シナモン1 とてもなじみのあるハーブ/スパイスで,Cinnamomum属(ニッケイ属)に属する様々な常緑樹の内皮を乾燥させたものです.シナモンは肉桂とも呼ばれますが,江戸期日本に伝わった肉桂は,現在サイゴンニッケイとも呼ばれる種.世界的には4種の植物のシナモンが流通していますが,日本で簡単に手に入るのはセイロンシナモンとカシア.セイロンシナモンはヨーロッパで珍重され,“true” シナモンとして販売されることがありますが,アメリカで流通しているのはほとんどカシア.

スパイス(スパイス&ハーブ)について,まとめています(すでに取り上げたシソ目シソ科のハーブは省きます).

 

スパイス(スパイス&ハーブ)22

シナモン1

シナモンはとてもなじみのあるハーブ/スパイスです.お菓子に用いられていることが多いので,スパイスというとやや違和感をおぼえますが---

 

https://www.sbfoods.co.jp/customer/blog/backnumber_16.htm

S&Bの解説では:

甘くエキゾチックな香りのスパイスです.クスノキ科の常緑樹です.

その代表として,上品で繊細な香りが特徴の「セイロンシナモン」と,濃厚な香りが特徴の「カシア」があります.

別名:肉桂(にっけい),桂皮(けいひ),にっき

 

上に示したS&Bの食品ラインナップでは,左の二つがセイロンシナモン,右の三つがカシアとのこと.

 

 

ただ,このS&Bの解説は,やや単純化しすぎた解説になっているようです.

英語版のマコーミックのサイト,New World Encyclopedia,英語版ウィキペディア

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/cinnamon

https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Cinnamon

https://en.wikipedia.org/wiki/Cinnamon

では,他に二種類のシナモンを加え,世界で流通しているシナモンは4種としています.

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/cinnamon

セイロンニッケイはヨーロッパで好まれていて,トゥルーシナモンとも呼ばれますが,アメリカで流通しているシナモンは,ほとんどがカシアだそうです.

(ただし---

上の表では,チャイニーズシナモンをカシアとしましたが,セイロンシナモン以外は,全てカシアと呼ばれることがあります.

https://en.wikipedia.org/wiki/Cinnamon

一方,販売されるときにはカシアもシナモンとして売られている!

従って,上記のS&Bの解説/製品ラインナップは,その実態を説明・反映したものといえます.)

 

また,ジャワシナモンはパン製造で好まれるシナモンとのこと.

サイゴンニッケイの高級品は,漢方薬「肉桂」として,またアメリカでは高級シナモンとして流通しています.

 

なお,シナモンはニッケイとも呼ばれます:Cinnamomum属=ニッケイ属.

ただし.日本に古く伝わり栽培されていた漢方薬ニッケイは,現在サイゴンニッケイとも呼ばれる種(Cinnamomum loureiriiの根の皮とのこと.

https://kotobank.jp/word/ニッケイ-1573842

 

また,以前駄菓子屋でよく売られていた「ニッキ」(根の細い先を乾燥させたもの)は,沖縄県などに自生が確認されているCinnamomum sieboldii(オキナワニッケイと呼ばれることも).

https://mikawanoyasou.org/data/nikkei.htm

https://www.kahaku.go.jp/research/activities/project/hotspot_japan/ryukyus/db/S44.html

 

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/cinnamon

https://en.wikipedia.org/wiki/Cinnamon

https://en.wikipedia.org/wiki/Cinnamomum_cassia

https://en.wikipedia.org/wiki/Saigon_cinnamon

https://en.wikipedia.org/wiki/Cinnamomum_burmanni

 

 

 

 

以下,マコーピックのサイトの解説の一部をDeepL翻訳で掲載しておきます.

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/cinnamon

シナモン

シナモンはCinnamomum属(ニッケイ属)に属する様々な常緑樹の内皮を乾燥させたものです.

 植物名のCinnamomumは,ヘブライ語アラビア語で「香りのよい香辛料植物」を意味する "amomon "に由来します.シナモンの種類によっては「カシア」とも呼ばれます.

若い枝を2~3年後に選択的に剪定することによって生産されます. 伐採後,新しい枝が再生し,典型的な木は約40~50年間収穫できます.収穫の際,まず外皮を削り取り,次に内皮を剥いで日なたに置きます.

乾燥させた樹皮を円柱状の羽状にし,シナモン・スティックにカットします.

挽いたシナモンは,焼いた料理,果物,菓子などに使われます. シナモンは,東アジアや東南アジアのスパイス・ブレンドによく使われます.中国の五香粉(スターアニスクローブ,ペッパー,フェンネルとともに)の成分で す. また,モル,ガラムマサラ,ベルベーレなどの香辛料料理にも使われます.

 

料理用として世界中で販売されているシナモンには,主に4つの種類があります.

シナモンの色は,黄褐色(セイロン),赤褐色(インドネシアベトナム),濃い褐色(中国)と様々です.

 セイロン・シナモン・スティックは多層構造で薄く壊れやすいのに対し,ベトナムシナモンやインドネシアシナモンは厚い一重構造で折れにくい傾向があります. チャイニーズ・シナモン(カシア)は,樹皮の塊として販売されることが多いです.

セイロンシナモンは,唯一の“true” シナモンとして販売されることがあり,他の種類は「カシア」と呼ばれますが,四つの種はすべて植物学的にシナモンとして分類されるため,“true” シナモンという記述は誤解を生じさせます.

セイロンシナモンがヨーロッパやメキシコでより珍重されるのに対し,サイゴンシナモンは米国で高級品として販売されることがよくあります.