しはす・師走を詠んだ短歌  今日は「真冬なみの寒さ」との報. ”一年で最も寒い時期の気温を下回ると『真冬並み』という表現を使っています” とのこと. 「真冬なみ」の日があって当然.年の瀬,師走12月に入って,早くも5日たったのですから. 十二月(しはす)には沫雪(あわゆき)降ると知らねかも梅の花咲く含(ふふ)めらずして 紀小鹿郎女/万葉集  牕(まど)の外は 師走八日の朝の霜.この夜のねぶり 難かりしかも 釈迢空  綿菓子のはかなき嵩(かさ)をあきなふや師走の空の無限に碧し 馬場あき子

今日の鎌倉は太陽はほとんど出ることのない1日でした.ウェザーニュースでは「真冬なみの寒さ」との報が.

明日以降はまた暖冬に戻るようですが---

https://tenki.jp/forecaster/gureweather/2023/12/05/26420.html

 

ところで,この「真冬なみ」とは,どのようなことを言っているのでしょうか?

 

NHKの「にいがたWEBレポート」によれば,

https://www.nhk.or.jp/niigata/lreport/article/002/81/

「真冬並みの気温ということがありますが、真冬とはいつのことを指しているのでしょうか?」という質問をいただきました。

気象情報での真冬にはちゃんと目安があります。

”一年で最も寒い時期の気温を下回る”と『真冬並み』という表現を使っています。

とのこと.

 

東京の1日最高気温の平均(1991〜2020年)は,1月が最も低く,9.8℃. https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/平年値

「9.5℃の今日は,真冬なみ」ということになりますね.納得.

 

2017年のデータのグラフ(2014年までの30年の平均?)

https://japan.world-season.com/climate-tokyo/

 

冬という季節の考え方は旧暦・新暦で様々ありますが,現代の「冬」は,12月〜2月と見なすのが一般的かと思います.そして,月別最高気温からは「真冬」は1月となる---

Wiki/季節 - 国立天文台暦計算室

 

真冬並みの日があって当然の,年の瀬,師走に入っています.

 

師走は,本来,旧暦12月(新暦 2024111日〜新暦202429日)の呼び名なのですが,新暦になっても12月は師走と呼ばれることが多いように思います.「5月=皐月」とならんで,新暦の該当月にこの呼び名を聞いても不思議とは思わないし,間違いとの指摘は野暮にきこえます.

「師走」という漢字の語感が年の瀬に相応しいからでしょう.

 

しかし,もともとは12月の読み方が「しはす」だった.

言い換えれば,しはすの漢字表記は十二月(日本書紀では十有二月)だった,ただし,旧暦で,ということになります.

現在の師走という漢字は,「しはす」の数ある語源「説」:https://japanknowledge.com/introduction/keyword.html?i=226

の中の一つ

「経をあげるために師僧が東西を馳せ走る月」に従って,後に当てられた漢字であることは確か.(もとは,シハセ師馳〔奥義抄・名語記・〓嚢鈔〕)

奥義抄:1124年(天治1)から44年(天養1)の間の成立(日本国語大辞典) 

名語記:鎌倉時代の辞書(日本国語大辞典) 

 

しはす・師走を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

再掲 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/12/07/235145

 

十二月(しはす)には沫雪(あわゆき)降ると知らねかも梅の花咲く含(ふふ)めらずして  紀小鹿郎女 万葉集巻八 一六四八

 

 

(まど)の外は 師走八日の朝の霜.この夜のねぶり 難かりしかも  釈迢空 海山のあひだ

 

しづかなる心をもちてわびずみの師走の紙襖(ふすま)妹とつくらふ  吉井勇 天彦

 

逃れえぬわが奈良すでに師走なる啾々(しゅうしゅう)と夜を怨霊のこゑ  前川佐美雄 松杉

 

たてかけの何かさびしき青竹の師走冬空を広く見せたり  宮柊二 群鶏

 

綿菓子のはかなき嵩(かさ)をあきなふや師走の空の無限に碧し  馬場あき子 ふぶき浜