栽培種カサブランカと,花が咲くのはいつの日か分からないササユリがわが家の庭にあります.
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そして.テッポウユリも少しだけ.
ユリは古来より,世界中で愛されてきた花.
そして,
日本はユリの王国!
とのこと.
第3回 日本はユリの王国 | BloomField - ガーデニングABC -
「ヤマユリをはじめ,ササユリ,オトメユリ,スカシユリなど自生する15種のうちの半数が日本の特産,つまり日本以外の国には見られないうえに,カノコユリ,テッポウユリ,ヒメユリなども日本を中心に分布していて,しかも現代の主要な品種の多くがその血を引いていることから,日本はまさに『ユリの王国』ということができます」
「欧米の園芸家たちは強い関心を持ち,園芸植物としての発展をめざして品種改良に取り組んできました.
そして,この30年ほどで日本のユリを中心にした品種改良が一気に進み,一世を風靡した‘カサブランカ’をはじめ,最近切り花や球根が出まわっているユリの園芸品種のほとんどは日本のユリの血を色濃く引いているといっても過言ではありません」
日本のユリ
15種のユリが自生.その内,次の8種は日本固有種.
ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ(ヤマユリ亜属 Archelirio)
サクユリ、タモトユリ、ウケユリ (亜属:調べられませんでした)
ヤマユリの写真<1> - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 ササユリの里 天神原植物園
オトメユリ開花状況(6/5) - 西会津町公式ホームページ サクユリ・花ごよみ~各島で見られる花~ 伊豆大島編|☆東京都大島支庁
http://ユリ.net/テッポウユリ 甑島のカノコユリとハマナデシコ
タモトユリ - 口之島小中学校 鹿児島県/請島のウケユリ自生地
◎固有種でない自生種:
イワトユリ、エゾスカシユリ、ヒメユリ、オニユリ、コオニユリ、スゲユリ.http://ユリ.net/tag/日本)
各品種についてはユリネット http://ユリ.net/sitemapに,丁寧な解説が掲載されています.ほんの一部をここで紹介します.
Lilium. auratum
日本特産の大型のユリで,本州のみに自生.花期は7月~8月頃です.
花は,白地に黄色の筋が入り,赤褐色の斑点があり,花弁が外に弧を描きながら広がっています.
球根は,苦味がなく,食用になります.一説では,縄文時代から既に食用に供されていたといわれています.
ヤマユリを一番最初に欧米に紹介したのは,シーボルトですが,ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され,注目を浴びました.
日本のユリは欧米でたいへん人気があり,ユリの球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつでした.カサブランカで有名なオリエンタル・ハイブリッド種では,ヤマユリが重要な親のひとつとなっています.
ササユリ http://ユリ.ササユリ
Lilium. japonicum
日本固有の品種で,伊豆半島以西の本州及び四国,九州の地域にのみに生息しています.自生地は森林の外側や山地の斜面など,日光が適度に届き,強い日差しの当たらない場所です.
上品な姿からたいへん人気があるユリですが,球根の生長が遅く病害にも弱く,翌年以降の開花が難しい,最も栽培の難しいユリの一つです.
開花期は6~7月くらい.花は短い円筒形でやや下向きから横向きに咲き,淡いピンクから濃いピンクの花を咲かせます.少数ですが,白花も.自生地による形態や生態の変異が大きく,八重咲きなどいろいろな変種があります.
球根は卵形で,白から淡黄白色で,直径3cm程度で,古くは食用にされてきました.
Lilium. longiflorum
いまや,日本各地でよく見かけるユリになりましたが,もともと屋久島以南の島や中国に自生していたユリです.ほかの植物が育たないような岩場のくぼみなどでも生育しています.
純白で細長い花を横向きにつけます.花びらの先がラッパ状に反り,1株あたり3~6輪の花をつけます.たいへん栽培しやすい品種で,淡い香りも魅力,凛とした花姿が美しく葉も艶やかで見ていてもきれいで,切花や球根が多く生産されている,馴染み深いユリです.
現在,切花として出回っているテッポウユリのほとんどは,「ひのもと」という種類で,屋久島で発見されたユリを増殖したものだそうです.
白ユリは聖母マリアのシンボルで,従来,ヨーロッパに自生する,マドンナリリーが描かれてきました.しかし,1840年,テッポウユリがヨーロッパに紹介されてからは,マドンナリリーに変わってテッポウユリが,キリスト教の祭事に導入されるようになりました.そのため,テッポウユリの英名は,復活祭(イースター)にちなんでイースターリリー(Easter Lily)ともよばれています.
山田卓三先生の「万葉植物つれづれ(大悠社)」によると
百合の美しさは古くから注目され,『古事記』でも百合の花が咲きほころぶ様子を人の微笑みになぞらえています.『万葉集』にさ百合と詠まれているユリはヤマユリかササユリです.
ヤマユリは中部地方以北に,ササユリは中部地方以西に分布します.山野のユリを詠んでいる場合.関東ではヤマユリ,関西ではササユリを指すと考えられ,「筑波嶺(つくばね)のさ百合の花---」の百合は確実にヤマユリです.家持が越中で詠んだ百合もヤマユリですが,坂上郎女(さかのうえのいらつめ)や紀豊河(きのとよかわ)などが詠んでいるユリはすべてササユリと思われます.
百合 / 万葉集
あぶらびの,ひかりにみゆる,わがかづら,さゆりのはなの,えまはしきかも
あぶら火の,光に見ゆる,我が鬘(かづら),さ百合の花の,笑(え)まはしきかも 大伴家持 (巻十八・四〇八六)
あぶら火の,光に見ゆる,我が蔓,さ百合の花の,笑まはしきかも
▽万葉秀歌 斎藤茂吉
天平感宝(てんぴょうかんぽう)元年五月九日,越中国府の諸官吏が,少目(さかん)の秦伊美吉石竹(はたのいみきいわたけ)の官舎で宴を開いたとき,主人に石竹が百合の花を鬘(かづら かみかざり)に造って,豆器(ずき)という食器の上にそれを載せて,客人に頒った(わかった).その時大伴家持の作った歌である.
結句の「笑(え)まわしきもの」は,美しく楽しくて微笑せしめられる趣(おもむき)である.
美しい百合花をあらわすのに,感覚的にいうのも家持の一特徴だが,「あぶら火の,光に見ゆる」といったのは,さすがに家持の物を捉える力量を示すものである.「我が鬘」といったのは,自分の分として頂戴した鬘という意味である.