今日も,おんめ様(鎌倉大巧寺)の花を取りあげます.
オニユリです.
オレンジ色に黒い斑点.反り返った花びら.遠くからでもよく分かる花姿で,誰もが知る百合.
日本に自生していますが,”古くに中国から「食用として」伝来した”とする説があります.
食用となるのは,もちろん球根.「ゆりね(百合根,ゆり根)」ですね.
(百合根は,短縮して扁平になった底盤と呼ばれる茎に,鱗片:葉が養分を蓄えるために変化したもの,がうろこ状に重なり合っています.ユリ 球根と根の構造 | ユリ.net )
普段よく食べる食材ではありませんが,やや苦みはあるもののクセのないホクホク感は百合根特有のもの.
様々なレシピがネット上に.
百合根として食用になる百合は,オニユリの他,ヤマユリ,コオニユリと言われています.他の百合は味の点で劣るとか.
そして,その中で,商品として現在出回っている百合根は,コオニユリの栽培種(白銀、夕張、夕映 ユリネ - e食材辞典 - eヘルシーレシピ - 第一三共株式会社 ) とのこと.
ほぼ全て北海道産( https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_yasai/attach/pdf/index-10.pdf ).
知って、食べて、ゆり根|ゆり根と言えば北海道が「生産量日本一」です。
百合根は,薬膳に用いられてきたという記事がネット上に散見されます.
例えば
「その昔は薬用として食され、滋養強壮、利尿、せき止め、産後の回復食などの薬理効果がある食物として親しまれたそうです。」
(「その昔」とした所はとても良心的な記述だと思います)
このサイトでは,この記述の前に栄養価の話題を取りあげ,
「百合根の栄養価は高く、強壮効果もあります。グルコマンナンと呼ばれる食物繊維が豊富で、便秘や整腸に効果があります。」
と記しています.
「栄養価は高く」「強壮効果もあります」の部分は,やや疑問
⇒エネルギーはかなりありますが,栄養価は高いとまではいえないでしょう.
「グルコマンナンと呼ばれる食物繊維が豊富で、便秘や整腸に効果があります。」の部分は信用できそうです(食物繊維の成分がグルコマンナンであるとの裏付けはとっていませんが)
⇒強壮効果とは何をさしている?
食品成分表より,栄養成分を玉ねぎ,蓮,ほうれん草と比較した表を記載しておきます.「炭水化物が多い」「食物繊維が多い」「葉酸をかなり含む」等,百合根の栄養の特徴をお確かめください.
ただし,沢山食べる食材ではないので,栄養を期待してもあまり意味がないかもしれません.「おいしいから食べる」食材ですね.
オニユリは,
ユリ目 Liliales,ユリ科 Liliaceae,ユリ属 Lilium,
オニユリ L. lancifolium
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534
鬼ゆりはまことに夏花濃みどりの切れのよき葉も力にみちたり 宇都野研 (宇都野研全集)
古今短歌歳時記より
Lilium lancifolium - Wikipedia
File:Lilium leichtlinii AP.jpg - Wikispecies