短夜を詠んだ短歌  藤沢の日没は19時.今日の夜の長さは夜の長さは9時間29分.明日の昼の長さは14時間31分.夏至近くの昼と夜の長さがこんなに違う!  霍公鳥(ほととぎす)来鳴く五月の短夜もひとりし寝れば明かしかねつも 万葉集  くれなゐの扇に惜しき涙なり嵯峨のみじか夜暁(あけ)寒かりし 与謝野晶子  短夜はなにかしろきにじじと熬(い)る夏蝉のこゑを気色にぞ聴く 北原白秋  みじか夜を美(くは)し云ひて惜しみつつやがて眠りにゆくばかりなり 斉藤史

19時,いつも出かける江の島弁天橋から富士山を撮影しました.

ちょうどお日様が沈んだところ.この後15分位は,雲が一番赤く見える時間帯で,短い時間ですが東の雲も赤く染まります.

 

ヤフー天気には,今日の藤沢の日の入り時刻18時58分,明日の日の出は4時27分とありました.夜の時間は9時間29分しかありません.

(一週間後の夏至の夜になるとさらに5分ほど短くなるそうです.)

明日の日の入りは,今日と同じ18時58分ですから---

 

昼の長さは14時間31分.

夜の長さは9時間29分.

 

昼と夜の長さがこんなに違う!数字を確かめてみて,改めて感じました.

 

短い夜は,短夜(みじかよ)として,短歌,俳句に詠まれてきました.

 

古今短歌歳時記によれば,

俳句では,春:日永,夏:短夜,秋:夜長,冬:短日,が季語になっているとのこと.短夜を好んだのが蕪村.

 みじか夜や八声の鳥は八つに鳴き

 短夜や浪打際の捨篝(すてかがり)

 

枕草子では「夏はよる」としていますが,夏の夜が短いから良いと言っているわけではありません.清少納言は長さは気にしなかつたのでしようか?

春はあけぼの-----

夏は,夜.月つきのころはさらなり.闇もなほ,蛍の多く飛びちがひたる.また,ただ一つ二つなど,ほのかにうち光て行くも,をかし.雨など降るも,をかし.

 

短歌では,万葉集に一首あり,平安時代以降もしばしば出てきますが,嘆きの対象として詠まれることが多いようです.

小倉百人一首の次の一首には,「短夜」という言葉は出てきませんが,夏の短夜を感傷的に詠んでいます.

 

夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ  清原深養父 古今集 小倉百人一首

 

 

短夜を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

霍公鳥(ほととぎす)来鳴く五月の短夜もひとりし寝れば明かしかねつも  作者未詳 万葉集巻十 一九八一

 

みじか夜の更けゆくままに高砂のみねの松風ふくかとぞきく  藤原兼輔 後撰集

 

みじか夜の残りすくなくふけゆけばかねてものうきあかつきの空  藤原清忠 新古今集

 

くれなゐの扇に惜しき涙なり嵯峨のみじか夜暁(あけ)寒かりし  与謝野晶子 みだれ髪

 

短夜はなにかしろきにじじと熬(い)る夏蝉のこゑを気色にぞ聴く  北原白秋 橡

 

ひんがしの白みそるめば物かげに照りてわびしきみじか夜の月  若山牧水 さびしき樹木

 

みじか夜を美(くは)し云ひて惜しみつつやがて眠りにゆくばかりなり  斉藤史 朱天