玉蜀黍(とうもろこし)を詠んだ短歌  江の島島内のお店には焼き玉蜀黍が,青果店には,生の玉蜀黍が並ぶ季節です. 唐黍(もろこし)の焦げしを嚙めば幼き日幼きかをり胸に沸きくる 窪田空穂  唐黍の花の梢にひとつづつ蜻蛉(あきつ)をとめて夕さりにけり 長塚節  ありがたや玉蜀黍(たうきび)の実のもろもろもみな紅毛(こうもう)をいただきにけり 斎藤茂吉  病める兒はハモニカを吹き夜に入りぬもろこし畑の黄なる月の出 北原白秋

梅雨の空の下,今日の散歩は,弁天橋を渡って,江の島の島内まで.

橋をわたって直ぐのお店には,焼きはまぐり,焼きいかに混じって焼きトウモロコシが売られていました.

全く注意したことがなかったのですが,焼きトウモロコシは冬でも売られているのでしょうか?冷凍しておけば可能かとは思いますが---

 

しかし,トウモロコシといえば,夏.

6月に入って,スーパーにも並ぶようになっています.

このお店では,「湘南産」のトウモロコシが売られていましたが,神奈川県では7月までは千葉産,茨城県産などが店頭に並び,8月以降になると北海道産もみられるようになるのかなと思います.

https://data.e-gov.go.jp/data/dataset/maff_20170209_0014/resource/3e229971-668f-4a51-b4d0-99b1e77feefe

https://www.alic.go.jp/content/001228001.pdf

 

茹でたり焼いたりして食べる甘いトウモロコシ「スイートコーン」の品種改良も日本では盛んで,様々な品種が開発されています.

https://www.taberare.com/article/blog/toumorokoshi

https://poke-m.com/stories/1412

イエロー系とうもろこし:ゴールドラッシュ,味来,あまいんです 等

ホワイト(シルバー)系とうもろこし:ピュアホワイト,ロイシーコーン 等

イカラー系とうもろこし:ドルチェドリーム,ゆめのコーン 等

http://www.toumorokoshi.net/kind.htm

 

トウモロコシは,世界で最も生産量が多い穀物

日本も大量に輸入していますが,ほとんどが飼料用,加工用で,そのまま食べられるものはほんの少量.

飼料用・加工用トウモロコシは,ほとんどがデントコーンと呼ばれる種類で,スイートコーンとは異なる品種.関連の話題は明日また.

 

トウモロコシは,日本へは1579年(天正7)にポルトガル人が長崎に入れたのが最初.その後,明治初年にアメリカから北海道に入り,北海道で盛んに栽培されました(ニッポニカ).

トウモロコシは,かなり不思議な名前で,中国を意味する二つの言葉:「とう」と「もろこし」が重ねられた名前になっています.

日本国語大辞典は「先に日本に渡来したモロコシの語源が忘れられ、後に渡来した『玉蜀黍』が『中国から伝わった蜀黍』として命名されたものか?」としています.

『玉蜀黍』は,沢山ある中国語のとうもろこし表記(玉米など)の一つ.

https://cjjc.weblio.jp/content/トウモロコシ

 

 

玉蜀黍を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

(いとけ)なき子どもにかへりまるゆでの玉蜀黍にわれうつつなし  石榑千亦 鴎

 

唐黍(もろこし)の焦げしを嚙めば幼き日幼きかをり胸に沸きくる  窪田空穂 明暗

 

唐黍の花の梢にひとつづつ蜻蛉(あきつ)をとめて夕さりにけり  長塚節 長塚節歌集

 

ありがたや玉蜀黍(たうきび)の実のもろもろもみな紅毛(こうもう)をいただきにけり  斎藤茂吉 あらたま

 

行けど行けど玉蜀黍の穂の光り富士あらはにも夕焼したり  前田夕暮 深林

 

病める兒はハモニカを吹き夜に入りぬもろこし畑の黄なる月の出  北原白秋 桐の花