昨日に続き,「第4次焼き芋ブーム」といわれ,「最近はねっとり系が人気」とされているサツマイモの品種について,調べていたのですが---
品種別生産量の統計値は,最近は出されていないようです.
では,主要生産県では---と検索してみても,生産量の統計値は見られない.ただ,各県でどのような品種が栽培されているか,その名前だけは何とか拾うことができました.
その名前を挙げる前に,焼き芋その他で私たちが日常食べているサツマイモは,全生産量の半分ほどという話から.
「青果用かんしょ」生産県,トップは茨城県
サツマイモ(農業統計では「かんしょ」)の生産量トップが鹿児島県であることはよく知られています.
しかし,芋のまま出荷されるサツマイモ(=「青果用かんしょ」)以外に,サツマイモは様々な用途に用いられます.
加工食品,アルコール用(焼酎用等),デンプン用---
以前は,デンプン用が多かったサツマイモ.1970年以降,トウモロコシの輸入増加で,その役割を奪われ(山川 理「サツマイモの世界,世界のサツマイモ」 現代書館),全体の生産量は減少.
その中で50%近くが青果用として生産されています.
「青果用かんしょ」生産トップは茨城県.僅差で千葉県.(少し前のデータですが)
全体でトップの鹿児島県はかなり離れた3位.アルコール用が多いということでしょう.
サツマイモ主要生産県で生産されている「青果用かんしょ」
品種名だけを連ねてもいいのですが---.各県の記事の一部引用で代えさせて頂きます.
鹿児島県の稿が長くなっています.引用したサイトの記事から,サツマイモの歴史等も学ぶことができたので,そのまま載せました.
茨城を食べよう https://www.ibaraki-shokusai.net/brand/sweet-potato/
茨城県はかんしょ(さつまいも)の栽培面積・生産量ともに全国第2位の大産地です.
県内で一番多く栽培されている品種は,ホクホクとした食感が特徴の「ベニアズマ」ですが,近年栽培面積が増えてきている,しっとりとした食感が特徴の「べにまさり」などもおすすめです.
千葉県
県産サツマイモ「品種リレー」 秋から春、安定出荷図る 東京新聞 東京新聞:県産サツマイモ「品種リレー」 秋から春、安定出荷図る:千葉(TOKYO Web)
県産の主力品種は,ほくほくした「ベニアズマ」で,てんぷら用などとして年間を通じて出荷されている.
県などはこれに加え,焼きいも向けに,より甘い品種が人気のため,すっきりした甘さの「シルクスイート」を九~十二月に,しっとりとして甘みが強い「べにはるか」を十二~六月に出荷する仕組みを整えた.
鹿児島県
どんどん 鹿児島の食 ウェブサイト 【かごしまの食】さつまいも
(サツマイモの種類については http://www.kagoshimaseika.co.jp/osusume/3610_99_200002.htm の情報も付け加えました.また,品種の性質について,引用した記事では「ねっとり」を使わず,ほくほくとしっとりに二分しています)
「薩摩」の「芋」と書いて「さつまいも」.
ただし,全国的には、「鹿児島(薩摩)からきたいも」という意味で「さつまいも」と 呼ばれていますが,鹿児島県内では「琉球を通じて中国(唐)からきたいも」という意味で「からいも(唐芋)」と呼んでいます.
さつまいもは,鹿児島から全国に広がった品目で,生産量は鹿児島県が全国1位.
本県を代表する特産品です.
さつまいもの伝来については,記録の上でも見られるように,幾度にわたり異なる経由・経路で伝来しており,実際には記録の数倍の伝来があったと考えられます.一度伝来しても栽培して収穫できるかどうか,食生活に馴染むかどうか,栽培の価値ありと判断されるかどうか等,「新植物」が「新作物」として定着するには,超えなければならないハードルが数多くあったと推定され,何回かの伝来と試作を繰り返しながら,定着していったものと考えられます.
