暑すぎてわが家のムクゲは,すっかり花を落としていますが,街の,そしておんめ様のムクゲ,ハマボウはしっかり花をつけています.ムクゲの属するアオイ亜科の花はいずれも美しのですが,中でもムクゲは,アメリカでも聖書の花の名前「シャロンのばら」と呼ばれ,ブッソウゲ(ハイビスカス)同様,愛されているようです. 花木槿見るものにして母と娘(こ)はいふこともなく只足らひをり 四賀光子

梅雨の戻り?が終わって,再び暑い日がやって来ました.

梅雨明けが早かったせいでしょう.わが家のムクゲは,すっかり花を落としています.

夕方散歩で街に出ると,商店街の一角の白のムクゲが,しっかり花をつけていました.毎年楽しませてもらっています. 

 

では,おんめ様(大巧寺)のムクゲは?と足を伸ばしてみると---

夕方で半分閉じていましたが,花はしっかりついていました.わが家のムクゲは暑さに弱いのに---

 

おんめ様には,同じフヨウ属(ハイビスカス属)のハマボウもあったはず.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/07/19/235623

と奥までい進むと,花は少ないもののしっかりさいていました.

黄色の花姿はなかなか良いものです.

 

ムクゲハマボウは,

アオイ目 Malvales,アオイ科 Malvaceae,アオイ亜科 Malvoideae,フヨウ連 Hibisceae,フヨウ属 Hibiscus,

ムクゲ H. syriacus,

ハマボウ H. hamabo

 

とされていますが,近年のDNA解析による分類から,ハマボウは別の属(Talipariti )とされるようになってきました.ただし,まだ確定はされていないようです.

 

Talipariti hamabo

最近(2001年)、本種の名前がHibiscus hamaboから変更されたが、これはまだ一般に認められていない(2009)。

The name of this species has recently (2001) been changed from Hibiscus hamabo, though this is not universally recognised as yet(2009).

Thamabo - Useful Tropical Plants

 

ハマボウは,ムクゲよりオクラに近い種という論文もあります.(下記系統樹

今後,アオイ亜科の植物が全体として整理され,属の分類もかなり変わってきそうですね.

 

Chloroplast genome of Hibiscus rosa-sinensis (Malvaceae): Comparative analyses and identification of mutational hotspots - ScienceDirect

 

いずれにしても---

このアオイ亜科の花たちは,美しい花ばかりです.

 

ハイビスカス(ブッソウゲ)の華やかな美しさは誰しも認めるところ.

ブッソウゲ - Wikipedia

 

オクラやワタの木の花を初めて知ったとき,こんなにきれいなの?という驚き.

オクラ - Wikipedia Species:Gossypium raimondii - GreeNC

 

そして,ムクゲ

ムクゲ - Wikipedia

 

韓国の国花としてよく知られていますが,欧米,特に北アメリカでもこの花はよく知られています.

聖書に登場する花の名前「シャロンのばら」と呼ばれて.

 

ブリタニカ英語版 "rose of Sharon" には次のように記載されています.そのまま,ムクゲの解説になっています.

(DeepL翻訳)

rose of Sharon

peony | Description, Types, & Major Species | Britannica


シャロンのバラ 

低木のタチアオイshrub althaea とも呼ばれる。

(Hibiscus syriacus, or Althaea syriaca),
低木または小木。
フヨウ属(ハイビスカス属)、アオイ科(Malvaceae)。
東アジア原産だが、華やかな花のため観賞用として広く植栽されている。
高さは3mに達し、一般に枝分かれの少ないピラミッド型の生育様式をとる。
アオイに似た花は、白やピンクがかったラベンダー色から紫色まで、さまざまな種類があり、一般に深紅の下地があり、品種によっては八重咲きとなる。
オトギリソウ科のセイヨウ金糸梅Hypericum calycinum,もローズ・オブ・シャロンと呼ばれる。

 

日本では,平安時代には和名抄に記録が残る(:「木槿の和名は木波知春(きはちす)」として).

一方,漢詩に取りあげられているにもかかわらず,古歌には詠われず,短歌に詠まれるようになったのは明治以降.(ニッポニカ,古今短歌歳時記)

ずっと好まれてきたわけではなかったんですね.

 

 

 

雨はれて心すがしくなりにけり窓より見ゆる白木槿(しろむくげ)のはな  斎藤茂吉 (あらたま)

 

 

はらはらと雀飛び来る木槿垣(むくげがき)ふと見ればすずし白き花二つ  北原白秋 (雀の卵)

 

 

木槿見るものにして母と娘(こ)はいふこともなく只足らひをり  四賀光子 (朝月)

 

 

むらさきの木槿の花は照るばかり寂しくありて一木立つ見ゆ  宮柊二 (多くの夜の歌)