夕方,おんめ様(鎌倉大巧寺)の小径を歩いてきました.
7月初めにすでに咲いていたユウスゲ.まだ花を付けていてくれました.趣と気品のある花です.
「虎の尾」の名前がついているので,近縁の種と思っていましたが,かなり離れた系統の花.どちらも目立たない花ですが,よく見ると美しい花です,
オミナエシ.秋の七草ですが,7月に満開になります.香りがイマイチですが,私は大好きな花です.
新しく咲き始めていたのだ,シュウメイギク.日本のアネモネですね.誰もが好む花かと思います.
夏の花の定番,ムクゲ.おんめ様では,ピンク,白,一重八重と多様な花が楽しめます.秋の初めまでおんめ様の花の主役であり続けるでしょう.
ムクゲは,このブログでも何回となく取り上げました.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/25/025011
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/06/24/014858
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/07/25/234932
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/22/235711
アオイ目アオイ科フヨウ属(ハイビスカス属)の花.
学名 Hibiscus syriacus
ハイビスカスやフヨウと同じ属になります.
花を見ると,日本でハイビスカスと呼ばれている「仏桑花 ブッソウゲ」(Hibiscus rosa-sinensis)の花と,形はそっくり.当然と言えば当然のことですが.
仏桑花(H. rosa-sinensis)園芸種の花
https://www.mdpi.com/1420-3049/28/4/1779
ムクゲは東アジア原産で,日本,中国,韓国で好まれる(韓国では国花とされています)のみならず,世界中で愛されている花で,例えば,欧米では,”rose of Sharon”とも呼ばれています(peony | Description, Types, & Major Species | Britannica この名前で呼ばれている花は他にもいくつかあるそうですが).
▽漢字「槿」は一字でムクゲの意味ですが,漢名は「木槿」.この表記は日本でも用いられます.
▽花を指す場合は「槿花」(日本語読みはキンカ).
・吾妻鏡
「槿花(キンクハ) 一日の栄(サカヘ)に誇る事なかれ」
・白居易‐放言五首詩
「槿花一日,自ら栄を為す.(むくげの花は一日にして自ずからその生を全うする)」
▽日本国語大辞典によれば,「むくげ」の初出は鎌倉時代で,それ以前呼ばれていた名前は不明.「アサガオ」はその候補ともいわれ,槿を「あさがほ」とした書もあるものの,混乱していてはっきりしていません.
▽別名はちす,ゆうかげぐさ(夕影草・夕陰草).
槿・木槿を詠んだ短歌
(古今短歌和歌集より.昨年,引用したものにいくつか追加しました)
雨はれて心すがしくなりにけり窓より見ゆる白木槿(しろむくげ)のはな 斎藤茂吉 あらたま
はらはらと雀飛び来る木槿垣(むくげがき)ふと見ればすずし白き花二つ 北原白秋 雀の卵
花木槿見るものにして母と娘(こ)はいふこともなく只足らひをり 四賀光子 朝月
薮原に,むくげの花のさきたるが よそ目さびしき 夕ぐれを行く 釈迢空 海やまのあひだ
咲きつぎし木槿の花はいつとしもなく秋庭に終わりてゐたり 佐藤佐太郎 帰潮
花終る百日紅(ひゃくじつこう)としろたへの木槿(むくげ)と見えて朝ごとの窓 遠山光恵 青螺