シソ目の植物について,簡単な解説を探してまとめるシリーズ シソ目第十三回/シソ科第八回.
タイム タチジャコウソウ Thymus vulgaris
https://en.wikipedia.org/wiki/Thyme
https://ja.wikipedia.org/wiki/タイム
日本の食品売り場に,多種類のスパイス&ハーブの小瓶が並ぶようになってかなりの年月が経ちますが,未だ使い方がよく分かりません.
タイムもその一つでしたが,このブログで二度も取り上げたラタトゥイユを作るようになって,このハーブの力を知りました.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/07/08/010834
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/07/04/010622
明日来客に作る予定なので,少し前倒しで今日の話題をタイムとしました.
食べてもらっても,レシピを教えても,いつも絶賛される美味しい(手前味噌?)ラタトゥイユです.
タイムは決して出しゃばらないけれど,このレシピではなくてはならないハーブであることをいつも痛感します.味付けの主役はオリーブ油とニンニクと塩,そしてタイム.
最下欄にレシピをまた載せておきます.
S&Bの宣伝では「タイムは肉料理・魚料理に」とありますが----
https://www.sbfoods.co.jp/products/detail/09177.html
この宣伝文句は不十分です.
「What kind of dishes should I use thyme for?」
英語で上記の検索すると,例えば,以下のような答えが得られます.
https://themom100.com/how-to-cook-with-thyme/
「タイム(生でも乾燥でも)は,あらゆる種類の肉,鶏肉,シチュー,スープ,卵,パスタ,野菜,豆類によく合います.」
味の形容は難しいのですが,このサイトでは次のように解説していました.
「非常に濃縮されたハーブの風味で,シャープでグラッシーで,森の香り,花の香りがある(The taste is very concentrated and herbal in flavor, with sharp grassy, woodsy, and floral notes.)」
わかりませすか?
上記のサイトには,フレッシュタイムのレシピしかありませんでしたが,ドライタイプで代用可能とのこと(1/3が目安).タイムは、他の多くのハーブよりも乾燥させても風味を保つそうです.
タイムは,多くの国の料理に欠かせないハーブ.
https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Thymeによれば,
タイムは,料理に最も広く使われている.スペイン料理,フランス料理,イタリア料理,トルコ料理,ペルシャ料理,およびそれらから派生した料理の基本的な材料である.また,レバノン料理やカリブ料理にも広く使われている.
タイムは肉,スープ,シチューの風味付けによく使われる.特にラム,トマト,卵と相性がよく,主な風味付けとしてよく使われる。タイムは風味豊かでありながら,他のハーブやスパイスと調和し,主張しすぎることはない.
フランス料理では、月桂樹やパセリとともに,ブーケガルニやハーブ・ド・プロヴァンスによく使われる,中東の一部の国では,調味料のザアタルにタイムが欠かせない成分として含まれている.
タイムの香り成分としてよく知られているのがチモール.うがい薬,洗浄剤、歯みがきに使われています(現在は化学合成されたものが).香りだけではなく殺菌・抗炎症作用も期待されているようです.
https://kotobank.jp/word/チモール-566524
種々のタイム
タイム(Thyme)は,Thymus vulgarisを指す場合がほとんどですが,タイム属Thymusの植物全般を指す言葉でもあります.
英語でThymus vulgarisを特定したい場合には common thyme,garden thyme.
和名はタチジャコウソウ.日本へは江戸時代もしくは明治時代に,薬草もしくは鑑賞用として渡来しているとのこと(https://kotobank.jp/word/タイム https://kotobank.jp/word/タチジャコウソウ).
なお,日本にもタイム属の植物が1種あります.高山植物のイブキジャコウソウです.一度会いたい花の一つ.
https://ja.wikipedia.org/wiki/イブキジャコウソウ
Thymus vulgaris以外にも料理に使われるタイムがあります.
例えば:
https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Thyme
Thymus herba-barona(キャラウェイタイム):料理用ハーブとしてもグランドカバーとしても使われ、カルボンという化学物質による強いキャラウェイの香りがする。
Thymus × citriodorus(シトラス・タイム;T. pulegioidesとT. vulgarisの交配種):様々な柑橘系の果実の香りを持つ品種が選抜されている(レモン・タイムなど).
タイムは,食用に古くから利用されてきたハーブですが,食品として以外にも次のような利用があったとのこと.
https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Thyme
・古代エジプト人は,タイムを防腐処理に使っていた.
・古代ギリシア人は,タイムが勇気の源になると信じて,お風呂に入れたり,寺院でお香として焚いたりしていた.
再録:ローランさんのラタトゥイユ
このサイトはすでにありません(今回のレシピ - 食材探検 おかわり!にっぽん - NHK )
ズッキーニなどの野菜を炒め煮した,シンプルなフランス家庭料理.ローランさんが子供の頃から食べているという一品.夏は冷まして「フランス人が愛する夏のおふくろの味」.秋口からは暖かくしていただくそうです.
<材料>
ズッキーニ(1本)、なす(1本)、黄パプリカ(1/2個)、赤パプリカ(1/2個)、たまねぎ(1/2個)、トマト(2個)、にんにく(1かけ)、オリーブオイル(適量)、塩(適量)、タイム(適量)
<作り方>
(1)野菜は全て1cmほどの角切りにし、にんにくはみじん切りにする。
(2)フライパンでオリーブオイルを温め、たまねぎ・にんにく・タイムをくわえて炒める。
(3)たまねぎに軽く火が通ったら、パプリカをいれ、中火でしんなりとするまで炒める。
(4)ズッキーニとなすを加え、塩をくわえる。
(5)よくかき混ぜ、ふたをして5分蒸し煮にする。
(6)トマトを加え、ふたをして、さらに5分蒸し煮にする。水分が煮詰まったら完成。