インドハマユウ⇒アフリカハマユウ 鎌倉おんめさまの小径.アガパンサスが途切れた先に,大きく力強い白花.ユリかと思いましたが「インドハマユウ」の名がつけられていました.この立派な白花は,明治時代に導入. 長らくインドハマユウ Crinum latifolium とされてきました.ところが--- 後に,南アフリカ原産のCrinum bulbispermumと判明.白花は,かなり珍しいようで,導入されたのが白花だったため,同定に手間取ったと言えそうです.

アガパンサスで美しく装われた鎌倉おんめさま(大巧寺)の小径.

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アガパンサスが途切れたすぐその先に,大きく力強い白花が.

ユリかと思いましたが,葉は全く違う形状.「インドハマユウ」の名がつけられていました.

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ハマユウなのに,花がこれほど百合に似ているとは!

と思う方が間違いでした.

ハマユウの属名Crinumは,ギリシャ語でユリを意味する言葉が語源.ハマユウはもともとユリの一品種のように見られていたようです.

 

CRINUM | Definition of CRINUM by Oxford Dictionary on Lexico.com also meaning of CRINUM

Crinum:

18世紀半ば、最初に使用したとされたとされる.古典ラテン語のcrinonから.crinonは古代ギリシャ語のκρίνον lilyに由来するユリ(lily Pliny)の品種.κρίνονは起源不明の借用語

 

 

この立派な白花のクリナムは,明治時代に導入.

長らくインドハマユウ Crinum latifolium とされてきました.

https://www.flower-db.com/ja/flower:1690

Crinum latifoliumは,インド、スリランカから東南アジア大陸、中国南部に自生しているとのこと.

Crinum latifolium - Wikipedia

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Crinum latifolium - Wikipedia

 

ところが---

後に,インド〜南中国のCrinum latifoliumではなく,南アフリカ原産のCrinum bulbispermumと判明.

和名もアフリカハマユウに改められたとのことです.

https://www.botanic.jp/plants-aa/afhama.htm

https://www.flower-db.com/ja/flower:1690

 

英語版ウィキペディアによれば,

Crinum bulbispermum - Wikipedia

Crinum bulbispermum

(以下原文英語.DeepL翻訳)

花はロート状で,むせかえるような甘い香りがします.通常はピンク色で,濃いピンクや赤の中間色がありますが,白から赤まで様々な色があります.

多くの園芸品種が作られています.

 

白花は,かなり珍しいようで,導入されたのが白花だったため,同定に手間取ったと言えそうです.

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Crinum bulbispermum - Wikipedia

Crinum bulbispermum | Crinum zeylanicum | | Flower Database

 

改めて,アフリカハマユウ

キジカクシ目 Asparagales,ヒガンバナ科 Amaryllidaceae,ヒガンバナ亜科 Amaryllidoideae,ヒガンバナ連 Amaryllideae,ハマオモト亜連Crininae,

ハマオモト属(ハマユウ属) Crinum

アフリカハマユウ Crinum bulbispermum 

 

ハマユウ属でも通用しているようですが,ハマユウの別名ハマオモトを属名とするのが一般的なようです.

ハマオモトという名前がハマユウの別名だとは私は知りませんでした.多くの方々にとってもなじみがないかと思いますが---私の負け惜しみかもしれません.

ハマユウの葉は,なるほどオモトそっくり.

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ハマユウ - Wikipedia

ハマユウの種 | NHK for School


ハマユウは,万葉集に詠まれるほど,古代から目をひいた花だったようで,平安期には枕草子にも名前が取り上げられています.

 

万葉集

み熊野の浦の浜木綿百重(ももへ)なす心は思へどただに逢(あ)はぬかも 柿本人麻呂(巻4・496)

 

枕草子 63段

山菅(やますげ).日かげ.山藍(やまあい).浜木綿(はまゆう).葛.笹.青つづら.なづな.苗.浅茅(あさぢ),いとをかし. 

 

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