梅雨空の1日でしたが,夕方の江の島はかなり過ごしやすく,富士山もうっすらと望めました.
街の花が少なくなっていくなか,所々に植えられているキョウチクトウは,艶やかな花で楽しませてくれています.
日本へは江戸時代に中国から,また,明治以降はセイヨウキョウチクトウも渡来し,乾燥,病害虫に耐性を持ち,排ガスにも強いことから,街路樹にも用いられるようになっています.
原産地のインドでは,紀元前より薬用に使われたとの記録があり,日本でも打撲の腫れ痛みを和らげる薬用植物とされてきましたが---
キョウチクトウ,夾竹桃,夾竹桃葉(きょうちくとうよう),Nerium indicum,キョウチクトウ科キョウチクトウ属
強い毒性を持つオレアンドリンをもち,バーベキューの串に使っていた夾竹桃の枝で死亡した例がフランスから報告されています.(医薬品情報21) 医薬品情報21 » Blog Archive » 夾竹桃(Oleandere)の毒性
ただし,毒性を持つ植物全てに言えることですが,口に入れないかぎりは恐れる必要はありません.日本では,夾竹桃の中毒例は,報告されていないようです.犬猫も苦さのせいか,食べることはないとのこと.
キョウチクトウは,漢字で夾竹桃.細長い葉が竹に似て,花が桃の花に似ていることから名付けられたと言われています.
現代俳句では仲夏の季語とされる一方,八木重吉の詩にうたわれる.
八木重吉「秋の瞳」
おほぞらのもとに 死ぬる
はつ夏の こころ ああ ただひとり
きようちくとうの くれなゐが
はつなつのこころに しみてゆく
夾竹桃を詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
よしきりが庭に近(ちか)鳴く五月雨のこもりの庵(いほ)に夾竹桃(けふちくとう)の花 伊藤左千夫 左千夫歌集
ふりやめばすなはち乾く土ぼこり夾竹桃のみどりの厚葉に 川田順 山海経
片枝のすがれは,まほに あらはに見ゆ.日だまりに照る夾竹桃のはな 釈迢空 海やまのあひだ
遠退(そ)ける雷の音かそかにて夾竹桃を吹き揺する風 松村英一 やますげ
八月は千万の死のたましずめ夾竹桃重し満開の花 山田あき 山河無限
浅目には夾竹桃の咲き初めのほのかなる紅ゆらぎたるかな 宮柊二 晩夏
夾竹桃咲きて校舎に暗さあり饒舌に母をひそかににくむ 寺山修司 空には本
夾竹桃のはな微動だにせぬ朝のわれはなにかにねらわれている 沖ななも 機知の足首