夏祭を詠んだ短歌  近くの鎌倉腰越の小動神社では,今日まで天王祭が行われていました.江の島八坂神社との行合祭.  夏祭わっしょわっしょとかつぎゆく街の神輿が遠くきこゆる 北原白秋  軒提灯のあらまし消えてならびたる夏の祭のをはりのひそけさ 松倉米吉  夏祭神輿に競ふ心意気を代々承け継ぎて今もあはれなり 筏井嘉一  嚙めばかすかな海ほおずきの頬そめてお前が笑う今日は祭 佐佐木幸綱

各地で大雨とのニュース.ここ江の島は,曇り空ながら,雨は時々降るだけ.

 

梅雨明け前ですが,各地で夏祭りが行われる季節に入りました.

近くの鎌倉腰越の小動神社では,今日まで天王祭が行われていました.

江の島八坂神社との同時開催される行合祭.珍しい形かと思いますが---

 小動神社と八坂神社の神輿が海上渡御を行い,その後,八坂神社の神輿が海を渡って,小動神社の神輿と行合います.

https://www.yoritomo-japan.com/gyoji-maturi/tennosai-kosigoe.html

 

夏祭りという言葉は,江戸時代以降に使われるようになったようで日本国語大辞典,古歌では使われていません(古今短歌歳時記)

単に「祭(書紀では祭祀)」もしくは「神祭」で季節をつけてはいません.また,平安時代に「祭」といえば,葵祭賀茂祭)を指すことが多いことはよく知られています.

季節を冠した祭としては,春祭り,夏祭り,秋祭りがありますが:

春祭りは豊作祈願,秋祭りは稲作終了後の神への感謝として行われるのに対し,夏祭りは,疫癘(えきれい)や罪穢(つみけがれ)を流し去る行事であることが多いとのこと.

https://kotobank.jp/word/夏祭り-108236# https://kotobank.jp/word/秋祭423195#

 

 

夏祭りを詠んだ短歌

(古今短歌歳時記,現代短歌分類集成より)

 

夏まつり神輿のあとの兒の群れの小さき素足の吾兒にかも似る  金子薫園 草の土

 

夏祭わっしょわっしょとかつぎゆく街の神輿が遠くきこゆる  北原白秋 桐の花

 

軒提灯のあらまし消えてならびたる夏の祭のをはりのひそけさ  松倉米吉 松倉米吉歌集

 

をさなくてわがしたしみし夜祭の提灯祭今宵にぎはふ  松村英一 やますげ

 

夏祭神輿に競ふ心意気を代々承け継ぎて今もあはれなり  筏井嘉一 荒栲

 

母の名に祭りの寄附も済ませきて夏の終りの雨を聴きをり  河合千鶴子 光昏

 

嚙めばかすかな海ほおずきの頬そめてお前が笑う今日は祭  佐佐木幸綱 夏の鏡