鹿児島においても,島津藩の兵士によって持ち込まれた記録は1609年にさかのぼり,栽培された記録としては,1698年の種子島島主久基が琉球王に使いを出して持ち帰ったものが最初です.1705年には,山川の船乗り前田利右衛門がさつまいもを琉球から持ち帰り,自ら畑で栽培し,近所の人々に分かち与えたところ,たちまちにして近隣諸村に広がり,ひろく薩摩全域に広まったと伝えられています.
https://www.kagoshima-shoku.com/2266
種子島久基は,後に島津の家老にもなり,島民には「藷殿様(いもとのさま)」としてたたえられ,西之表市の栖林神社に祭られています.また,前田利右衛門は「甘藷翁(からいもおんじょ)」として指宿市山川の徳光神社に祭られているほか,その頬徳碑は,指宿市山川だけでなく,大隅半島の鹿屋市串良町にもあります.
さつまいもは,その後襲来する享保の飢饉(1732年),天明の飢饉(1782年),天保の飢饉(1832年~1833年)の際には,救荒作物としての真価が認められ全国へ広がりました.
国内への伝播については色々な人々の貢献がありますが,関東での普及に貢献したのが,青木昆陽です.昆陽はかねてからさつまいもが救荒作物として優れているという意見を持ち,さつまいもの特徴や作り方を記述した「蕃薯考」を時の八代将軍吉宗公に提出しました.その仲介をしたのが当時の町奉行大岡越前守であったそうです.
栽培品種は
・ベニサツマ(高系14号)(黄白色/ほくほく/てんぷら,ふかし芋,大学芋,焼き芋)
・べにはるか(黄白色/ややしっとり/焼き芋,ふかし芋)
・安納紅(淡黄色/しっとり/焼き芋,ふかし芋)
・種子島ゴールド(紫色/ややしっとり/てんぷら,サラダ,スイーツ加工)
・ベニハヤト(橙色/しっとり/てんぷら,サラダ,スイーツ加工)
肉色が鮮やかなオレンジ色で,カロチンの含有量が人参に匹敵するくらい多いのが特徴.主にお菓子や料理に使われます.
・コガネセンガン(黄白色/ほくほく/てんぷら,ふかし芋,チップス等)
その他
・紅 赤 関東地方を代表する品種.食味が良く根強い人気.
・黄金千貫 主に鹿児島で栽培されている品種.焼酎やでんぷんの原料として使われますが,食味が良いので食用としても人気.皮が白いのが特徴.
・ベニアズマ(さつま金時) 紅赤と並んで関東地方を代表する品種.スイートポテトなどお菓子に使ってもおいしい.鹿児島ではさつま金時として売られています.
・山川紫 中身が濃い紫色をしている加工用の品種.お菓子やアイスクリームなどの彩りによく使われます.
・種子島紫 中身が鮮やかな紫色をしており,食味も良い品種.焼き芋にして食べるのに最適で,最近は全国でも人気が出てきているそうです.
徳島を味わう なると金時 | 公益社団法人徳島県物産協会 公式ホームページ あるでよ徳島
『なると金時』は,徳島県を代表するブランドのひとつです.指定された地域(徳島県鳴門市・徳島市・板野郡)のみで生産されたものしか『なると金時』の名を冠することができず,徳島の温暖な気候と,これら指定地域の良質な砂地を利用して盛んに栽培されています.
平成19年4月20日,特許庁より地域団体商標『なると金時』として登録が認めらました.
(商標登録:第5043110号)
収穫は主に晩夏~秋にかけてですが,貯蔵することにより1年を通して出荷しています.『なると金時』は貯蔵することによって,さらに甘みが増します.
なると金時とは,高系14号という早堀り用の品種で,表皮が赤く,味・形の優れたさつまいもを育種,昭和55年頃には,鳴門~徳島周辺の特定地域で生産されるさつまいもが『なると金時』と呼ばれるようになりました.
『なると金時』は各地域のJAによって独自のブランド名が付いているものもあり,JA里浦では「里むすめ」,JA松茂では「松茂美人」,JA徳島市の川内支所では「甘姫」などがあります.
なると金時の利用方法
一般的に,表皮が鮮やかな紅色のものは美味しいと言われています.表皮のむけていないつやの良いもの,見た目より重量感のあるものを,用途に応じて選んでください.
おすすめの食べ方は,ほどよい甘味がわかりやすい焼き芋や天ぷらです.特に揚げたての天ぷらは,「なると金時」特有のほっこりとした食感と甘さが十分に楽しめますので,ぜひお試しください.
和・洋・中と,どんな料理にも合いますし,和菓子・洋菓子の材料としても最適です.