秋のおんめ様(鎌倉大巧寺)の小径.今,最も目立って美しいのはコムラサキの実.白い実を付ける株も植えられています.コムラサキの英語名はPurple beautyberry.ムラサキシキブ属全体がbeatyberry.その実の美しさは世界的にも認められています.そもそも属名ラテン語Callicarpaが,ギリシャ語でcallos(美しさ)とcarpos(果実)を意味している! いでや月むらさきしきぶは粒実つけて世捨聖(よすてひじり)となりて発つとふ 大滝貞一

今日は時どき小雨のはっきりしない1日でした.

仕事無しの日で,少し遠出して安国論寺まで行ってきたのですが---.

今日は,途中に通ったいつものおんめ様(大巧寺)の小径の画像から.一昨日に撮ったものなので,バックは晴れ.

 

秋のおんめ様の小径には,花が少ないのですが,少ないなりに楽しめます.

その中で,最も目立って美しいのはコムラサキの実.

名札にはムラサキシキブとありますが,明らかにコムラサキ.園芸店では確かに紫式部の名前で流通しているので,必ずしも間違いとはいえません.

おんめ様には紫の他に白い実を付ける株も植えられています.こちらもなかなか美しい実を付けています.

 

コムラサキは,シソ目 Lamiales,シソ科 Lamiaceae,ムラサキシキブ属 Callicarpa,コムラサキ C. dichotoma.

 

英語名はPurple beautyberry.

ムラサキシキブ属 Callicarpaの植物全体が,英語で beautyberryと呼ばれているんですね.コムラサキはその中でも「Purple」が際立っているという意味でしょうか?

Japanese beautyberryがムラサキシキブ

 

そもそも,ムラサキシキブ属と日本語で呼ばれる学名 Callicarpaがギリシャ語でcallos(美しさ)とcarpos(果実)を意味とのこと.

https://www.lsuagcenter.com/profiles/rbogren/articles/page1566574276226

ムラサキシキブ属の実は,本当に美しいと思ってきましたが,世界的に実の美しさが認められた植物群といえそうです.

 

ムラサキシキブ属の植物は,基本アジア原産のようですが,アメリカ原産の種もあって,アメリカでもヨーロッパでも明らかに愛されています.

「実は渋みが強いのですが,ワインやゼリーにされるとのこと.実は冬や乾燥した季節まで持ち,鳥や他の動物にとって重要な生存食料となるが,他の食料が枯渇するまでは食べようとしません.」とは,英語版ウィキペディアの記述.Callicarpa - Wikipedia

 

欧米でよく知られているのは次の二種のようです.

American beautyberry  Callicarpa americana

アメリカ南東部原産. 高さ1〜2mになる.熟した果実はゼリーになる.

Callicarpa americana - Wikipedia

 

Bodinier's beautyberry  Callicarpa bodinieri,

中国西中央部(四川,湖北,陝西)原産で,アメリカーナより耐寒性があり,ヨーロッパ北西部で最も広く栽培されている.高さは3mに達する.

ラテン語のbodinieriは,植物を中国で収集した19世紀のフランスの宣教師で植物学者のエミール=マリー・ボディニエ,にちなんでいる.

Callicarpa bodinieri - Wikipedia

 

日本で見られるムラサキシキブ

日本で見られるムラサキシキブ属の植物はムラサキシキブコムラサキの他,ヤブムラサキ,トサムラサキ,タカクマムラサキなどがあるそうですが,私はまだ出会ったことがありません.

沖縄に自生していると言われるホウライムラサキは,園芸店でも見かけます.そしてわが家にも.

 

ムラサキシキブ

名前は,一般的には源氏物語の作者・紫式部にちなんで付けられたと言われていますが,元々は別の名前(実紫,玉紫,紫しきみ)で呼ばれていたようです.

ニッポニカ 紫式部文化史  一般には『源氏物語』の作者紫式部とのつながりを思われているが,直接の関係はない.いけ花では江戸時代から使われ,『立華正道集(りっかしょうどうしゅう)』(1684)や『抛入花伝書(なげいればなでんしょ)』(1684)には実紫(みむらさき)の名で載る.後者は「植木売は紫式部といふ」と,ムラサキシキブの名が,商売上の美飾名から広がったことを示す記述がある.『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)は,玉むらさきとして,紫しきみ,小紫の方言もあげる.この「しきみ」を敷実(しきみ)あるいは重実(しげみ)や茂実(しげみ)の転訛(てんか)とみて,紫敷実か紫重実(茂実)からムラサキシキブの名が由来したとする説もある.[湯浅浩史 2021年9月17日]

ムラサキシキブ - Wikipedia

 

ホウライムラサキ

 

ヤブムラサキ Callicarpa mollis クマツヅラ科 Verbenaceae ムラサキシキブ属 三河の植物観察 トサムラサキ (Callicarpa shikokiana)

 

http://aodamo.info/takakumamurasaki.html

 

いでや月むらさきしきぶは粒実つけて世捨聖(よすてひじり)となりて発つとふ  大滝貞一 枯野船

 

 

 

おんめ様の小径の花たち(2022.10.10)

 

妙本寺の夕暮れ(2022.10.10)