子 珊瑚
白粉は朝はみながらしぼみをり黒き粒実に露たまり見ゆ 土田耕平 班雪
白たへと緋と重なりし白粉花(おしろい)を羽根に押し分け虻出で入りす 森本治吉 耳
夕化粧などとよばれてゆふべ咲くオシロイバナ罪の匂ひして 福田栄一 きさらぎやよひ
砂地なる道のほとりに白粉はいまだ花咲くくさむらなせり 佐藤佐太郎 しろたへ
おしろいの花はいつごろひらくのかひらきて白しこの夕つかた 中井正義 麦の歴史
散漫にいまだ咲きつづくおしろいの花の陰,実の鮮(あたら)しき黒 田谷鋭 乳鏡