おんめ様(鎌倉大巧寺)の小径で出会った鬼ゆりから---
昨日は,百合根の話題を取りあげました.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/23/235418
今日はユリの「分子系統樹」について調べてみました.
とてもジミーな話題です.また,一部は以前に取りあげた内容と重なります.https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534
日本は,「ユリの王国」といってよいほど,多くのユリが自生し,固有種とされる種も沢山あります.
そして,
「テッポウユリはイースター・リリーの名で、急速にマドンナ・リリーに代わってキリスト教会にはなくてはならない花に」
「一世を風靡した‘カサブランカ’をはじめ、最近切り花や球根が出まわっているユリの園芸品種のほとんどは日本のユリの血を色濃く引いているといっても過言ではありません」(三輪智)とのこと.
第3回 日本はユリの王国 | BloomField - ガーデニングABC -
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534
ユリ.net によれば,
「日本には15種類のユリが自生していますが、
そのうち8種は日本固有種です。」
自生種15種:
ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ、サクユリ、カノコユリ、テッポウユリ、タモトユリ、ウケユリ、イワトユリ、エゾスカシユリ、ヒメユリ、オニユリ、コオニユリ、スゲユリ
(ユリ.netでは,1924年台湾より導入されたとされるタカサゴユリは,「自生」とは見なされていません.現在,様々な場所で生育しているユリですが---タカサゴユリ / 国立環境研究所 侵入生物DB
また,13世紀に中国から輸入されたとされるハカタユリも,数は少ないながら,日本に生育しているそうです. 【幻の花!?】ハカタユリが今年も開花! – イキテイクな日々 )
日本固有種8種:
ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ
サクユリ、タモトユリ、ウケユリ
固有種を上記のように四群に分けて記載したのは,初めてこの話題を取りあげた稿https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534
では,それぞれ
(ヤマユリ亜属 Archelirio)(テッポウユリ亜属 Leucolirion)(カノコユリ亜属 Martagon)(亜属:調べられませんでした)
として紹介したグループになります.しかしこれはかなり古い説といってもよいかと思われました.
なぜなら,この「亜属(節)」は,1925年の分類のようで,その後,別の分類も提案されている(1949年).
ユリ(園芸種) Lilium sp. ユリ科 Lilium ユリ属 三河の植物観察
さらには,現在,DNA解析に基づいて分子系統樹を提示するのが当たり前になっている.
ということで,いくつか提案されている中から,ユリ属の分子系統樹の一つを以下に記載しておきます.
日本に自生するユリ,日本固有種のユリ全てが網羅されているわけではありませんが,テッポウユリを除く固有種が,分子系統樹上もまとまっているなどわかりやすい系統樹かと思います.
大きな図になりますが---
Lilium longiflorum - Wikipedia
Lilium formosanum - Wikipedia ハカタユリ|福岡市植物園
カノコユリ - Wikipedia オトメユリ - Wikipedia
ヤマユリ - Wikipedia ササユリ - Wikipedia
Lilium nobilissimum - Wikidata
Lilium lancifolium - Wikipedia
File:Lilium leichtlinii AP.jpg - Wikispecies Lilium concolor - Wikipedia
万葉集には,ユリを詠んだ歌が十二首あるそうですが,その多くが,関西に自生する固有種ササユリと考えられています.(下に掲載した坂上郎女の「姫百合」もササユリと考えられます).ただし,ササユリは中部以西のユリ.東国の歌では,関東の代表的なユリ,ヤマユリが詠まれていると考えられています.
この話題はかつて取りあげましたが,また明日,重ねて取りあげ,近代の短歌も紹介したいと思います.
夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ 大伴坂上郎女 (万葉集・八・一五〇〇)