スパイス(スパイス&ハーブ)について,まとめています(すでに取り上げたシソ目シソ科のハーブは省きます).
スパイス(スパイス&ハーブ)23
シナモン2
シナモンの歴史
日本
シナモンは,日本では肉桂と呼ばれ,享保(きょうほう)年間(1716~1736)中国から渡来し,西日本の暖地に栽培されるようになりました.香辛料として用いられることはなく,漢方薬として用いられていましたが,種としては,Cinnamomum loureiroi(サイゴンシナモン)だったことが,後に判明しました.
https://kotobank.jp/word/ニッケイ-1573842
この肉桂は,長らく中国の漢方薬で用いられていると同じCinnamomum cassia(カシア,チャイニーズシナモン,トンキンニッケイ)と考えられていました.しかし,この小枝(桂枝として流通)と根皮(肉桂皮として流通)を分析したところ,Cinnamomum loureiroi(サイゴンシナモン)であることがわかったそうてす.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1950/15/1/15_1_1/_pdf/-char/ja
ただ,本来の漢方薬「桂皮」には,中国産のCinnamomum cassia(カシア,チャイニーズシナモン,トンキンニッケイ)が用いられていたとのこと.
https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno23.html
https://www.yomeishu.co.jp/encyclopedia/traditional_medicine/cinnamomi_cortex.html
なお,日本には,沖縄県を中心に,Cinnamomum sieboldii(ニッケイ/オキナワニッケイ)の自生が確認されていて,その小枝は,かつて駄菓子屋で「ニッキ」として流通していました.
https://e-mono-jp.net/?page_id=643
ヨーロッパにおけるシナモンの歴史
英語版ウィキペディア&New World Encyclopediaより抜粋(DeepL翻訳)
https://en.wikipedia.org/wiki/Cinnamon
https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Cinnamon
ポルトガルの商人たちは15世紀末にようやくセイロン(スリランカ)を発見し,伝統的なシナモン生産を再編成します.ポルトガルは1518年に島に砦を築き、100年以上にわたって自分たちの独占を守りました.
次に,オランダ商人が,内陸部のセイロン王国キャンディと同盟を結び,ポルトガル人を追い払いました.638年に交易所を設立,1640年までに工場を掌握.1658年までに残っていたすべてのポルトガル人を追放します.
「島の海岸はシナモンでいっぱいだ」とオランダ人船長は報告し,「それは東洋一のもので,島の風下にいると,8リーグ先の海上でもシナモンの香りがする」(Braudel 1984)と語ったそうです.
オランダ東インド会社は、野生での収穫方法を見直し続け、やがて自社で栽培するようになります.
1796年,イギリスがオランダから島の支配権を奪います.
しかし,セイロンのトゥルーシナモンの木の栽培が他の地域に広がり,より一般的なカシア樹皮が消費者に受け入れられるようになっていました.また,コーヒー,紅茶,砂糖,チョコレートが伝統的なスパイスの人気を凌駕し始めたため,セイロンのシナモンの重要性はすでに低下していました.
2021年の世界のシナモン生産量の98%(合計226,753トン)を中国、インドネシア、ベトナム、スリランカの4カ国が占めています.