スパイス(スパイス&ハーブ)について,まとめています(すでに取り上げたシソ目シソ科のハーブは省きます).
今日はトウガラシ.
スパイス(スパイス&ハーブ)4
トウガラシ1
日本でいつも手に入る唐辛子と言えば--
乾燥商品,一味,七味.そして最近は,欧米タイプのレッドペッパーもスパイスの商品棚に並んで沁ます.
https://www.google.com/鷹の爪 https://www.sbfoods.co.jp/products/detail/16915.html https://www.sbfoods.co.jp/recipe/pickup/detail/051.html https://www.sbfoods.co.jp/products/detail/09162.html
植物としては,トウガラシ属に属するものをトウガラシと言って良いのですが---.
ナス目 Solanales,ナス科 Solanaceae,トウガラシ属,トウガラシ属 Capsicum
辛くないピーマンをトウガラシと呼ぶことは普通はしないように思います.
トウガラシ属のうち,調理用に用いられるのは次の五種とのこと.
市販されている赤唐辛子のほとんどはCapsicum annuumという種で,この種に様々な栽培種があり,日本で最も目にするタカノツメもその一品種です.
https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/red-pepper
https://en.wikipedia.org/wiki/Cayenne_pepper
https://www.takii.co.jp/CGI/tsk/shohin/shohin.cgi?breed_seq=00000441
トウガラシの辛さの成分はカプサイシン.
カプサイシンが結合する受容体TRPV1が発見されています.
2021年のノーベル賞の対象となった研究の端緒となった知見です.https://www.nikkei-science.com/?p=64951
この受容体は,同時に温度(43℃以上)や酸によっても活性化され,痛みの受容体となっていることもわかっています.
「辛いスパイスを食すると,口腔内の感覚神経に発現 するTRPV1 で辛味成分が受容されて痛覚と温度感覚が刺激 されるとともに,スパイス自身の香りと相まって独特の風味がもたらされ,それらの情報を脳で統合しておいしさを認識していると考えられる」
とのこと.https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/1/46_1/_pdf
なお,ピーマンやパプリカも同じCapsicum annuumですが,カプサイシンをほとんどもたない品種が選別されて誕生しました.
辛さの指標として「スコヴィル値」が知られています.純粋なカプサイシンは1600万ユニットに対して,コショウの辛み成分ピペリンは15万ユニットで,カプサイシンの1%以下の数値です.https://en.wikipedia.org/wiki/Scoville_scale
トウガラシ成分の辛さがいかに強力かがわかるかと思います.
驚いたことに,更に「辛い」成分が発見されています.
https://ja.wikipedia.org/wiki/レシニフェラトキシン
モロッコ原産のトウダイグサ科植物であるハッカクキリン Euphorbia resinifera に高濃度に含まれるレシニフェラトキシンは,カプサイシンの1000倍のスコヴィル値を示すとのこと.「トキシン」と名付けられている所以.「容易に化学性の火傷を起こす.辛さを確かめる程度の摂取でも非常に危険」
日本の鷹の爪のスコヴィル値は4万〜5万とされています.
https://ja.wikipedia.org/wiki/スコヴィル値